Volkswagen Tech Day
フォルクスワーゲン テック ディ
メガーヌR.S.カップを土砂降りのサーキットで試乗! これは手の届くスーパースポーツカーだ【動画レポート】
4つに分けて体験するフォルクスワーゲンの最新安全技術
フォルクスワーゲンの先進安全技術を紹介する「フォルクスワーゲン テック ディ」が栃木県のGKNドライブライン プルービンググランドで開催された。
モータージャーナリスト的な見地としてその内容は非常に基本的なものだったが、この催しは新聞社など一版メディアにも向けられたものでもあるため、過度の専門性は敢えて省かれていたのだろう。
ただし、このプログラムは日本ディーラーのセールストレーニング等にも使われるものとほぼ同じ内容であり、これを体験できたこと自体はとても興味深かった。フォルクスワーゲン本国の資格を取得した日本人インストラクターが中心となって紹介する説明のわかりやすさには、同社の技術と安全に対する哲学が垣間見えた。
今回のプログラムは大きく分けて4つ。グループによって順番は変わってくるが筆者は「4MOTIONによる登坂体験」、「緊急ブレーキと操舵による回避」、「スキッドパッドでのESC制御確認」、「ACCによるレーンアシスト体験」の順番でこれを体験した。
サマータイヤで低μ路を登る
どれも基本的な内容と言ったばかりだが、その中にも感心すべき項目はいくつもある。
まず最初に行った「登坂路体験」では、ティグアンTDI 4MOTIONを使って30%勾配の低μ路を登った。
テストコースの登坂路面には特殊な舗装が施されており、流水することで路面が非常に滑りやすくなっている。具体的には片側を圧雪路面に見立てた路面(0.3μ)で一度止まり、再スタート。さらに片側をアイスバーンに見立てた路面(0.1μ)で同じことを繰り返し、最後は両側が圧雪路面となる。
感心したのはここで、サマータイヤを履いたティグアンがこともなげに片側圧雪の登坂路面をクリアしたことだった。日本仕様唯一の4WDであるこのモデルには「オフロードモード」が追加されており、上り坂の停止では「ヒルスタートアシスト」が作動する。これで左足ブレーキを使ったり、素早くアクセルに足を移す必要がなくなり、ゆっくりとTDIの低速トルクを効かながら発進が可能となるのだ。そしてアイスバーン路面においても同様に、ティグアンは確かな足取りでこれをクリアした。
最後の両輪圧雪路だけはさすがにタイヤを滑らせたが、ここからがオフロードモードの真骨頂だ。
操作的には敢えて強めにアクセルを踏み込む。通常であれば横滑りを察知したESCが出力を絞るが、このモードではタイヤ空転をさせてでも駆動力を得ようとする。さらに空転が多過ぎるタイヤにはブレーキを掛け、逆側のタイヤに駆動力を伝えるLSD効果を生み出す。これを4輪同時制御することで、軽く身もだえしながらも急勾配を登り切ってしまうのだ。
これは制御の理屈を知らないビギナーにとってやや度胸の要る操作だが、だからこそこうしたプログラムをフォルクスワーゲンは組んでいるのだろう。
信頼性抜群のヒルディセントアシスト
この30%勾配を、ヒルディセントアシストを使って降りたときの制御にはさらに感心させられた。
30km/h以下でアクセルを離すと、ティグアンはそれ以上加速せずに坂道を降りて行く(30km/h以内であれば速度はアクセルで調節可能だ)。
その床下ではABSユニットが“ククククク・・・”と忙しなく作動しているが、タイヤのスキッドすら感じることなくこれをやり過ごすことができたのだ。
さらにインストラクターの運転となったが最後は、バックでこの路面を駆け下りた。重量配分がリアよりになるバックでのヒルディセント(下降)だとさらに4輪の駆動制御は忙しく働いたが、若干挙動をふらつかせただけでティグアンはこれをクリアしてしまった。なかなか遭遇しない場面だがだからこそ、遭遇した際オーナーはこうした性能に大きく助けられるだろうと思える体験だった。
賢いABS! 見事な危険回避策
ふたつめのプログラムは、ウェット路面でのブレーキング。ABSを思い切り効かせながら止まる、安全運転講習の最もメジャーなメニューである。
ここでは今さらながらに、フォルクスワーゲンが装備するABSユニットの性能に驚かされた。
まず直線制動ではフルブレーキング時の車輌姿勢がいい。サスペンションのアンチダイブジオメトリーも効いているのだろうか、前のめりになり過ぎず4輪全てで制動を掛けている様子が体感できる。
この制動姿勢の良さに加え、ユニット制御の緻密さを見せつけられたのが「緊急回避」テストだった。操作としては目標地点から全制動を行い、目の前の障害物をハンドル操作でよける。このときブレーキペダルは、全力で踏みつけたままだ。
通常こうしたシチュエーションの場合、熟練したドライバーは制動力をやや緩め、操舵に必要なフロントタイヤの横グリップを稼ぐ。
しかしゴルフ(ハイライン)に搭載されるABSユニットは非常に賢く、ブレーキを踏みつけたままでも操舵に必要なグリップを確保した。このとき挙動はややオーバーステアになるが、それでもフォルクスワーゲンとしては障害物を回避するドライバーの意志を優先し、曲がることに専念するのだという。
今まで筆者はABSの作動を旋回領域にまで持ち込むことがほとんどなかったが、それは制御の荒さから操舵することでさらに制動距離が伸びてしまうからだった。しかしこの間にABSの制御は、かなりのところまで進んだのだと実感した。
up!に4名乗車で試すエマージェンシーブレーキ
