この記事をまとめると
■フェラーリやランボルギーニの車名にはじつはかなりのこだわりが込められている
「F1ドライバーでも雨では乗りたくない」「日本の公道で300km/h走行」! 伝説のフェラーリF40とは何モノだったのか?
■フェラーリはエンジンの気筒数や排気量、出力の数値が使われていた
■ランボルギーニは闘牛の名前に出力などの数値が付随していた
かつてのフェラーリはクルマの仕様を表現する数字が多かった
もはやフェラーリやランボルギーニに関するウンチクでマウントがとれる時代は去ったかと思われますが、やっぱり「もしものために!」知っておいたほうがいいことは少なからずあります。たとえば、車名にまつわるエトセトラ。フェラーリの場合は1気筒当たりの容量とかなんとか、ランボは牛から名前をいただいているなど、なんとなくは頭に残っているかと。ですが、まとめあげると厚手の1冊ができあがってしまうので、ざっくり&ほんのりと振り返ってみましょう。
まずは法則性がありそうなフェラーリですが、1970年代まではどうにか法則性みたいなものがうかがえます。F1レースから始めた彼らは12気筒エンジンがほとんどでしたから、上述のとおり1気筒当たりの排気量で車名を決めていたのです。たとえば1948年の125F1は125cc×12気筒=1500cc(正確には1496cc)のF1、同じく1948年のスポーツカー166MMは166cc×12気筒=1992ccといった具合。
また、1952年には500F2というフォーミュラがあって、500×12で6リッターかいな! と思いきや、重たい12気筒では不利があるとF2レース向けに投入した4気筒で、じつのところ2リッター。のちの750モンツァ(3リッター)や625LM(2.5リッター)も4気筒の法則が使われています。
1950~60年代、ルマンやスポーツカーレースにもエントリーするようになると、車名というよりタイプ名を使うことも増えてきます。すると、排気量の法則でなくエンジンの型式番号、すなわち118や121LMなんてのが登場してじつにややこしいのですが、これはエンジンを設計したランプレーディ博士に敬意を払ったものと覚えておくといいでしょう。ただし、現在のフェラーリは118LMを376Sと呼んでいます。それまでの1気筒当たりの排気量という数字ではなく、3.7リッターの6気筒という、これまたフェラーリ独特のルールを適用しています。
このルールでもっとも有名なモデルはディーノ206GT、あるいは246GTでしょう。2リッター、または2.4リッターのV6エンジンを表し、1957年のF2で156F2、つまり1.5リッターのV6という先例があります。また、1970年に登場したF1の312Bは、3リッターの12気筒、ついでにいうと末尾のBは後の512BBなどでおなじみのボクサーユニット(180°V12)のイニシャル。
ただし、365GTB/4(いわゆるデイトナ)でもわかるとおり、Bはボクサーのみならず、ベルリネッタを表す場合もあるのでややこしいのです。ちなみに、/4は4バルブを表し、これまたQV(クワトロバルボーレ)という同じく4バルブを表すものと混在していることも要注意でしょう。さらに、5バルブエンジンとなったF355は3.5リッター5バルブに基づくなど、近年のネーミングはより自由度が増しています(笑)。
なお、最近はルッソとかTdF(ツール・ド・フランス)、あるいはFXXやローマといったネーミングも登場しています。歴史上のエポックメイキングなモデルや、フェラーリにゆかりある地名など、もはや排気量やエンジンにまつわる法則は通用しないかと。
夢も希望もないようですが、フェラーリといえども差別化の難しい世の中になった、よりマーケティングを重視した車名になった、という背に腹は代えられない事情にほかなりません。
ランボルギーニはわかりやすくほとんどの車名は「牛」!
さて、一方のランボルギーニはマラネロに比べて歴史も浅く、型式名でレースにエントリーなんてこともしていないので、ずっと簡単です。創業当初こそ3500GTや400などと平易な車名を使っていましたが、3モデル目にあたるイスレロからはほとんど「牛」。唯一といっていい例外はカウンタックで、これが同社で一番有名になってしまったのは皮肉としか言いようがありません。
さて、カウンタックLP400は「Longitudinale Posteriore(意訳すれば車体後部に縦置き)」の頭文字と4リッターエンジン、すなわち4000ccの10分の1をコード化したもの。LP400Sの場合はスペシャルのSで、5000QVはフェラーリ同様5リッターの4バルブエンジンと、じつにわかりやすいものです。
ところが、ミウラのP400というのは諸説あります。一般的にはカウンタックで使われた「Posteriore」、つまり車体後方(ミッドシップ)からとったとされていますが、ミウラそのものがプロトタイプとして誕生しており、市販はだいぶ後に決定されたことから、「Prototipo(プロトタイプ)」のPとする説もあります。
なお、追加モデルのP400SVは、「Sprint Veloce(意訳すればより速いスピード)」のイニシャルを使用しています。
そして、有名な「J(イオタ)」はFIAのツーリングカー/GTカー競技規定「アペンディクスJ項」に即したカスタムというのが定説。
ちなみに、イタリア語に「J」を使うことはないため、当時のテストドライバー、ボブ・ウォレスが「イタリアには存在しないミウラ」とした、などという説もありました。このあたりは、スーパーカーの歴史家でさえ決定的な解を見つけていないようです。
なお、ミウラも牛の名前かと思いきや、闘牛を育てる牧場の名前です。先のイスレロ(こちらは伝説的な闘牛の名前)を育てた牧場であり、またオーナーのフェデリコ・ミウラはフェルッチオの親友だったとのこと。似たようなケースだと、ガヤルドも牛ではなく、その育成者、フランシスコ・ガヤルドから命名されています。
ともあれ、数字をコアに据えたフェラーリも、牛にこだわったランボルギーニも、スーパーカーの代名詞ですから、どんな車名であっても条件反射的にワクワクしてしまう、これこそクルマ好きの性(さが)かもしれませんね。
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みんなのコメント
載せようとしたけど意味を知ってズッコケたから
思いとどまったってのが真相かな?