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2024年版 世界をリードする高級EV 10選 「静か+速い」最先端の移動体験

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2024年版 世界をリードする高級EV 10選 「静か+速い」最先端の移動体験

時代の先端を行く電動ラグジュアリーカー

快適性、機能性、高級感、動力性能などさまざまな観点から、「高級車」と呼ぶにふさわしい10台のEVを紹介する。

【画像】最新7シリーズに「駆けぬける歓び」を体現するEVが登場【BMW i7を写真でじっくり見る】 全38枚

高級車とEVは、相性の良い組み合わせだと思う。約10年前にテスラ・モデルSが示したように、速さ、快適性、エレガンスを融合させ、先進的なパッケージにまとめることができるためだ。

今ではアウディ、BMW、メルセデス・ベンツをはじめ、誰もが耳にしたことのある高級車ブランドが揃って参入している。

もちろん、EV用バッテリーなどはまだまだ高価であり、十分な性能を引き出すためには相応のコストがかかってしまう。EVに高級モデルが多いのは、そうした側面もあるためだろう。

しかし、競争が激しいのは事実で、先進性を全面に打ち出すものや高性能をアピールするものなど、バリエーションはかなり豊かになってきた。ここで一度、世界トップクラスの高級EVを振り返ってみよう。

1. BMW i7

長所:インテリアの豪華さ、強力な電動パワートレイン、乗り心地とハンドリングの見事な調和
短所:挑戦的な外観、実走行での航続距離は480km未満、特に手頃な価格ではない

BMWのフラッグシップモデルである7シリーズは、最新の第7世代でEV仕様のi7が加わった。注目すべきは、高級車として正鵠を得たものであり、メルセデス・ベンツSクラスを退けるほどの力を秘めているという点だ。

7シリーズ全体に言えることだが、このエクステリアデザインは良くも悪くも人目を集める。筆者の個人的な感想としては、正直、エレガントでもなければ特に魅力的というわけでもない。とはいえ、実車を見て気に入る人もいるはずだし、目立ちたい人にとっては好都合かもしれない。

幸いなことに、インテリアは美しく作り込まれたディテールや高機能な車載システムが印象的である。上質な素材が使われており、ダッシュボード上部のディスプレイはBMW独自の「iドライブ」コントローラーで操作することができる。後部座席には、Bowers & Wilkinsの高級サウンドシステムと合わせて動画コンテンツなどを提供する、ドロップダウン式31.3インチ・ディスプレイが用意されている(オプション)。

これまでの7シリーズと同様、i7の走りはとても良い。車両重量約2800kgとヘビー級だが、四輪操舵(AWS)と四輪駆動(AWD)のおかげで正確なハンドリングと安定性を備えており、驚くほど運転しやすい。それでいて、素晴らしい乗り心地と快適性を実現している。これは「駆けぬける歓び」と同時に極上の快適空間を作ることに全力を注いだBMWのエンジニアたちの努力の賜物である。

最高出力455psからと十分なパフォーマンスを発揮し、105kWhのバッテリーで最長590km~625km(WLTP)の航続距離を持つ。最大195kWで急速充電により、最適な条件下ではわずか10分で170km分のエネルギーを補給できる。

ただし、弊誌のテストでは、実走行での航続距離は425km前後にとどまった。この点はもう少し改善を期待したいところだし、外観についてもやはり受け入れにくいところがある。決してパーフェクトな仕上がりではないが、それでも「7シリーズ」という銘板に泥を塗るようなこともなく、高級感あふれるインテリアとBMWらしい走りで乗る者を魅了してくれる。今のところ、ベストな高級EVである。

2. BMW iX

長所:抜群の快適性、汎用性の高さ、室内の広さ、高級感あるインテリア
短所:賛否両論あるエクステリアデザイン、回生ブレーキに改善の余地あり

「他に類を見ないBMW」……試乗した弊誌のグレッグ・ケーブル記者は、iXをこのように表現した。i7と同様、エクステリアデザインには眉をひそめる人も多いだろう。いずれにせよ、波紋を広げることを意図したデザインであることは間違いない。電動化を成し遂げようとするBMWが、転換点として全身全霊を捧げたクルマがiXだ。

