もくじ
ー マセラティを救った3200GT
ー 火を入れた瞬間から強烈
ー マセラティ3200GTのスペック
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マセラティを救った3200GT
「野性味むき出し」
スポーツモードの時の3200の性格を伝える言葉はこれしかない。
それをオフにすると、その野性味が少しだけ鈍る。これが批判ではないのは、わたしの好みにぴたりと合っているからである。DB7の後にこのクルマに乗ると、このGTは無条件に脳を痺れさせる。3200は、攻撃的なスズメバチのようなクルマなのだから。
低迷していたこのブランドを立ち直らせるのにまさに打ってつけの1台だった。1993年にフィアットがデ・トマソの支配権を買収したことで、マセラティはトリノを拠点とする巨大メーカーの傘下に加わった。
突然、マセラティ復活のためにこれまで考えられなかったような資金が投じられたのである。皮肉なことに、このマセラティ再生の先頭に立ったのは、かつてのライバル、フェラーリであった。
ジウジアーロ率いるイタルデザインの手によるボディは、ひとを魅惑する存在感がある。フロントヘッドライトは、DB7にかなり似て見えるが、流れるようなキャラクターラインや丸みのあるショルダー、裁ち切られたテールが攻撃的な印象を与えている。
巧みな視覚効果によって今回採り上げたほかのGTに比べてずっとコンパクトに見えるが、その差はわずか4インチ。にもかかわらずフェラーリ456と同じようにリアに背の高い大人がふたり座れるほど実用的だ。
ふんだんに使われたソフトレザー、サポートに極めて優れる電動シートなど、仕上げのクオリティもフェラーリに匹敵する。
火を入れた瞬間から強烈
ツインターボV8エンジンは、火を入れた瞬間から強烈だ。スロットルをわずかに踏み込むだけで、まるでウインドタービンのように猛烈に回転を高める。フライバイワイヤー方式のスロットルは馴れるのに少し手間取るほど神経質だ。
激しく踏み込んで4本のエグゾーストから轟音を鳴り響かせたり、びくびくしながら撫でるようにアクセルに触れるという両極端な動作を行き来することになる。その中間の手応えを掴めると、クルマの圧倒的なパフォーマンスに酔いしれるはずだ。
ほかの3台よりも出力は高いが、ストレート以外も得意である。ステアリングはもう少しフィードバックが欲しいが、高速でコーナーに入ると、思い描いたラインを忠実に辿れるのだ。トラクションコントロールをオンにしていても、リアのグリップは徐々に失われてゆくが、限界が近づくとちゃんと感じ取れる。
オートマティックトランスミッションが足を引っ張らないのも喜ばしい。シフトはスムーズで激しいパワーがドライバーの血をたぎらせるが、サスペンションは実に快適だ。ブレンボの巨大なキャリパーの強い制動力も頼もしい。
後期型になると、スロットル特性がやや抑えられてしまう。パンチのある走りと目眩のするような加速を楽しみたければオリジナルモデルを選ぼう。£20,000(260万円)でこんなに最上のコンディションが手に入るなんて、もう盗みに近い。
マセラティ3200GTのスペック
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