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ハタチぶんの進化 フォルクスワーゲン・ゴルフ R ゴルフ R32 Mk8とMk4を比較試乗 後編

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ハタチぶんの進化 フォルクスワーゲン・ゴルフ R ゴルフ R32 Mk8とMk4を比較試乗 後編

高級感が漂うMk4ゴルフのインテリア

撮影ポイントへ辿り着き、同僚が試乗していたフォルクスワーゲン・ゴルフ R32と対面する。改めて観察することになったが、思わず感動してしまった。

【画像】ハタチぶんの進化 フォルクスワーゲン・ゴルフ Rとゴルフ R32 GTIとパサートR36も 全119枚

同社のヘリテイジ部門が管理するクルマは、2003年式。走行距離は2万8000kmと短く、コンディションは完璧。特にインテリアには、最新の8代目ゴルフ以上の高級感が漂っている。センターコンソールの表面が少し粘ついていたけれど。

アルミニウム製のトリムが要所要所に用いられ、エアコンの送風口のフィンもきれいに閉まる。小物入れのリッドにはスプリングが付いていて、5段階に強さを選べるシートヒーターのスイッチもタッチがイイ。

ドライビングポジションからは、20年という経過を感じる。スポーティなケーニッヒ社製のバケットシートは、座面が高め。ステアリングホイールはテレスコピック調整できるものの、1番手前側でも筆者には遠い。

ダッシュボードの中央、低い位置にナビゲーション用の画面がある。インフォテインメントという言葉が一般化する前の代物で、解像度は荒く英国の地図はインストールされていない。当時は2500ポンドのオプションだった。

特別なエンジンを積むことを隠さないR32

走り出しても、R32の感動は続く。自然吸気の3.2L VR6ユニットは即座に目覚め、静かで滑らかなアイドリングを始める。4気筒ターボが一般化した2023年にあって、特別なエンジンであることを隠さない。

低回転域でのノイズは太く威圧的。高回転域では一般的なV6サウンドに落ち着くようだが、3500rpmを超えた辺りでの張り詰めたトーンがうれしい。

現代のモデルに乗り慣れていると、加速が鋭いとまでは感じない。最高出力は240psあるが、車重は1477kgとゴルフ R 20イヤーズの1480kgと大きくは違わない。

トランスミッションは6速DSGが組まれている。同社として、デュアルクラッチATを搭載した初の量産モデルだった。ただし、ドイツ本国で500台の限定。新しい技術を、他国へ提供する準備が整っていなかったためだ。

最新のDSGと比べると、エンジンブレーキが弱くブレーキペダルを頼りがちで、クラッチは若干滑りが多い印象だが、それ以外は良く働く。運転に対して即時的に応え、スムーズに変速を繰り返す。

当時の従来的なトルコン式オートマティックや、オートメイテッド・マニュアルと比べれば、間違いなく新時代の到来を告げるものといえた。現代の四輪駆動のホットハッチでは、他のメーカーでもマニュアルは既に選べない。

北米市場では、まだマニュアルのゴルフ Rも選択できる。だが、欧州市場のドライバーは積極的に選んでこなかった。

コーナーでの一体感に感心するMk8のR

Mk4の操縦性の評価は、当時から決して高いものではなかった。ところが実際に攻め込んでみると、コーナー出口でのパワーオンに対してニュートラルな挙動を示す。バランスは優れる。

同時に、最新モデルのボディ剛性の高さも実感させる。R32は、負荷が高まると僅かにボディがねじれ、ダンパーやブッシュのヘタリとは別の、姿勢制御の緩さが垣間見れる。

とはいえ、意識すればという程度。R 20イヤーズに負けないくらい、サスペンションがうねったグレートブリテン島のアスファルトをいなす。硬めでも、落ち着きは失いにくい。ブレーキペダルの感触は比較すれば柔らかいものの、制動力は充分ある。

唯一筆者が気になったのはステアリング。油圧パワステは電動パワステより良いという考えは、このゴルフには当てはまらないようだ。R32のステアリングホイールは重たいが、感触が殆ど伝わってこない。

スタッドレスタイヤの影響とも考えた。だが、2003年の試乗レポートを振り返ると、同様に指摘されていた。

祖先を存分に堪能して、R 20イヤーズへ戻る。感触に優れるステアリングがもたらす、コーナーでの一体感に感心する。気温は4度で、ブリヂストン・ポテンザ・タイヤには好条件とはいえないにも関わらず。

秀でたグリップ力と洗練性で、どんなルートでもR32より20km/hほど速いペースを保てる。操縦性の限界を探る過程が楽しい。しかしエンジンのイベント性は低い。ドライビング体験がより楽しいかと聞かれると、YESとは即答しにくいのが本音。

カテゴリーを牽引する立場は変わらない

郊外の道を従来以上のハイペースで走れる能力こそ、ゴルフ Rが目指したもの。快音を響かせる狭角V6エンジンと、ノーマルでは組み合わされていた6速MTが、2002年にフォルクスワーゲンが目標を達成できる手段だった。

技術は進化し、メカニズムでもインテリアでもゴルフ R 20イヤーズの能力は高められている。クルージング時の燃費性能も、飛躍的に向上している。

初代ゴルフ GTIがホットハッチの雛形を形成したように、ゴルフ Rはスーパー・ホットハッチの原型となった。BMW M135iやメルセデスAMG A35、アウディRS3といったライバルに大きな影響を与えてきた。

同クラスのモデルのなかで、価格も踏まえると最も完成度が高いであろうことは事実。フォルクスワーゲン・ゴルフ Rがカテゴリーを牽引する立場にあることは変わらない。ハッピーバースデー、R。

ゴルフ R 20イヤーズとR32のスペック

フォルクスワーゲン・ゴルフ R 20イヤーズ(欧州仕様)

英国価格:4万8095ポンド(約769万円)
全長:4290mm
全幅:1789mm
全高:1465mm
最高速度:270km/h
0-100km/h加速:4.6秒
燃費:12.7km/L
CO2排出量:174-179g/km
車両重量:1480kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:332ps/5600-6500rpm
最大トルク:42.7kg-m/2100-5500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

フォルクスワーゲン・ゴルフ R32(Mk4/2002~2003年/欧州仕様)

英国価格:2万2340ポンド(新車時)/3万ポンド(約480万円)以下(現在)
全長:4176mm
全幅:1735mm
全高:1425mm
最高速度:246km/h
0-100km/h加速:6.4秒
燃費:8.7km/L
CO2排出量:−
車両重量:1477kg
パワートレイン:V型6気筒3189cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:240ps/6250rpm
最大トルク:32.4kg-m/2800-3200rpm
ギアボックス:6速デュアルクラッチ・オートマティック(ドイツのみ)

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みんなのコメント

4件
  • Mk4 R32とMk8 Rだったら、欲しいのは確実に前者。
    ワクワク感も高級感も上だし、ゴルフ自体の世界自動車販売トップ3から50位の転落がそれを如実に物語っている。
  • Ⅳの右ハンドル4ドア6MTに5年ほど乗ってました。
    地味だけど迫力あるところが好きでしたが、とにかくあちこち壊れる車でした。
    この頃のVW車は、天井内張落ち、窓落ち、DSG故障、カムチェーンのび、クーラント漏れ等の故障が定番で好きじゃないと乗れない車だと思います。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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