ボディサイズはX5と同等だが、軽量複合材料を使用した専用プラットフォームをベースとし、電気モーターを前後1基ずつ搭載している。

エントリーグレードのiX xドライブ40の英国価格は7万ポンド(約1340万円)弱で、最高出力300psと航続距離400km(WLTP)を実現する。上位グレードのiX xドライブ50では9万2000ポンド(約1760万円)からとなるが、最高出力523ps、航続距離600kmに向上し、200kWの急速充電に対応する。しかし、いくら軽量なプラットフォームを使っているとは言え、車重2500kgを下回ることはない。

弊誌の比較テストでは、快適性においてメルセデス・ベンツEQSセダンより一枚上手だった。EQSも快適だが、iXの乗り心地の良さと洗練性は抜群で、非常に魅力的な高級車である。また、近年のメルセデス・ベンツには先進性を重視する未来志向が表れているが、BMWは個性的でぬくもりがあり、堅苦しくない味付けとなっている。

SUVならではの広さと汎用性の高さも特徴だ。深くくつろげる控えめな高級感、そして世界トップクラスのロール制御とドライバビリティ、痛快なパフォーマンス、実走行でも十分な航続距離を兼ね備え、他の電動SUVの追随を許さない。iXは高級車として、高い完成度を誇るモデルだ。

3. ポルシェ・タイカン・クロスツーリスモ

長所:センセーショナルな動力性能、幅広いパワートレイン、驚くほど実用的
短所:航続距離はもはやトップクラスではない、価格が高い、後部座席が狭い

ポルシェ初の量産EVであるタイカンは2020年のデビュー以降、バリエーションを大きく広げてきた。1~2基の電気モーター、後輪駆動と四輪駆動、性能、そしてボディタイプを幅広く用意している。このような選択肢の広さが、大きな魅力の1つとなっている。

基本的にどのグレードを選んでも世界トップクラスの能力を持っており、車高の上がるクロスツーリスモでも、ダイナミクスが弱まることはない。

不思議なほど路面に吸い付く高い安定性を特徴とし、情報伝達量の多いステアリングホイール、繊細なレスポンス、理想的なバランス、そして速さを備えている。航続距離はトップクラスではないが、ほとんどの仕様で、実走行400kmは達成できるだろう。

タイカン・クロスツーリスモは最大5人乗りで、BMW 3シリーズ・ツーリングに匹敵するトランク容量を確保し、あらゆる量産EVの中でも特に完成度が高い。

4. メルセデス・ベンツEQSセダン

長所:実走行での航続距離、宇宙船のようなデザイン
短所:一部の人には車載システムが過剰、i7のような軽快感はない

世界で最も歴史のある自動車メーカーの1つ、メルセデス・ベンツ。電動モビリティへの移行に向けて真面目に取り組んでおり、2019年に同社初のEV専用モデルであるEQCを投入し、その後も数多くのEVを展開してきた。しかし、EQSのセダンほど評判の良いものはない。

新開発のプラットフォームを採用するEQSは、テスラ・モデルSが北米市場から奪っていったSクラスのシェアを取り戻すという使命も秘めている。

価格は高い。英国では、最高出力330psのシングルモーター/後輪駆動のEQS 450+が10万2160ポンド(約1950万円)から、高性能モデルのAMG EQS 53が15万ポンド(約2870万円)を上回る価格設定となっている。

その分、他車がなかなか真似できないような最新技術を満載している。特に話題を集めやすいのがダッシュボード全体をスクリーンとする「ハイパースクリーン」(オプション)だが、結局は3枚のスクリーンがパネル内に統合されるだけだ。注目すべき点は他にある。

特筆すべきは、風の中を滑るように移動し、実走行で600km以上の航続距離を達成できることだ。弊誌のテストでは、120kWhの巨大バッテリーを最大限に活用して、最長640kmを記録した。動力性能は高く、四輪操舵(4WS)のおかげで全長5.2mあるとは思えないほど小回りが効くし、エアサスペンションにより車外と隔絶された快適空間を作り出している。快適性と洗練性の水準はとても高い。

