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高級車の新しいカタチ──新型メルセデス・ベンツEQS試乗記

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高級車の新しいカタチ──新型メルセデス・ベンツEQS試乗記

メルセデス・ベンツのEQシリーズに追加された「EQS」に小川フミオが試乗した。日本に上陸したばかりの最新かつ大型のピュアEVの実力とは?

航続距離は700km!

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新感覚のクルマに乗ってみたいなら、メルセデス・ベンツの新型車「EQS」がお勧めだ。日本では、2022年9月29日に発表・発売された、斬新なデザインで際立つピュアEV。力強い走り、高い静粛性、それに“もてなし感”あふれるインテリアは印象的だ。

EQはメルセデス・ベンツのピュアEVのブランド。フォルクスワーゲンだと「ID.」、BMWなら「i」、それにアウディでは「e-tron」と、ドイツの各社とも専用ブランドを確立している。それだけ“本気”ということだ。

じっさい、EQSはピュアEVの魅力をふんだんに感じさせてくれる。ひとつはパワー。今回試乗した「EQS 450+(プラス)」は、245kW(333ps)の最高出力と568Nmの最大トルクを発生するモーター搭載で、2.5tを超えるボディを力強く加速させる。

「450+」というグレード名のゆらいは、ドイツ本国のラインナップにおいて、「450 4MATIC」との差別化と説明される。プラスとあるぶんバッテリーが大きく、なんと107.8kWh(ポルシェ「タイカン」で93.4kWh)。450+の航続距離は700kmに達するとされる。

実際、東京都内の高速道路を20~30kmぐらい走りまわったぐらいではバッテリーはほとんど減らず、2時間ほどで残量は96%と出た。

交流普通充電は6.0kWまで、直流急速充電(CHAdeMO規格)は150kWまで、日本では対応するという。しかし、高速を飛ばして山道を走って遠出して……なんて、このクルマのバッテリー性能をフルにバックアップできるようなインフラは、日本で見つけるのはなかなか難しそうだ。

モーターはリアに1基搭載し、後輪駆動。見かけは「CLS」を思わせるクーペライクなセダン。以前ならフロントに6気筒か8気筒のエンジンを搭載していただろうが、じつはまったく違う……というのが、私には感慨ぶかかった。

プロファイル(側面)をよく見ると、ノーズは短く、乗員の乗るキャビンが占める割合が大きいようだ。円弧を強調したシルエットだが、ホイールベースは3210mmもあり(同時発表されたEQEより90mm長い)、後席の広々感は特筆にあたいする。

あえてEVの個性を強調したようなスタイリングを採用しておらず、いってみればフツウのセダン。そこが、逆に新しい。

斬新なインパネまわり操縦感覚も同様だった。ひとことでいうとスムーズ。

気持ちよく加速し、そして、曲がり、しっかり止まる。加速感はよく出来たエンジン車(ただし無音)のようだし、ステアリング・ホイールを切ったときの操舵感はメルセデス・ベンツのEクラスとかSクラスのように自然。車線変更も、カーブを曲がる動きも、ドライブする私の感覚にあらがうようなところは一切ない。

450+は最大4.5度まで後輪に舵角のつくリア・アクスルステアリングを採用している。狭い場所で大きくステアリング・ホイールを切ったとき、後輪が前輪と反対の方向を向くことによって、車両の取りまわしがよくなったり、小さなコーナーでの小回り性が上がったりするのがメリットとしてあげられている。

450+の動きはナチュラルで、後輪に舵角がついたときの違和感は、テストドライブ中はまったく感じられなかった。

EQSのサスペンションはフロントに 4 リンク式、リアにマルチリンク式を採用。これに、連続可変ダンピングシステム「ADS+」とエア・サスペンションを組み合わせた「AIRMATIC」を標準装備。前席も後席も、乗員は不快な揺れを感じることは皆無。フラットライド感はおみごと!

これまでと大きく違うのは、ダッシュボードを中心とした前席まわりのデザインだ。「MBUX ハイパースクリーン」と名づけられた新世代のダッシュボードは、コックピットディスプレイ(12.3 インチ)、メディアディスプレイ(17.7 インチ)、そして助手席用ディスプレイ(12.3 インチ)をそなえ、それらを1枚のガラスで覆っている大胆なデザインだ。

「幅 141cm にわたって広がる大きなスクリーン」と、メルセデス・ベンツ日本では表現している。ドアを開けたときに、息を吞むくらい驚く。おもしろいのは、助手席用のディスプレイの独立性を確立している点だ。

助手席だけで動画などを楽しめるうえに、ドライバーがそちらに感心を示すと、目の動きをセンシングしている車内のシステムが、助手席のディスプレイを減光し、運転者をブロック。運転への集中力が途切れないようにしている。

運転席のヘッドアップディスプレイも奥行きがあって、先行車のリアエンドぐらいの仮想の距離に表示される。

なので、目が疲れない。手の動きや目の動きといった要素を研究し、人間を新しいシステムに慣れさせるのではなく、クルマが人間の感覚に寄り沿うようにしているのだ。こうしたコンセプトは世界でもっとも先進的ではないだろうか。

EQSという車名からして、内燃機関搭載のSクラスが将来的に替わるモデルになるのでは? と、想像もしたくなる。じっさいのところはよくわからないけれど、そうなってもフシギはないほどEQSの完成度は高かった。

ただし、Sクラスほどフォーマルな佇まいではないので、どちらかといえばCLSのEQ版と考えるのがベターかもしれない。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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