ジャパンモビリティショーで実車展示されていた「ホンダN-VAN e:」は、2024年春に発売される予定だ。軽商用EVの発展に期待が膨らむ。そこで今回は、軽貨物EVの前線で働く「三菱ミニキャブ・ミーブ」と比較してみた。どのような違いがあるのだろうか?
文/高根英幸、写真/HONDA、MITSUBISHI
実質150kmはイケる!? バッテリー保護装置もお見事なEV版N-VAN!! 先駆者のミニキャブミーブとの違いはなんだ!?
■ホンダN-VAN e:と三菱ミニキャブ・ミーブはどのようなクルマ?
ジャパンモビリティショー2023のホンダブースにて展示されていた「ホンダN-VAN e:」。2024年春に発売予定だ
ジャパンモビリティショー2023のホンダブースに展示されていた白いN-VANは、ヘッドライトの内側にある急速充電口にケーブルが接続され、その先には発電機のような大きな機器があった。
これはN-VANをベースにBEV化したモデルで、ケーブルで連結されていたのは車載のリチウムイオンバッテリーから直流電流を受けて交流100Vに変換して家庭用の電流を供給する給電機だった。
今でこそ日産サクラや三菱eKクロスEVが軽EVとして人気を博しているが、三菱アイ・ミーブが2021年はじめに販売を終了したときには、軽EVが一度完全に途絶えた。
航続距離とコストの問題から人気が振るわず、生産を停止したのだ。
2022年11月、三菱は軽貨物EVの販売を復活させた。それがミニキャブ・ミーブで、軽バンのミニキャブをベースにBEV化したモデル。郵便局が宅配用などで多数採用されている車両だ。
■N-VAN e:のバッテリーの劣化対策は充分! 充電時間はほぼ互角
ミニキャブ・ミーブは、2022年11月に一般向けに販売再開された。郵便局が宅配に使用しているところを見かけることも多い
BEVは本来、普通充電での使用を基本とし、急速充電は普通充電で充電した電力を使い切ってしまうような長距離移動の際に、経路充電として利用するものだ。
バッテリー自体は急速充電に強い特性をもっていたが、温度上昇が著しいとリチウムイオンバッテリーは電解液が揮発してバッテリーが膨らむなど劣化していくのは避けられない。
ミニキャブ・ミーブの場合、急速充電でも対応するのは50kWまで。さらにバッテリーが小さく、バッテリー温度が上昇した時の冷却装置はコスト高なので採用は見送られている。
であればミニキャブ・ミーブでは急速充電をなるべく利用せず、普通充電をメインに利用する方がいい。
実際、オーナーの中には新車時よりもバッテリーの活性が上がったのかSOCで100%を超える数字(マージン分が貢献していると思われる)を叩き出しているケースも見受けられる。
それに対してN-VAN e:は、急速充電の入力電流こそ50kWと同じだが、バッテリーの劣化を抑えるためにバッテリーの温度を制御する機構が組み込まれている。
これは充電時にバッテリーを冷却するだけでなく、冬季にバッテリーの温度が下がりすぎて電圧低下を招くような状況の時にはバッテリーを温めるものだ。
これにより急速充電を使用してもバッテリーの劣化は最小限に抑えられるだろう。
急速充電はどちらも30分で80%、普通充電は満充電までN-VAN e:で5時間、ミニキャブ・ミーブは7時間かかるが、どちらも一晩費やす感覚なので大差はない。
■N-VANならではの容量の多さが良い! 航続距離の差はどうなる?
写真は、N-VANのダブルビッグ大開口。これに加え、低底大空間を採用。さまざまなサイズの荷物を積むことができる
そして肝心の航続距離だが、ミニキャブ・ミーブは16kWhのバッテリーで133km(WLTCモード)となっている。実質的には100km程度が実用上の限界と言えそうだ。
それに対してN-VAN e:は210kmを目指して開発中というから、実質150km程度は使えそうだ。冬場は暖房でさらに航続距離が縮まるので、この差は大きい。
最大積載量はミニキャブ・ミーブが350kgと軽トラと同等を確保しているのに対し、N-VAN e:は300kg(2シーター仕様は350kg)となる予定だ。
この差は単純にバッテリー搭載量の違いによる車体重量の違いと思っていいだろう。
実際の積載量は、容積でみればN-VAN e:の圧勝となる。車高が高く床が低いため室内高は130mmほど高いし、助手席側のBピラーを廃したことで助手席側は1580mmもの開口幅を誇る。
さらに助手席を折り畳めば床面と完全にフラットになるというN-VANの特徴はそのまま確保されているのだ。
助手席を廃してより低床化を実現したモデルも用意されるようなので、一人で荷物を扱うような仕事にはさらに荷物をたくさん積めて、輸送効率を高められそうだ。
N-VAN e:は冒頭の外部給電機能に加えて、ADASのホンダセンシング、ホンダコネクトによりスマホアプリで普通充電を充電量や充電の時間帯などを選ぶこともできる。
設計年度が新しいこともあるが、装備や機能の充実ぶりはミニキャブ・ミーブを大きく上回る。
ミニキャブ・ミーブはあくまで軽貨物EVとしての必要最小限の性能と運搬能力を実現したパイオニアであるのに対し、N-VAN e:は軽商用としてだけでなく、アウトドアや車中泊による旅を楽しむようなホビーユーザーにも使ってもらえるような汎用性の高さが魅力だ。
近距離の運送や宅配業務だけでなく、充電を重ねながら旅が楽しめる仕様でなければ配達専用車に留まってしまうから、ホンダの判断は正しいと言えそうだ。
価格は200万円を切り、航続距離は210km(WLTCモード)を目指すと言うから、いよいよ本格的なEV普及を狙える人気車種となりそうである。
■軽貨物EVの発展によって運送効率が上がる可能性も!
今後、他社から新たな軽商用EVが登場する場合、ミニキャブ・ミーブの刷新は起こり得るだろう
日産サクラと三菱eKクロスEVが発売されたことによって、途絶えそうだった軽EVというカテゴリーが急速に需要を吹き返した。
ミニキャブ・ミーブは特定の配送業務のために販売が再開されたが、N-VAN e:が登場したら、価格やバッテリー容量、装備のどれも太刀打ちできないから、三菱も大掛かりなテコ入れをして、内容を充実させることになるのではないだろうか。
規制緩和により軽自動車による運送業務は軽貨物だけでなく、乗用車でも認められるようになったが、それは空き時間などを利用した宅配ギグワークには使われても、本格的に運搬業務をするなら軽貨物規格の方が運搬効率は高い。
N-VAN e:の登場により、軽貨物はEVが常識となる時代が到来する可能性は高そうだ。
スズキやダイハツからもN-VAN e:と同等の性能を誇る軽貨物EVが登場するのは間違いない。
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みんなのコメント
EV選びはそれらサポート等もセットで考えないと、ランニングコストに大きく影響するだろう。本気で普及させるのなら、各メーカー、
三菱の様に手厚いサポートが必要だと思う。
逆に東芝のバッテリーは積んで無い。