フィアットの救世主となった新生500
21世紀が始まった頃、フィアットは魅力に欠けるラインナップで、販売減少に悩んでいた。これを打開すべく当時のトップ、ルカ・デメオ氏は、ミニ復活へ携わったデザイナー、フランク・スティーブンソン氏へ接触。小型ハッチバックのデザインを依頼した。
【画像】17年作られた小さな「救世主」 フィアット500 最新の電動版500 アバルトも 全114枚
果たして、復活を遂げた500(チンクエチェント)は救世主となった。2007年に発売され、2022年までに300万台以上を販売。その後、新たにデメオはルノーの指揮を取り、5(サンク)をバッテリーEVで復活させたのは、当然の流れかもしれない。
オリジナルの雰囲気を継承しつつ、500はカスタマイズ範囲の広さでもユーザーの心を掴んだ。発表当時、54万9000通り以上の組み合わせがあると主張されていた。ネットを検索すれば、ブルーやレッド、イエローなど、様々な色に塗られた中古車が見つかる。
当初、英国仕様のエントリーグレードだったのがポップ。集中ドアロックにパワーウインドウ、MP3対応ステレオなど装備も充実している。その上のポップスターでは、エアコンが追加される。
これから乗るなら、最上級のラウンジが望ましいだろう。アルミホイールとサンルーフ、分割可倒式のリアシートなどが装備される。
エンジンは複数存在。100psの1.4Lガソリンは、0-100km/h加速を10.3秒でこなした。最高出力は6000rpmで発揮されるため、活発に走るにはしっかり回す必要はあったが。1.2Lは、英国仕様で69ps。1.3Lのマルチジェット・ディーゼルターボもある。
マイチェンで走りをアプデ 特長は最後まで不変
英国仕様のトランスミッションは、心地良くギアを選べるマニュアルと、一般的なオートマティックの他に、SMGと呼ばれたセミ・オートマティックも選べた。ただし、後者の変速は少々ぎこちない。
2010年には、ツインエアと呼ばれた0.9Lの2気筒エンジンが追加。独特のビートを響かせながら、6000rpmまで軽快に回る。現実的な燃費は14.0km/L前後で、期待ほど高効率なわけではないけれど。
電動化技術を得たのは、2020年。1.0Lのマイルド・ハイブリッドが導入されている。燃費は普段使いで19.5km/Lを狙えるものの、年式が新しいだけに中古車価格はお高めだ。
モデル初期の500は、乗り心地や操縦性で同時期のミニに届いていなかった。しかし2015年のマイナーチェンジで、サスペンションをアップデート。大幅に改善している。
バンパーやヘッドライト、テールライト、フロントグリルなどの形状も僅かに変更。Uコネクトと呼ばれる、インフォテインメント用タッチモニターと、ソフト加工された内装も与えられた。
このマイナーチェンジで、0.9Lのツインエアは105psへ上昇。1.2Lは、ユーロ6規制に合致する環境性能を得てもいる。
20年近く生産されている500だが、基本的な特徴は最後まで変わらない。1950年代のオリジナルへ通じる、魅力を備えると表現してもいいだろう。多少の不満はあるかもしれないが、それも個性の1つだろう。
新車時代のAUTOCARの評価は?
数か月前に英国でも発売された500は、数か月先まで売り切れ。スタイリングは特有の雰囲気を放ち、インテリアも抜かりなし。それを考えれば、人気は納得できる。しっかりとした作り込みの良さも感じられる。
ミニに並ぶ訴求力を維持するには、見た目だけでなく中身も重要。動的な能力は、注目を集めるデザインには届いていないだろう。実用性も高いとはいえない。それでも運転は面白く、オーナーの気持ちを満たす実力は充分にある。(2007年9月19日)
オーナーの意見を聞いてみる
クリス・エルストン氏
「500は、単なるクルマではありません。家族の一員です。魅力的で個性的で、ずっと前から欲しいと考えてきました。その願いを叶えることができたのは、2年前です」
「運転は楽しいですよ。目的地を決めずに、ドライブすることも多いです。わざわざ遠回りすることも。付けたあだ名は、フローレンスです」
「定期的な点検・整備意外に、高額な費用で悩んだことは今のところありません。信頼性は高いようですね。仮に故障しても、このクルマなしでは生きていけないので、修理を決めると思いますが」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
ラジエーター・クーラントのリザーバータンクが割れ、クーラントが漏れることがある。駐車時にクルマの下へ不自然なシミを見つけたら、早めに交換したい。
コイルパックは経年劣化で不調になる。費用は100ポンド(約2万円)もしないので、予防的に交換するのも悪くないだろう。
候補が決まったら、予めエンジンが冷えた状態から、少し長めに試乗してみたい。走行中にガソリンの匂いが車内へ漂う場合は、インジェクターシールの劣化が疑われる。
排気系統
排気マニフォールドと接続するフレキシパイプは、シール付近から錆びることが珍しくない。悪化すると割れてしまう。排気音が不自然にうるさくないか確かめたい。
マフラーパイプを固定するクランプも、腐食しがち。強度が落ち、部品を支えきれなくなることも。
トランスミッション
ディーゼルターボのMTの場合、2500-3000rpmの間でクラッチが異常振動することがある。クラッチのマスターシリンダーへつながる、パイプの劣化が原因という場合が多い。部品の交換で簡単に治る。
ボディ
ドアハンドルのヒンジが壊れやすい。ドアの内張りを剥がす作業となり、簡単には交換できない。
サスペンション
ブッシュは劣化する。交換にはバンパーを取り外す必要があり、作業料が膨らみがち。
知っておくべきこと
フィアットは、ファッション・ブランドやスポーツカー・メーカーとコラボした500を複数提供している。500 フォア・フェラーリや、500 ピンクなどが存在した。
その中の1つ、500 バイ・グッチの場合、ファッションデザイナーのフリーダ・ジャンニーニ氏がドレスアップ。グッチのロゴやストライプ、レッドとグリーンのインテリア・アクセントなどが与えられている。
英国ではいくら払うべき?
1000ポンド(約20万円)~4499ポンド(約87万円)
走行距離が長い、複数オーナーの500が英国では売られている価格帯。探せば、ディーラーでの整備記録が残る、状態の悪くないベースモデルも見つかる。
4500ポンド(約88万円)~8499ポンド(約165万円)
状態の良い500が増えてくる。走行距離やオーナー数などはまちまち。ワンオーナー車や、特別仕様なども含まれる。
8500ポンド(約166万円)~1万2499ポンド(約233万円)
フェイスリフト後の500を英国で探すなら、この価格帯から。走行距離は全体的に短くなる。エンジンは1.2Lのガソリンが多いようだ。
1万2500ポンド(約234万円)以上
特に状態の良いフェイスリフト後の500なら、英国ではこの価格帯まで奮発したい。ディーラーで整備を受け続けてきた、ワンオーナーの望ましい例も出てくる。執筆時に1台見つけた500 フォア・フェラーリは、1万8000ポンド(約351万円)だった。
英国で掘り出し物を発見
フィアット500 ツインエア・ラウンジ(英国仕様) 登録:2016年 走行距離:7万8800km 価格:6495ポンド(約127万円)
フェイスリフト後のツインエア。運転初心者にも好適なチョイスといえる。ワンオーナー車で、整備記録もしっかり残っているそうだ。
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みんなのコメント
昨日のことのようだけどね。
プントアバルトもなかなかカッコよかったよ。