ジェンソン・バトンは、ハーツ・チーム・JOTAが来季2024年のWEC世界耐久選手権に向けてキャデラックのファクトリー・プログラムへ移行することがが予想されるなか、JOTAスポーツに残留することが「間違いなくベストな選択」だと語った。
今シーズンより、ハーツ・チーム・JOTAが走らせる38号車ポルシェ963でWECのトップカテゴリーを戦っている元F1ワールドチャンピオンは、姉妹車12号車ポルシェがスパ・フランコルシャン6時間レースでハイパーカークラス初優勝を飾ったイギリスのプライベーターに“スター性”をもたらしている。
カギを握るJOTAの動向。キャデラックの次期ワークス活動を担うチームはどこか
今週末、『サンパウロ6時間』が開催されるインテルラゴス・サーキットでSportscar365のインタビューに応じたバトンは、44歳のイギリス人がフルタイムでレースを続けることを選択した場合、来年もWECのグリッドに残る可能性が高いと強調した。
「来年もシーズンを通してレースに出場するとしたら、間違いなくこのシリーズだろう」と彼は語った。「充分な時間を確保しながら、すべてがうまくいくようにするんだ」
バトンは、2025年のプログラム案ではより多くのテストに参加することになるだろうと述べ、今夏後半に発表されることが予想されるキャデラックとJOTAのパートナーシップについては言及しなかったが、メーカーとしての取り組みを示唆した。
「来年のWECでは、おそらく今年よりも忙しくなるだろうが、クルマに乗る時間が増えることは(僕にとって)つねにポジティブなことだから、それはいいことだ」
「基本的に、僕たちは3人のドライバーでレースを転戦し各ラウンドで計4時間の(プラクティスに)参加するが、実際にはそれほど多くクルマに乗っているわけではない」
「(クルマに乗る機会が増えることは)いいことだけど、とにかく忙しい僕のスケジュールの多くを占めることになる」
「もしも100パーセントの状態でレースに臨めないのであれば、それは意味がない。反対に100パーセントになれるとしたら、来年も間違いなくレースをするだろう」
バトンは、刻々と変化するドライバー市場のなかで、もしJOTAという選択肢があれば、それを第一候補にすると繰り返した。
「本当にこのチームに残りたいと思っている。それは間違いなく最善の選択肢だ」
「JOTAは家族のようなもので、僕はチームのことをよく知っている。何年もあるいは何十年も前から知っているんだ」
「ひとつの大きな家族のようなものだ。レースに出ること自体もエキサイティングだけど、彼らと一緒にやることで特別なものになるんだ」
■6名中3名はワークスドライバーか
JOTAスポーツが予定しているキャデラックVシリーズ.Rの2台体制は、アメリカのメーカーと契約している3人のファクトリードライバーと、イギリスのプライベートチームに関係する3人のドライバーで構成されるとみられている。
アール・バンバーとアレックス・リンは、キャデラックの前線に残ることが決まっている。一方、長年JOTAとともにレースを戦ってきたアントニオ・フェリックス・ダ・コスタは当初候補に挙がっていたものの、彼は引き続きABB FIAフォーミュラE世界選手権でのポルシェのプログラムに専念することになった。
JOTAキャデラックのシートにはバトンに加えて、現在12号車をドライブしているカラム・アイロットも候補挙がっているが、アロウ・マクラーレンが2025年のラインアップを固めているにもかかわらず、25歳の彼はNTTインディカー・シリーズのオプションを持っていると理解されている。
またSportscar365は、プジョーのドライバーであるニコ・ミューラーもJOTAと交渉していたが、彼はもはや選択肢から外れているものと理解している。
■F1タイトル獲得の地へ
2009年のF1ワールドチャンピオンであるバトンは今週末、有名なブラジルの会場での実績をさらに増やすことを期待して、8年ぶりにインテルラゴス・サーキットに戻ってきた。
44歳の彼は記者団に次のように語った。「多くの思い出がある。『ここでワールドチャンピオンになったね』と言われるけどそれだけではなく、たくさんの思い出があるんだ」
「F1での最後の勝利(2012年)はここだった。でも、僕がF1で初めてポイントを獲得したのもF1デビュー2戦目のブラジルGP、2000年のレースだった」
「暑いとき、寒いとき、雨のとき、豪雨のとき……さまざまな状況でレースをしてきた。それはひとつの経験だった」
「ここでの最後のレースは8年前で、ずいぶん前のことになる。だからといって、また新たな経験になるというわけではないが、ここでハイパーカーをドライブするのは、たしかに新しい経験だ」
「サーキットでマシンを学ぶのが楽しみだし、ここでは多くの経験を積んでいるから、それをチームメイトやチームに伝えることができる。僕たちが共有した情報をもとに走り出せば、すぐにクルマのいいベースができると思うよ」
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