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ZF 第3回ZF TRW先端技術レポート 世界最先端ブレーキバイワイヤとリヤ操舵 ポルシェは後輪操舵している

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ZF 第3回ZF TRW先端技術レポート 世界最先端ブレーキバイワイヤとリヤ操舵 ポルシェは後輪操舵している

ドイツ・ベルリン郊外で行なわれたZF最先端技術説明会&試乗会の1回目はCEOのインタビュー。2回目はZFの十八番、トランスミッションとアクティブ、パッシブセーフティに関するものだった。3回目の今回はドライバビリティを創りだす要素、ブレーキと操舵に関するレポートをお送りする。<レポート:高橋 明/Akira Takahashi>

IBC(インテグレーテッド・ブレーキ・システム)はブレーキバイワイヤ技術により油圧制御と協調した回生ブレーキが利用できる技術で、ハイブリッド車に限らず、すべてのパワートレーンに対応できるものだ。ガソリン、ディーゼルはもちろん、ハイブリッド、そして電気自動車にも対応する。

そしてACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)やAEB(自動緊急ブレーキ)搭載車にも対応し、さらに半自動運転、完全自動運転車両、つまり高度運転支援技術搭載車に対応する先端ブレーキシステムだ。ちなみに、車載可能なサイズは小型車から大型トラックまで可能。

ポイントは従来のマスターバック(バキュームブースター)のように、吸気マニホールドの負圧を使わず、モーターで油圧を上げる方法をとっている。こうすることで減速エネルギーでブレーキ油圧を高める仕組みが可能となり、通常の油圧ブレーキの状態と組み合わせて利用することができる。したがってZFでは、CO2を低減でき省燃費へ貢献するものだと説明していた。ちなみに圧力は0.15秒で100Bar立ち上がり、Dセグメントクラスでブレーキペダル踏力が500Nのとき-0.65g踏力軽減できる。

試乗車はBMW5シリーズ・ハイブリッドで、さまざまシチュエーションを設定したサーキットを走行し、車載モニターで通常油圧、回生ブレーキトルクの立ち上がりの割合を目視確認しながらのテストだった。残念ながら、その写真は撮れなかったがドライブフィールとしては通常の油圧ブレーキとの差を感じることはできなかった。それだけ、緻密な制御ができると想像する。

ハイブリッド車でよく感じる、油圧ブレーキとのタッチ、フィールの差が全くなかった。特にブレーキのファーストタッチや止まる寸前のフィール、またバッテリー状態の影響を受け、踏力が同じでも減速力に変化がでてしまう、というのがハイブリッド車によくある傾向だが、このIBCは、その違いを感じさせないレベルだった。

IBC搭載の市販モデルはまだないが、2018年より搭載され始めるという。

◆AKCアクティブ・キネマティック・コントロール
ZFが開発している後輪操舵搭載モデルにも試乗できた。すでに市販されているモデルは、アウディQ7やポルシェ911GT3、GT3RSなどで、工場出荷時は標準搭載されている。

後輪操舵が稼働すると、ハンドル操作時の機敏性や安定性、快適性が向上するとされ、試乗したのは後輪操舵だけで走行体験できるテスト車両だ。写真を見てわかるように、助手席にハンドルが取り付けられ、このハンドルはリヤタイヤだけを操舵する。

後輪操舵機構としては、リヤ・アクスルのトーアングルを変更することができ、最大4度から5度動き、60km/h以下では同位相に、それ以上の速度では逆位相に操舵する。低速度域では回頭性が高まり、高速域では安定性が高まる。こうすることでタイヤのグリップ力をより限界まで利用でき、俊敏な走りや、高速安定性を手にすることができる。

具体的には、アクチュエータがリヤ・アクスル中央に1つあるタイプと、リヤサスペンションの左右それぞれに装着するタイプがあり、ポルシェはアクチュエータを2つ使うタイプを採用している。このタイプは左右別々に作動角も可変でき、あらゆるコーナリングアクションをアシストすることができる。

2ハンドルのテスト車両に試乗してみると、ハンドル自体の舵角はせいぜい45度程度しか切れない。その角度に対しリヤタイヤのトー変化は最大5度。5度という角度は良く見ないと切れているのかどうか?もわかりにくいほど微小舵角だ。しかし、クルマはコーナリングをする。テストコースは操舵フィール、つまり曲がることを体感するために設置されたコースで、滅多にできない体験だった。

以前、他のサプライヤーでリヤ操舵の車両を試乗した際、曲がることが得意なシステムであることを経験したが、肝心の直進の安定性が感じにくくなってしまう弊害があったことを思い出した。それは、しっかりとした座りのフィールが悪く、どこか落ち着かない感じがあるのだ。しかし、今回のコースでは高速での直進走行場面がなかったので、そのあたりのフィールチェックはできなかったのが少し残念だった。

こうした技術は、これまで体験したことのないようなスポーティな走りの実現が可能となることの他に、ひと回り大きなサイズでも、これまでと変わらない取回しが可能となることなどがある。また、安全面でも左右のμが異なるような路面での制動時、ABSやESCと連動してスタビラーザー効果をもたらすなど、さまざまなメリットを生み出してくる。

このZFのAKC(アクティブ・キネマティック・コントロール)はモヂュール設計なので、どのタイプの乗用車にも容易にカスタマイズすることが可能であることも、特徴のひとつだろう。

◆ヒルディセント・コントロール
この機能はもはや国内では知れ渡った機能ではないだろうか。悪路などの坂を下る際、この機能を稼働させると、自動で滑らず降りていく。ドライバーはハンドル操作のみ必要なものの、アクセルもブレーキも触る必要がない。

このヒルディセント・コントロールもテスト車両が用意されていた。メルセデス・ベンツのGLクラス、アウディQ3、レンジローバースポーツなどで、お!これは!と見つけたのは、カメラ機能だ。フロントからの視界がなくなってしまう場合、例えば急な上り坂を登りきる直前になると、フロントウインドウからは空しか見えず、路面が全く見えない。そんなとき、このカメラがあると、 車内のモニターには「その先」が写し出されているので、実際の視界が悪くとも、安心して下ることができるという優れものだ。

これほどの高級車でどれだけの悪路を走るのか?日本ではかなりレアケースだろうが、世界の目線でいけば必要な機能であり、安全、安心につながる技術ということが言える。

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