EQSセダンは、メルセデス・ベンツの「本気度」が伺い知れる、素晴らしく完成度の高いEVだ。先行する新興ブランドに対して強烈なレシーブとなるだろう。

5. ルーシッド・エア

長所:ゲームチェンジャー的な航続距離、巧みなパッケージング、魅力的な内外装デザイン
短所:一部の市場でしか買えない、ハンドリングは期待値を下回る

ルーシッド・エアのように、大きな話題を呼びながら、我々を長い間待たせたクルマも珍しい。開発にはテスラ出身のエンジニアが携わっており、新興ブランドとして一旗揚げようと、さまざまな “トピック” を盛り込んだ。

例えば最高級グレードの「ドリーム・エディション」は、最高出力1111psと最大トルク140kg-mを発生し、0-97km/h加速2.4秒を達成。さらに、118kWhの大容量バッテリーにより、1回の充電での航続距離は830km以上を謳う。また、300kWの超急速充電に対応し、わずか20分で480km分のエネルギーを賄えるという。

当然ながら、動力性能も圧倒的だ。やや残念なのはハンドリングで、素早い方向転換の際に少々もたつく感じがあり、サスペンションを最も硬い設定にすると減衰制御の不足に悩まされる。乗り心地も玉石混交で、高級車らしいしなやかで落ち着いた質感はないが、19インチ・ホイール装着車では劇的に改善される。今後、エアサスペンションも追加されるので、さらなる改善が期待できる。

サイズ感はメルセデス・ベンツEクラスとほぼ同じだが、巧みなパッケージングにより、室内空間はSクラス並みに広い。端正なデザインと充実した快適装備も好印象で、質感と仕上がりは欧州車には及ばないものの、テスラ・モデルSを凌駕している。まだ完成途上ではあるが、そのスタイル、性能、航続距離は多くのファンを獲得することになりそうだ。

6. アウディQ8 eトロン・クワトロ

長所:素材の質感、運転のしやすさ、優れたパフォーマンス
短所:特にスポーティではない、乗り心地が落ち着かないことがある、インテリアに魂がこもっていない

アウディのさまざまな特性を凝縮した、同社初の量産EVであるQ8 eトロン・クワトロ。当初は単に「eトロン」という名称で販売されていたが、2022年末のマイナーチェンジで現在のQ8 eトロンに変更された。

エントリーグレードの「50」には89kWh、「55」およびSQ8 eトロンには106kWhのバッテリーが搭載されている。航続距離は前者で450km、後者で530kmを謳う。

アウディらしい上品で洗練された雰囲気を保ちつつ、静かな巡航能力と高い質感を併せ持っている。ドライビング・エクスペリエンスも印象的で、特に高速走行時のレスポンスの良さと力強いフィーリング、そして正確なハンドリングがその完成度を高めている。なおかつ、乗り心地の良さが高級車としての風格を強めていることは間違いない。エアサスペンションは、荒れた路面の凹凸を楽々と静かに吸収してくれる。

標準のQ8 eトロンは、ライバル車ほどドライビングの魅力はないものの、優れたラグジュアリーカーに仕上がっている。ドライビングを求めるなら最高出力503psのSQ8 eトロンだ。合計3基の電気モーターを使用する贅沢なドライブトレインにより、遊び心あるハンドリングと、ドライバーとの近い距離感を実現している。

価格は10万ポンド(約1900万円)近くと高価だが、速さ、華麗さ、そして電動SUVを面白おかしく走らせるという斬新な要素を考えれば、それだけの価値があるかもしれない。

7. ジャガーIペイス

長所:革新的なデザイン、魅力的なハンドリング、シームレスなパフォーマンス
短所:充電速度の遅さ、航続距離の短さ、電費(効率性)の悪さ

テスラの台頭に対し、電動SUVで戦いを挑んだ最初の大手メーカーがジャガーである。同社初の量産EVであるIペイスは、卓越したハンドリング性能、上質なインテリア、魅力的かつ革新的なデザインを備えている。

最高出力200psのツインモーターを使用しながら、乗り心地とハンドリングのクラス水準を確立。足かせを外された肉食獣が如く、高級EVのあるべき姿を体現しているように感じられる。

しかし、発売から5年以上経っていることもあってか、急速充電は100kWまでしか対応できず、実走行での航続距離も約350kmとやや期待外れで、長距離ツアラーとしては使いにくい。また、車載の充電ソフトウェアはバグが発生しやすい。新しいライバル車を見ると、相対的な古さは否めない。

