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【500以上に楽しい走り】フィアット・パンダ・クロス・ハイブリッドに試乗

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【500以上に楽しい走り】フィアット・パンダ・クロス・ハイブリッドに試乗

フィアットのイメージを再定義していく

text:Simon Davis(サイモン・デイビス)

【画像】マイルドHVの500とパンダ 全47枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


ボクシーでチャーミングな、小さなイタリアン・ハッチバック、フィアット・パンダ・クロスに電動化技術が搭載された。都市部での利用にも適したSUVであると、多くの人を説得するかのように。

黒いプラスティックそのままのボディトリムと、高くなった車高に目が行くが、その内側には前輪駆動のシティカーが隠れている。もっとも、これは以前と変わらない。

パンダ・クロス・マイルド・ハイブリッドは、フィアットが電動化技術を採用したコンパクトモデルを軸とするメーカーだと、再定義に動き始めた第一歩となる。このことが重要だろう。

電動化技術といっても「マイルド」だから、しっかり一歩を踏み出したというより、つま先を少し伸ばした程度。数週間後に開かれるジュネーブ・モーターショーでは、純EVのフィアット500eが発表となるから、確実に歩みは進むはず。

まずは少しずつ進むことが必要。フィアットも手をこまねいているだけではない。

パンダ・クロス・マイルド・ハイブリッドは、先日ご紹介したフィアット500マイルド・ハイブリッドと同時の発売となる。搭載するシステムも同じで、1.0Lの3気筒自然吸気ガソリンエンジンと、電圧12Vのベルト統合型スターター・ジェネレーター(BSG)が選ばれている。

減速時やブレーキング時には運動エネルギーを電気エネルギーとして回収し、容量11Ahのリチウムイオン電池を充電。停止時やコースティング時にはエンジンを休止させ、燃費の向上を狙う。

欠点はあっても運転が楽しい

バッテリーに蓄えた電気エネルギーは、加速時にエンジンを支援。システム総合での最高出力は70ps、最大トルクは9.3kg-mと控えめな数字となっている。

ペースが穏やかな都市部では、パンダ・クロスは運転しやすい。追加された電気モーターは、わずかに確認できるレベルではあるが、加速時の力添えをしてくれる。走り出しはスムーズだ。

発進以降は、パンダの力不足が見えてくる。クルマの速度を流れに乗せていくには、右足でしっかりアクセルペダルを踏んでいる必要がある。しばしば、長時間深く踏み込んでいることもあるほど。

といっても、イタリアの小型車的で楽しい。時々パンダにムチを打って走らせている気にもなるが、制限速度を大きく超えてしまう心配もない。危険性も、そのぶん少ない。

楽しさ任せにエンジンの回転数を引っ張っても、燃費としての見返りは何もない。今回の試乗を通じて得られた平均燃費は、12.3km/Lだった。カタログにはWLTP値で17.5km/Lという数字が載っているから、差がついてしまった。

もともと背の高いクルマの車高が高くなり、重心高が上がったことは、コーナーを曲がるとはっきりわかる。比較的控えめと思えるスピードでカーブへ進入しても、明確なボディロールが発生してしまう。

波打ったような路面では、バウンドするような素振りも見られた。その間、たとえ乾燥していても、タイヤは路面を掴み続けるのに苦労している様子。結果、シャシーはさほど攻め込まずともアンダーステアを引き起こしてしまう。

嫌いになるのが難しい個性

そうなるとスタビリティ・コントロールが介入し、手厳しくクルマを落ち着かせようとする。ステアリングは過度に軽く、手のひらへ伝わる感触も非常に少ない。直感的な操舵感を得ているわけではない。

と、少々気まぐれな姿勢制御と操縦性を得てはいるが、パンダの運転は間違いなく楽しい。むしろコンパクトなフィアット500よりも楽しめる。ボディの動きがより顕著であるためだろう。

インテリアは、見た目も質感も、パンダ発表からの時間の経過を感じさせる。特徴的だが、デザインの個性でいうとフィアット500の方が一枚上手。

リアシートの空間は、欧米人の体格に対応した広さはない。平均的な身重の大人に合わせてフロントシートの位置を決めると、後席は頭上も膝周りも狭さを感じるようになる。

気になる点は少あるものの、マイルド・ハイブリッドを搭載したパンダ・クロスの英国価格は1万3885ポンド(198万円)からと、お値打ち感が強い。試乗したローンチエディションの場合は専用塗装が与えられ、価格は1万4385ポンド(205万円)だった。

安全性を示すユーロNCAPで、星5つが満点のうち星3つしか獲得できていない。標準装備も決して充実とは呼べない。乗り心地や運動性能に欠点もなくはない。

だがフィアット・パンダ・クロス・ハイブリッドが振りまく小さなイタ車的個性は、不思議と嫌いになるのが、とても難しいことも事実だ。

フィアット・パンダ・クロス・ハイブリッドのスペック

価格:1万4385ポンド(205万円)
全長:3571mm
全幅:1627mm
全高:1488mm
最高速度:154km/h
0-100km/h加速:14.7秒
燃費:17.5km/L
CO2排出量:-
乾燥重量:1100kg(予想)
パワートレイン:直列3気筒999cc自然吸気+BSG
使用燃料:ガソリン
最高出力:70ps/6000rpm
最大トルク:9.3kg-m/3500rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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