鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーフォーミュラ第8戦で、TEAM MUGENの岩佐歩夢は2番グリッドにマシンを並べながらスタートできず……最後尾まで後退してしまった。最終的には巻き返し、9位でフィニッシュ。大逆転でのタイトル獲得の望みは潰えた。
岩佐はスタート時のトラブルについて、「ギヤが入らないようになる制御がかかってしまった」と明かした。
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岩佐は予選Q1のA組を3番手で突破。ここからQ2に向けてステップアップすることができ、フロントロウ2番グリッドを掴んだ。ポールポジションを逃したことは悔やみつつも、まずまずの結果だったと岩佐は振り返る。
「Q1はあんまり良くなくて、Q2に向けて何かしらステップを踏まなきゃいけないなという状態だったんですけど、Q1のB組の様子を見ることができて、それを参考にQ2に向けてアジャストすることができました。それが良い形でハマって、2番手までもってこれた。それはすごく良かったと思います」
岩佐はそう予選を振り返った。
「もちろんポールポジションを獲れなかったのは悔しいですが、まずまずの結果だったと思います」
そして期待を胸に挑んだ決勝レースでは、いきなり岩佐を悲劇が襲う。レッドシグナルが全て消え、スタートの合図が切られたその瞬間、岩佐のマシンはまったく動くことができなかったのだ。トラブルだったという。
「詳しくはお話しできないんですが、説明として聞いているのは、ギヤが入らないようにカットというか、制御するシステムがマシンにあったようです。僕の方からは何をしてもギヤが入らないという状態になってしまいました。ひと言で言うとトラブルです」
今季岩佐は、度々スタートがうまくいかないという問題に見舞われた。ただ今回の問題は、今季これまでに悩まされてきたモノとは、まったく別のモノだと岩佐は明かす。
「症状としてはまったく別です。今回に関してはクラッチとかそういうモノではなく、マシンの制御というかコンピュータというか、そっちのトラブルです」
「ギヤなどを守るためのモノが働いてしまって……それは僕の方では正直どうしようもなかったです」
ただ岩佐曰く、スタートがうまくいっていたとしても、レースペース自体が良くなかったため、それは日曜日の第9戦に向けて改善しなければいけない部分だと語った。
「レースペースも正直良くありませんでした。レース全体として、色々と見直さなければいけない部分があったと思います」
「そもそも鈴鹿サーキットは、タイヤのデグラデーション(性能劣化)がそこそこあるサーキットなので、落ち幅は結構大きかったですけど、タイヤが良い時であってもペースは良くなかったと考えているので、全体的なパフォーマンスは上げていかなければいけません」
最後尾まで下がったにもかかわらず、入賞圏内まで上がれたのは、6台がリタイアするという波乱のレースだったこと、そしてセーフティカー中にピットストップを済ませることができたことが後押しになっている。
セーフティカーのタイミングは、自分にとってはラッキーだったという岩佐だが、そこから追い上げるには、残りの周回数が足りなかったと語った。
「セーフティカーが入ったことにより、タイヤのウォームアップ分を稼ぐことができたりしました。それについては、ラッキーだったと思います」
「タイヤが良い状態でもっとプッシュしたかったんですが、最後の3周しか戦えなかったのは、惜しかったなと思いますね」
「2回のセーフティカーのタイミングで、タイヤのグリップの良い状態のマシンが前にいました。それだと、抜けない状態になってしまいます。それも少し痛かったと思います」
なおレース終盤、笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)と大嶋和也(docomo business ROOKIE)が接触するという事故が発生したが、岩佐はこのすぐ真後ろにいた。曰く、タイヤスモークで前を視認することが難しく、危険な状態だったという。
「目の前で2台が絡んだんです。でも1台がアクセルを踏み続けたのか、白煙がすごく上がって、コース上の視界が真っ白になってしまいました。危なかったです」
「ある程度様子を見ながら通過していこうとした時に1台に抜かれてしまいました。僕は左に避けたんですが、ギリギリのタイミングでした」
昨年はFIA F2で活躍し、今年はF1参戦を目指してスーパーフォーミュラを戦ってきた岩佐。タイトル獲得の望みは潰えて、最終戦を迎えることになった。
その最後の1戦に向け、全力で戦い抜くと、岩佐は語った。
「今日の予選とレースから、改善しなければいけない部分が色々あります。でも、とりあえず切り替えてやるしかありません」
「チームとしての反省点、改善しなければいけない点がありますが、切り替えて最後まで、とにかく全力でやり切りたいと思います」
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