もし、公共の急速充電設備にほとんど頼らず、また長距離を走る機会が少ないのであれば、真っ先に検討してもいい。運転が楽しいだけでなく、見た目にもワクワクさせてくれる魅力的なクルマだ。

8. メルセデス・ベンツEQEセダン

長所:乗り心地の良さ、ゆったりとした運転体験、豪華な車載システム
短所:室内のパッケージング、メルセデスらしい重厚感がない

EQEとEQSの関係性は、従来のEクラスとSクラスのそれに相当する。ティアドロップ(涙滴)型の輪郭、ほとんど継ぎ目のないシームレスな表面処理、緩やかな弧を描く「ワンボウ」シルエットまで、良くも悪くも小型版EQSである。

EQSのEVA2プラットフォームの短縮版を採用しているため、同じような巨大バッテリーを搭載するスペースはないものの、公称航続距離は90kWh(使用可能容量)搭載のEQE 350+で約630kmとされている。

後輪駆動、四輪駆動、高性能のAMGなど複数のモデルが用意され、選択肢は広い。エアサスペンションは驚くほど快適で、静粛性が高く風切り音も少ない。ワインディングロードでのハンドリングもなかなかに優れている。

ただ実際のところ、EQSほどのインパクトはなく、室内空間の使い方やデザインについてはまだ納得がいかないところもある。やや無味乾燥しており、願わくば、もっとメルセデス・ベンツらしさが欲しい。

9. メルセデス・ベンツEQC

長所:ストレスフリーのパフォーマンス、総合的な使いやすさ、快適性と汎用性が高い
短所:航続距離の短さ、記憶に残らないダイナミクス、味気ないエクステリアデザイン

EQCは実用性と力強さ、上質さ、そしてゼロ・エミッション走行を兼ね備え、日常的に使いやすい電動SUVである。発売当時は、高機能なインフォテインメント・システムと車載ナビ、上質なインテリアデザインによって並み居るライバルたちを圧倒したものだ。

高級感で言えばアウディQ8 eトロン・クワトロの方が優れており、ドライバーズカーとしてはジャガーIペイスに軍配が上がる。しかし、現在でもEQCのパッケージングは素晴らしく、魅力度が高い。

EQCは内燃エンジン搭載のGLCとプラットフォームを共通化しており、最高出力408psと最大トルク78kg-m のツインモーター、トルクベクタリング四輪駆動システムを誇る。公称航続距離は最長410kmで、弊誌のテストではその80%から90%を実走行で達成できるとわかった。クラス内では競争力のある数字だが、目立ったものではない。

ドライビングモードが細かく設定されており、回生ブレーキの強度や運転支援システムを自分好みに設定するのは骨が折れる作業だ。しかし、一度設定してしまえば、あとは非常に使いやすく、快適なドライブを楽しめる。

10. ジェネシス・エレクトリファイドG80

長所:美しいインテリア、洗練されたインフォテインメント、オールドスクールな魅力
短所:室内はやや狭い、ダイナミクスと乗り心地に欠点がある

ヒョンデ・グループの高級車ブランドであるジェネシスは、北米と欧州において、ここ数年で急速に台頭してきた。エンジン車だけでなく、今ではエレクトリファイドG80など複数のEVを展開している。

エレクトリファイドG80は、その名の通り、大型セダンのG80のEV版である。G80はもともと、豪華で多機能なインテリアを備えているが、4気筒のガソリンまたはディーゼルエンジンは高級車としてふさわしいものではなかった。

しかし、EV版では最高出力370psのツインモーターと87.2 kWhのバッテリーを搭載し、最長520kmの航続距離を謳っている。駆動電圧800Vの高電圧システムにより、最大350kWの急速充電と外部給電機能に対応する。つまり、屋外でポータブル冷蔵庫のような電化製品を動かすことができるのだ。

モーターの働きはスムーズかつパワフルで、インテリアも上質な仕上がりとなっている。残念なことに、スポーツセダンのようなレスポンスと高級リムジンの乗り心地を融合させようとして、両方とも実現できていない。ドライビングは楽しいものではなく、一方で乗り心地はやや安定感に欠けるため、リラックスして乗るものでもない。

それでも、比較的長い航続距離と優れた機能性には目を引かれる。個性的なデザインを含め、少し変わったものを求めるなら検討すべき1台である。

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