真夏の鈴鹿サーキット決戦となった2020年スーパーGT第3戦で、見事GT500クラスを制したMOTUL AUTECH GT-Rの松田次生とロニー・クインタレッリが、苦戦した開幕2戦を踏まえたタイヤとセットアップの持ち込みが機能した背景や、松田次生はGT最多勝更新の心境を明かすとともに、続く第4戦への展望を語った。
松田次生
「開幕2戦はね、本当はコロナがなければ富士は1回しかない、っていうスケジュールだったと思うんですけど、その辺でも今季はダウンフォース多めのクルマのコンセプトで作って来た部分があるので、富士では少しストレートスピードが厳しい状況だった。ただ鈴鹿に来たら『ひょっとしたら上手くダウンフォース利用して走ればイケるんじゃないか』っていう期待感はあったので、その意味ではそれがドンピシャで当たった。それが僕らの強みである、っていうのは今回走って分かりました」
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「今回は比較的、セットアップも、タイヤも、持ち込みが決まってた。でもレースでは300クラスのトラフィックに入ったときにちょっとピックアップが付いたりして、そこをなんとかしなきゃいけないな、っていうのもすごく感じてます。そうこうするうちにセーフティカーも入ってしまって……。前半スティントでもセーフティカー明けでロニー選手が『ピックアップで苦労してる』って話は聞いてたので、とにかく自分のセーフティカーラン中はピックアップを付けないように、上手くタイヤの熱を保つように心がけていました」
「リスタートはとにかく自分を信じてプッシュして。その分だけ最後はちょっと苦しくなってしまいましたが(笑)、でもそのマージンがあったぶん、最後の300との混戦状態でも少し余裕を持って走れた。その意味では、最初のセーフティカー明けの逃げという意味でも、すごく良かったと思います」
「これまでGTで(通算)20勝で、正直(前半スティントの2周目で)ロニーが立川さんに抜かれたときに『ああ、これで勝利数が並ばれるな』って思ったんですけど、そういう意味では逆に僕が21勝で最多勝記録をひとつ伸ばすことができた。ちょっとホッとしてます。同時に、これまでは年間1勝ずつしてきたのに去年は優勝がなかった」
「その意味で『いつ優勝できるんだろう』っていうプレッシャーもありました。その中で今回優勝できたんですごくうれしいです。あとは自分のことなんですけど、知人が先週の月曜日に亡くなって。そういった意味でも、天国で見ててくれたのかなって。そんな展開にできるくらい、今回は本当に良かったので、みんなに感謝したいと思います」
「ここへ来る前は正直『優勝』とは思ってなかったです。周りがウエイト積み始めてから、あと2、3戦待ってからかなと思ってた。それが3戦目で優勝できるとは想定してなかったですね。次はウエイトをかなり積まれるので大変なレースになると思うんですけど、なぜか36号車が毎戦表彰台に乗ってるので(笑)、『なんでかな』っていつも思うんですけど、あれぐらいできるように頑張ります」
■クインタレッリ「ターニングポイントはヘアピンでZENTをもう一回抜いたとき」
ロニー・クインタレッリ
「2年ぶりに優勝できてすごくうれしい。昨日の予選で2番手だったので、僕らの選んでたタイヤがちょっと柔らかめだったのもありスタートの1周目で頑張って。本当は、その1周目で64の前に行きたかったんですけど、2コーナーからS字にかけて上手くね、伊沢選手にブロックされて。そのあとバックストレートで"ミサイル"みたいなスピードで来た立川選手にも抜かれて(笑)。でもその後は思ったよりペースが良くて普通についていけた」
「その後に、僕の今日のスティントでの1番のターニングポイント。ヘアピンでZENTをもう1回抜いて。2番手にポジションを戻すことができた。さらに64が300クラスの集団のなかですごく苦しんでたので、上手くダンロップコーナーで抜くことができた」
「トップに立ったらすごくペースが良くて、タイヤの持ちも良かった。でも残念ながらね、もう1回セーフティカーが入って来た。リスタートのときも、私たちの作戦は30周目……まあできれば27周目あたりまで引っ張りたかったし、タイヤ的にはグリップがまだすごくあった」
「でも目の前にタイヤ交換を済ませた300クラスが何台かいて、その列があったから僕の判断で早めにピットに入ろうと。130Rあたりで無線を入れて、チームもしっかり準備してくれた。これで後半スティントに向けて次生選手は絶対、トップでピットアウトできると思ってたので、後半は絶対守ってくれると信じてた。とにかくホッとしました。すごくうれしいです」
「開幕戦では、まだまだ良いセットアップが見つけられなくて。テストみたいにいろんなことにチャレンジしてて方向性が見えて。そして第2戦からちょっと速さが見えてきた。それでこの第3戦鈴鹿に向けてさらに微調整をして。あとタイヤでも今年からミシュランがちょっと新しいモノを取り寄せてくれて、とくにコンパウンドの方でベストなものを持ち込んだ。温度レンジのなかでどこで使えば良いのか、富士とは選択を変えてそれが良い方向で働いてくれた。良い実感が得られたし、良いデータも採れましたね。今後も暑いところでは良いパフォーマンスをしてくれると思います」
「僕のなかでは1周目にトップに立てればチャンスがあると思ってたけど、序盤で64号車はすごく速くて、その点では正直、優勝できるとは思ってなかった。次のもてぎのサーキットはもともとタイヤ的にも得意なサーキットだけど、優勝して次は54kg積む。500のクルマはウエイトの感度がすごく敏感なので、もてぎはすごく厳しいと思いますね。なのでまず、ポイントを獲りたいですね」
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