佐々木は慶應義塾志木高等学校在学中、フォーミュラデビューを果たす(フォーミュラチャレンジ・ジャパンに参戦)。とはいえ、この頃の佐々木は、レーシングカートを極めるのに必死だったという。
「当時、フォーミュラなどカート以外の種目には、ほとんど興味がありませんでした。とはいえ、せっかくのチャンスを活かさないのはもったいない! と、思い、参戦を決意しました」
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2011年、全日本フォーミュラ3参戦時。2011年シーズンは総合4位だった。日産自動車のバックアップのもと、2008年にフォーミュラへ参戦すると、すぐ好成績を出すようになった。2009年、フォーミュラチャレンジ・ジャパン参戦2年目には、なんとシリーズ2位を獲得する。
ちなみに当時、日産自動車以外のメーカーからも声をかけられたというが「すぐ(フォーミュラの)レースに参戦出来るのが最大の魅力でした。ほかのメーカーは、養成スクールに1年間通わなければいけなかったので……」との理由で、日産自動車を選んだという。
佐々木大樹編 前編はこちら!
2011年の全日本フォーミュラ3選手権、第15戦(スポーツランドSUGO)優勝時。2011年の全日本フォーミュラ3選手権、第15戦(スポーツランドSUGO)優勝時。とはいえ、佐々木も不安だった。「(フォーミュラで)結果を残せなかったら一切のモータースポーツ活動をやめようと考えていました」と、話す。こうした不安もあってか、「大学へは必ず進学しよう」と思い、勉学に励んだという。結果、慶應義塾大学法学部政治学科に進学を果たす。
佐々木大樹(ささきだいき)。1991年10月15日生まれ。1997年より、モータースポーツ活動(レーシングカート)を開始。数々の大会でタイトルを獲得する。2008年、フォーミュラに参戦(フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン)。2013年よりSUPER GTに参戦する。現在、SUPER GT GT500クラスの「TEAM IMPUL」の、ドライバーとして活躍する。趣味は旅行・ゴルフ・映画鑑賞・海外ドラマ鑑賞。慶應義塾大学法学部政治学科卒。「大学進学は多くの人から反対されました。高校3年生のとき、全日本F3選手権へ出走する話が飛び込みました。ちょうど志望学部を決めなくてはいけない時期だったのですが、周囲に相談すると『モータースポーツ活動と勉学は両立出来ない』と、一蹴されました」
当時、所属チームの一部メンバーからも「モータースポーツ活動と大学生活、いずれかに絞りなさい」と、言われたという。しかし佐々木は、“やってみなきゃわからない”、というわけでキャンバスライフとモータースポーツ活動を同時に実践した。
「(全日本F3選手権で)結果を残せなかったら、モータースポーツの世界から身を引こうと思っていました」と、佐々木は話す。大学卒業後、多くの大学生とおなじく、民間企業に就職する可能性があるかもしれない……と、思ったりもしたという。
佐々木大樹編 前編はこちら!
2012年はSUPER GTにスポット参戦。第5戦(鈴鹿サーキット)では2位に入賞。2013年のSUPER GTは、日産の若手ドライバー育成を目的に創設されたチーム「ニッサン・ドライバー・デベロップメント・プログラム」よりGT300クラスにシリーズ参戦した。しかし佐々木は、見事、学業とモータースポーツ活動を両立させた。驚いたことに、全日本F3選手権、SUPER GTのみならず、プロレーシングカートのレースにも出走していたという。
「レーシングカート活動を続けるのには理由があります。カート用タイヤの開発に携わっているのもありますが、若いレーサーが持つ“技術”や“技”を学ぶ意味もあります」
ちなみに、GTドライバーでレーシングカートに参戦する人はほとんどいないという。「若い選手に負ける可能性があるからでは?」と、佐々木は推測する。プライドが傷つくのだ。では、なぜ佐々木は参戦するのか?
「レーシングカートを極めたいのはもちろん、常にタイムを、常に上位を目指しているからです」と、佐々木は話す。彼自身のモータースポーツ活動に、終わりはないのだ。
佐々木選手は、2019年オートバックス全日本カート選手権に参戦している。2019 全日本カート選手権 OKクラス 第3戦で優勝した佐々木選手。KartPhoto.Yokota佐々木選手の魅力は「冷静」、そして「情熱」22歳(2014年)からSUPER GT GT500クラスに参戦する佐々木に、今後の目標を訊いた。
SUPER GT GT500クラスには2014年よりKONDO RACINGのドライバーとして参戦。参戦初年度の第7戦(チャーン インターナショナル サーキット)は2位に入賞。「まずはGT500クラスでチャンピオンを獲得したいです。そして、日産のエースドライバーとして23号車を操りたいです」と、話す。そしてまた、「叶うならフォーミュラEなどもチャレンジしたいです。世界で注目されるドライバーになりたいですね」と、述べる。
休日は映画鑑賞や、バドミントンなどといったスポーツを楽しんでいるという。では、40~50代になったときはいかに?
「40~50代になっても現役ドライバーであり続けたいです。ボクはとにかく運転が好きなんです。だから、生涯ハンドルを握り続けたいです」
現状、チーム運営やマネジメント、監督業などはそれほど興味がないという。兎にも角にも“現役”であることに佐々木はこだわる。
意外だったのは、クルマ(乗用車)についてそれほど詳しくないという。「運転は好きですが、クルマの名前やスペックは詳しくありません。ちなみに、今、乗っているのは『エクストレイル』です。遊びに行くときなど便利ですから。エクストレイルは何台か乗り継いでいます」と、話す。
どうやらレジャーで使い倒しているようだったので、筆者が「なぜ、室内空間がより広大な『エルグランド』を選ばなかったのですか?」と、訊くと、「ボディが大きいゆえ、ぶつけてしまう気がするので……」とのこと。多くのレーシングドライバーがプライベートでスポーツカーを所有しているのとは対照的だ。
「運転がとにかく好きなんです」と、話す佐々木選手。気になるクルマについて訊くと「いずれはプライベートでNISSAN GT-Rを所有したいです」とのこと。「エクストレイルとは別に、レーシングカート運搬用の『NV350キャラバン』を所有しています。保有車はこの2台のみです。おそらく、レーシングドライバーのなかでは、“堅実”な部類になるのでは? と、思います(笑)」と、佐々木は言う。
レースや経済面含む物事のあらゆる考え方が、とても20代とは思えぬほどしっかりしている。そういえば、佐々木はこんなことも述べた。
「ボクは感情をほとんど出さないんです。あまりにも冷静ゆえ、監督に『もっと熱くなれ!』と、注意されるほどです。今まで感情を表にだしたレースは2回だけかもしれません。ひとつは2015年のSUPER GT第4戦(富士スピードウェイ)の初優勝時、もうひとつは2012年のWorld Karting Championshipです」
Super GT 2015 round 4 race reportSUPER GT参戦2年目(2015年シーズン)の第4戦(富士スピードウェイ)で、GT500クラス参戦初の1位を獲得する。佐々木の冷静沈着ぶりをあらわすエピソードはほかにもある。SUPER GTに参戦してから約6年のあいだ、クラッシュやペナルティの経験がほとんどないという。
佐々木の落ち着いた口調から、モータースポーツ活動への情熱が語られると、彼は、まさに“冷静と情熱のあいだ”に位置する稀有なレーシングドライバーであるのをひしひしと感じるのであった。
文・稲垣 邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)
<現代レーサー物語 過去記事>
・佐々木大樹編 前編
・武藤英紀編 前編/後編
・平手晃平編 前編/後編
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