モータースポーツの最高峰であるF1には、互いに競い合うことを好み、勝つためには手段を選ばないような者たちが集まってくる。「最高のドライバーになりたい」「最高のマシンを作りたい」といった欲望は、やがてレギュレーションの“合法ギリギリ”を狙うといった行動に繋がる。チームは時間をかけて話し合い、ルールを見極めて自分たちなりの解釈を導き出すが、それが合法とされるラインを超えてしまうこともある。
一方、ライバルに対して少しでも優位に立つため、明らかに悪質な不正行為に手を染めたチームやドライバーもいる。もちろん、不正行為は見つかれば厳しい罰則の対象になるため、彼らはその事実をできる限り隠蔽しようとする。
■【特集】勝利への執念があってはならない方向に……F1史に残る不正行為を振り返る:前編
こういった不正行為は、ドライバーがコース上で行なうものや、チームが技術面で行なうものなど多岐にわたる。これまでF1チームやドライバーがアドバンテージを得るために行なった様々な不正行為や悪事、ルール違反の中から、特に有名なものを見ていこう。今回はその後編
1. B.A.R 007、“秘密の”燃料タンク
ジェンソン・バトンと佐藤琢磨を擁し、2004年シーズンのF1でコンストラクターズランキング2位を獲得したB.A.R。2005年シーズンもドライバーラインアップを継続し、チーム史上最高の1年となった2004年を上回る成績を目指したが、開幕3レースで1ポイントも獲得することができず、出足からつまずいてしまった。
ただ第4戦サンマリノGPではバトンが3位、佐藤が5位に入り、本来の力を取り戻すことができた。しかし、レース後車検の結果バトンのマシンは最低重量に5kg満たないことが発覚し、失格処分となってしまった。B.A.R 007は通常の燃料タンクから燃料を抜いただけの状態では重量制限をクリアしていたが、スチュワードはふたつ目の燃料タンクが存在することを発見。ここからも燃料を抜いた結果、規定重量を下回ったのだ。
B.A.R側はこのタンクにある燃料は「エンジンを動かすために最低限必要な燃料」であると主張。つまり、この燃料はレース中に消費されるものではなく、実質的には車体重量の一部だという解釈を展開したのだ。スチュワードも当初はその言い分が正当であると判断し、一度は裁定が保留された。
しかしFIAはこれを不服として控訴。その結果、国際控訴裁判所もFIAの主張を認めた。B.A.Rの燃費データも調査されたが、レース全体を通してB.A.R 007が本当に適正な重量を保っていたかどうかは断言できなかった。
ルールの解釈のズレによって起こったこの失格騒動により、B.A.Rは2台共サンマリノGPのリザルトから除外され、続く2レース(スペインGP、モナコGP)の出場停止を言い渡された。B.A.Rはこの年コンストラクターズランキング6位に終わり、2006年からはホンダがチームを買収。ホンダワークスチームとして2008年まで活動した。
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