高級車というのは中古でもそこそこの値段がするもの。それが輸入車となればなおさらだ。しかし、ほんの少しだけ選択肢を広げれば、お買い得な一台が手に入ったりもする。ここでは高級輸入クーペ&オープンモデルの「年式落ち」モデルの中からお買い得を探してみる。
※本稿は2024年3月のものです
文/伊達軍曹、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2024年4月10日号
ポルシェ911の中古が450万円!! 輸入車の不安材料「メンテ」は大変なのか? 中古高級輸入クーペ&オープンモデル9選
■「1世代古くてもOK」と考えれば選択肢は広がる
狙いを1世代前にすることで、現実的な価格でまずまずの一台を探すことが出来る
まずは高級輸入車における花形ジャンルである「ハイパフォーマンスなクーペおよびオープンカー」から考えてみよう。
このカテゴリーは、花形ジャンルなだけあって現行モデルの中古車相場はかなり高額な場合が多く、そう簡単に手が出せるものではない。しかし「1世代分だけなら古くてもよし」と考えるなら、その想定予算はたちまち現実的な水準へと変化する。
代表的なケースはポルシェのケイマンおよびボクスターだろうか。現行の「718」が付く世代を買おうとしたら、中古であっても軽く総額700万円以上にはなる。
だが、718になる直前の世代、すなわち2012~2015年式付近の最終型ケイマンおよびボクスターであれば、総額500万円前後でもまずまずな一台が探せるものだ。
当然、諸性能は718系のほうが上だが、別にサーキットでタイムアタックするわけでもないので、最終型の諸性能でも普通に考えれば充分以上であり、カタチとたたずまいも718系と似たようなモノと言えなくもない。こういった考え方で臨めば、例えばBMWのMモデルでもわりと普通に狙えてしまうものなのだ。
■輸入クーペ&オープンの「セカンドライン」
●ポルシェ 911 カレラ(997型・450万~550万円)
2世代前でも「世界の911」には問答無用の魅力あり!
いきなり1世代前でなく「2世代前」になるわけだが、911はさまざまな“神通力”が強烈であるため、2世代前であっても充分な満足感を得ることができる。
さすがに後期型のPDK世代はまだ少々高いが、前期のティプトロニックSであればまあまあ安い。例の「6番シリンダー問題」も、すべての個体で発生するわけではない。
●ポルシェ ケイマン(2代目・450万~550万円)
最新の718ケイマンとカタチはほぼ同じ?
2.7L水平対向6気筒エンジンをミドに搭載するスポーツクーペ。現行型の「718ケイマン」を狙いたいのは山々だが、初代ではなく2代目ケイマンであれば「見た目も中身も718とだいたい同じ!」と思うことはできるため、日常づかいにおいては何の問題もない。ミッションは電光石火の7速PDKが中心だ。
●ポルシェ ボクスター(3代目・480万~550万円)
これも718ボクスターとだいたい同じ!?
先代ケイマンと同世代のミドシップオープン2シーター。これも「718ボクスターとだいたい同じっちゃ同じ!」とも言えるので、先代でも充分以上。相場はケイマンよりちょい高めだが。
●メルセデス・ベンツ C63 AMG クーペ(W204・350万~550万円)
今や超希少な6.2L・V8自然吸気エンジン!
こちらも1世代前ではなく2世代前のモデルになるが、今の世の中ではほぼ考えられない「6.2L自然吸気V8エンジン」を搭載しているというだけで、永遠の価値がある。自動車税はちょっと大変だが、一度乗るとクセになる猛獣だ。
●アウディ RS5(先代・350万~450万円)
最高出力450psの高回転型4.2L・V8!
アウディA5にクワトロGmbHがチューンを施したスポーツクーペ。先代の前期型はさすがに古いが、2012年8月以降の後期型ならビジュアル的にも性能的にもいまだ不足なし。中古車流通量が少ないため探しにくいが、その分だけレア物としての価値がある。
●BMW M4 クーペ(先代・440万~530万円)
超強力な3L直6はターボだが高回転型!
言わずと知れた超ハイパフォーマンスクーペの先代モデル。6MTの中古車は高めの相場を維持しているが、M DCT ドライブロジック物件であれば総額400万円台で好条件な1台が探せる。現行型M4クーペより端正な顔立ちである点も嬉しいポイントと言えるかも。
●アウディ TT RS クーペ(先代・300万~430万円)
希少な2.5L・5気筒ターボ搭載!
素の先代アウディTTクーペだと「今さら感」もやや感じられるが、クワトロGmbHが開発を手がけた「RS」シリーズのTT RSなら、先代であってもいまだ存在感とパフォーマンスは充分以上。中古車の流通量は少ないが、総額300万円ちょいくらいのゾーンで、まずまず好条件な1台が見つかるはず。
●BMW M2 クーペ(先代・350万~440万円)
小さなボディに3L直6ターボを搭載!
先代BMW 2シリーズをベースとするMモデル。素の先代2シリーズは今や若干ショボさも感じさせるが、Mモデルであれば話は別。搭載する3L直6エンジンの最高出力は370ps。狙い目は総額380万円付近だ。
●BMW M235i/M240i(先代・200万~330万円)
なんともちょうどいい「Mパフォーマンス」
先代2シリーズのMパフォーマンスモデル。M2ほどスパルタンではなく、程よく高出力な3L直6ターボエンジンを搭載している。前期型であるM235iのほうが安い。
■1世代前の輸入車はメンテが大変なのか?
結論から言うと「個体次第」ということになる。ぜんぜん壊れない場合もあれば、そうではないケースもある。運不運という要素もあるが、それ以上に「前オーナーのメンテナンス次第」という部分のほうがデカい。
エンジンオイル管理を中心に手厚くケアされてきた個体はそうそう壊れるものではないし、逆もまた然りだ。同車種・同年式・同走行距離でも妙に安い中古車は、前オーナーがろくに整備していなかった可能性が高いため、超格安物件には手を出さないのが得策だ。
■「中古車であること」はすぐにバレるものなのか?
ベストカーを毎号隅から隅まで読んでいるような、あるいはベストカーWebを毎日隅から隅まで読んでいるような「クルマに超詳しい人」は、すぐにそれを「あ、中古で安く買ったAMGだな」などと見破ることだろう。
だが世の中にそこまでのレベルのクルマ好きなど5%もいない。そのため残る95%の人からすれば、例えば右のW204型C63 AMGクーペも「なにやら凄そうで高そうな新しめのベンツ」にしか見えないものだ。そういった意味で「中古車であることがバレることはほぼない」と言うことができる。
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