FIAのF1委員会は、来たる2025年シーズンに向けて、猛烈に暑いコンディションのレースでドライバーが使用する冷却キットの導入を承認した。
導入の契機となったのは2023年のカタールGP。このレースでは暑さに苦しむドライバーが多く、チェッカー後に熱中症の症状が見られるなど、体調不良を訴えるドライバーが何人もいた。motorsport.comが7月に報じたように、FIAと全F1チームはこのような過酷な状況下でのドライバーの換気と冷却を改善するための研究を開始した。
■F1マシンにエアコン搭載? 夏休み明けオランダGPから簡易なドライバー冷却システムをテストへ
当初は簡素化された空調システムをマシンに取り付けるというものが検討されていたが、現在FIAとF1、そして全チームの間で合意されている解決策は、空調ユニットを必要としない、より簡素化されたシステムのようだ。ただ正確な技術的詳細はまだ明らかになっていない。
このシステムは、FIAが極端に暑いコンディションだと判断した場合のみ搭載が義務付けられるもので、そのコンディションに該当する場合はそれに応じてマシンの最低重量も増加する。
また委員会では、特定のマシンがレースのスタートに間に合わなかった場合にグリッドを調整する手順を変更することにも同意した。これは先日のサンパウロGPでの一件を受けてのものだ。
サンパウロGPは予選・決勝が同日開催となったが、ウイリアムズのアレクサンダー・アルボンが予選でクラッシュしてしまい、決勝までにマシンの修復を間に合わせることができないため、決勝スターティンググリッドに並ぶことができなかった。
アルボンのリタイアは決勝レースのかなり前に決まっていたのだが、正式なスターティンググリッドは既に確定していたということもあり、アルボンがつくはずだった7番グリッドは空いたままとなっていた。
motorsport.comの調べによると、FIAは今後、最終的なスターティンググリッド決定を最大でスタート1時間前まで遅らせるよう、手順を厳格化する予定だという。つまり、スタートの75分前までに出走を取りやめたマシンは最終グリッドに含まれず、後続のマシンは該当するポジションを繰り上げてグリッドを埋めることができる。
ジュネーブで行なわれたF1委員会では、FIAのシングルシーター部門責任者であるニコラス・トンバジスとF1 CEOのステファノ・ドメニカリによって、2025年の財務規則(ファイナンシャル・レギュレーション)に関する要素も整理された。これにより、持続可能性にまつわる取り組みの費用に関して、予算制限から除外される項目が拡大されることが承認された。
その他には、2026年の技術規則(テクニカル・レギュレーション)に関しての進展も説明された。トンバジスは以前、2026年マシンがダウンフォースの増加によってパフォーマンスレベルが向上すると語っていたが、FIAはこれらの規則整備が2024年シーズン終了後に行なわれるFIA世界モータースポーツ評議会に間に合うと自信を見せている。
そして細かいところで言えば、FIA競技規則(スポーティング・レギュレーション)の文言に関して、よりジェンダーフリーを尊重するための文言の改訂も行なわれた。これにより、男性を指す代名詞や、ジェンダー的な表現が削除されている。
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