そしてこのタームの最後では、up!を使って「シティエマージェンシーブレーキ」も体験した。大人4人がフル乗車したup!を時速25km/h以下で、目の前のスポンジバリアに向かって走らせる。するとup!は障害物を感知して、全制動をかけて止まる。
いまは軽自動車にもこうした衝突軽減ブレーキが装着される時代だが、up!は2012年という早い段階からこの装備を用意していた。レーザーの照射範囲は約10mと短いが、シンプルな構造だけにコストも抑えられ、これを標準装備としたことがライバルメーカーたちの標準装備化を促進したのだとすれば、それは非常に意義深いことである。
ESCによる挙動マネージメントに進化を実感
摩擦係数0.3(アイスバーン相当)の広い円旋回コースを走りESC(エレクトリック・スタビリゼーション・コントロール)の特性を理解するアクティブセーフティステージは、今回の“お楽しみアトラクション”であった。
本来はESCのオン/オフを試し、オフの場合はアンダーステアや、乗り方に寄っては(急にアクセルを閉じるなどして)オーバーステアが出るのに対し、ESCがオンザレールで走らせてくれる体験をするのがセオリー。
しかし、今回はさらにひとつ上のESCによる挙動マネージメントを体験することができた。
具体的にはコーナーでアンダーステアが発生した際(タイヤは空転している)、アクセルを緩めハンドルをゆっくりと切り込む。するとESCが後外輪にブレーキを掛け、姿勢をニュートラル方向へと穏やかに戻してくれるのだ。そしてこの制御を理解すると、ニュートラルステアを保ったまま定常円を旋回することが可能となる。
リアタイヤを微妙に滑らせたままフロントタイヤに駆動を掛け続け、ESCがオーバーステアを抑制する寸前でこれをキープ。すると試乗車であるポロ R Line(とGTI)は4輪を微妙に滑らせながら、車両姿勢を弱オーバーステアで固定できてしまうのだ。
通常こうした車両安定装置は「横滑り防止装置」と呼ばれることも多く、基本的にはオーバーステアが出たときの挙動を安定させるだけの場合が多い。
しかしフォルスワーゲンの最新ESCは一種のトルクベクタリングと呼べる領域まで進化していた。彼らはアンダーステアの発生も、事故や衝突の原因と捕らえているのだろう。またこれがスポーツモードに応用されれば、FWDながらにコントロールの自由度を得ることができる。
オーバーステアに対しては超がつくほどコンサバだったフォルクスワーゲンが、ここまで制御に自由度を与えていたのは正直意外であった。
ACCも優秀。しかし、課題は残されている
最後は先進安全技術で最も注目されている、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を主軸としたレーンアシスト体験だ。
フォルクスワーゲンのACCは基本65km/hから機動する。しかし「トラフィックアシスト」が加わったことで実質低速域から半自動運転が可能となる。ACCアクティブになるとメーターパネルにグリーンのラインが表示され、前車に追従開始となった。
ブレーキもアクセルも踏まず、ハンドルに軽く手を添えながら高速周回路を2周。その間前車は車速を緩急コントロールし、ACCの追従性が確認できる。
フォルクスワーゲンは右ハンドル仕様の場合、特にアナウンスはないのだがフットレストとして使えるスペースがあるのがいい。クルーズコントロールを使う際フロアに足を置くのはペダルのひっかかりを考えてもあまりよいとは思えない。またアクセルに足をつけないよう、すねを緊張させていては本末転倒である。
ミリ波レーダーが余裕を持ってその距離感を計っている証拠だろう、完全停止まで制御を働かせる渋滞追従支援システム「トラフィックアシスト」のブレーキングマナーは上品だった。停止後も試乗車(パサートとアルテオン)の場合3秒間以内であれば自動で再スタートが可能であり、それ以上の場合はアクセルをひと踏みするかステアリング上の「RES」ボタンを押してやればいい。
面白かったのは当日、このコンボイの隙間を狙ってインストラクターの運転する車両が無作為に割り込みをしてくるテストだった。このとき割り込み車両はかなりの速度で筆者の前に滑り込んだが、その車両は早い段階からこれを捕らえており、その距離を適正に保つべくブレーキを掛けてくれた。ブラインドからの車両を知らせるアラートは、もう少しだけわかりやすければよいと感じた。
ただ、こうした状況できちんとブレーキをかけてくれることを評価するというよりは、ACC走行時の車間距離が少し大きいことの方が筆者は気になった。それはほどよく混み合う高速道路で、割り込みしてくれと言わんばかりの距離感だ。もちろん、この車間は安全が担保できるだけの距離としてメーカーが導き出したものだが、空いているからこそ割り込まれるのだ。よって現状渋滞時のトラフィックアシスト以外、混雑時にACCは使いにくいと感じる。
また、直線路で敢えて操舵を与えてもレーンキープアシストは穏やかにこれを戻してくれるが、カーブなどで前車を捕らえきれなくなった際に加速を誘発してしまう場面がいくつか見られ、機能を熟知しないドライバーや高齢者にはまだ自信を持って勧めることができないとも感じた。これはフォルクスワーゲンに限らず、全てのメーカーに言える課題だ。
ただし、こうした現状なくして未来はない。今は乗り手が安全を管理し、この技術を見守ることが大切で、これこそが将来的なモビリティの発展に貢献するのだと思う。
REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)
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