現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 独自規定の電動ツーリングカー選手権を目指すSTCC、生産遅延を経て2024年まで導入延期へ

ここから本文です

独自規定の電動ツーリングカー選手権を目指すSTCC、生産遅延を経て2024年まで導入延期へ

掲載 2
独自規定の電動ツーリングカー選手権を目指すSTCC、生産遅延を経て2024年まで導入延期へ

 今季2023年より完全電動化を表明していたSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権は、初年度のグリッドに並ぶ全12台の新開発BEVレースカーの生産に遅れが続いていることを受け、次世代車両による新シーズン開幕を2024年まで延期する苦渋の決断を下した。

 各種EVコンポーネントの「製造遅延」によりカレンダー改訂を実施し、初年度は9月開幕の全3戦“短期集中決戦”に改めていたSTCCだが、その後もバッテリーシステムに関連するサプライチェーンの問題により納入が進んでいないことなどから、2023年“短縮版”シーズンそのものの開催も見直しを迫られることとなった。

エマ・キミライネンがSTCC復帰。電動化初年度に『BMW i4』をドライブ。一部ティーザーも公開

 その次世代車両は、STCCの強豪PWRレーシングが運営する研究開発部門『EPWR』社が開発する電動パワートレイン“Kit(キット)”を組み込む計画で、最高出力550PS想定のモーターにより0~100km/hは3秒以下、最高速も300km/hをマークする。

 全車リヤ駆動のキットには、800Vの高電圧を利用する45kWhのリチウムイオンバッテリーの搭載が予定され、サプライヤーには元WRCドライバーのマンフレッド・ストール率いる技術企業STARD(ストール・アドバンスド・リサーチ・アンド・デベロップメント)が指名されていた。

 参戦チームと車種バラエティもすでに発表されており、初年度は限定的ながらエクシオン・レーシングによる『BMW i4』を筆頭に、新興チーム・オートラウンジ・レーシングはフォルクスワーゲンの電動ブランドから『ID.3』を、同じくブリンク・モータースポーツはTCR時代のアウディから『テスラ・モデル3』へとスイッチ。

 そしてPWRレーシングは“セアト・ディーラー・チーム”として戦ってきた歴史も踏まえ、引き続きクプラブランドを代表して新型EV『クプラ・ボーン』の3台体制で挑むことが決まっている。

 これらのバッテリー、モーター、サスペンションなどはすべての車種でワンメイクとされ、これがコストを抑えて接戦を生み出すための基本方針とされていたが、シリーズ肝煎りで導入を目指した新型BEV車両はまだシェイクダウンを実施できる状況になく、その導入を2024年に延期すると同時に「この秋にも(完成第1号となる)新しい電動レースカーをお披露目する」計画が持ち上がっている。

■STCCのベルンCEOが現状を説明「たゆまぬ努力を続ける」
 今回の決定に際し、STCCの最高経営責任者(CEO)を務めるミュッケ・ベルンは「残念ながら新型電動STCC車両の納期遅れが続いているため、レースシーズンの焦点を2024年に移し、代わりに2023年秋にも新車を披露することにした」と現状を説明した。

「2023年シーズンを予定どおり実施できなかったことについて、関係者全員と我々を応援してくださる方々にお詫びするほかない。これは先進的で画期的なプロジェクトだが、残念ながら部品の納期が遅れる可能性をつねに抱えているんだ」と語ったベルンCEO。

「我々は2024年に向けたゆまぬ努力を続けており、この画期的なベンチャーへのコミットメントを失うことはなく、マインドはむしろその逆だ。我々はEPWRとともに非常に強力なコンセプトを掲げてはいるが、残念ながら遅れをなくすことはできない」

「新しいレースカーの製造はまだ充分に進んではいないが、大きな進歩を遂げており、ファン、パートナー、そしてファンにまったく新しい世代のトップレベルの電動レースをお披露目できるようになるまで、そう長くは掛からないはずだ」

「我々としても、このオフシーズンと2024年の双方に向けて、可能な限り最善の解決策を見つけるべく、チーム、パートナー、ドライバー、主催者、スウェーデン・モータースポーツ連盟と緊密に協力し続ける」

 そう名前の挙がったスウェーデン・モータースポーツ連盟のアンナ・ノルドクヴィスト事務局長も「私たちはSTCCとEPWRによる、気候変動に配慮したトップレベルのレースへの投資を100%支持しており、遅延が引き起こした困難な状況のなか、最善の方法で彼らをサポートするために懸命に取り組んでいます」と続けた。

「私たちは2024年のセットアップに関してSTCCと良好な対話を行っており、他の注目度の高いスウェーデン国内の選手権と合わせて、魅力的で長期的な視野のカレンダーを策定するという希望を持っています」

「スウェーデンのトップレベルのレースに長期的かつ明確な進むべき道を見い出すことがこれまで以上に重要であり、STCCはその重要な部分を占めていることに変わりはありません」

 こうして来季スケジュールを最終決定する作業が進められるなか、プロトタイプとなる『PWR0002』は、今後のクヌットストープやマントープパークで開催されるイベントに登場する予定となっている。

関連タグ

こんな記事も読まれています

無限、新型フリード用のパーツを先行公開
無限、新型フリード用のパーツを先行公開
月刊自家用車WEB
TV-KITの切り替えタイプ/スマートタイプがレクサス『LM500h』へ新たに適合を追加
TV-KITの切り替えタイプ/スマートタイプがレクサス『LM500h』へ新たに適合を追加
レスポンス
待望のXSR125用カスタムパーツが登場! キジマが新製品情報「KIJIMA NEWS EXPRESS」2024年7月号を公開
待望のXSR125用カスタムパーツが登場! キジマが新製品情報「KIJIMA NEWS EXPRESS」2024年7月号を公開
バイクブロス
データシステム、レクサスLM用のTV-KITを発売
データシステム、レクサスLM用のTV-KITを発売
月刊自家用車WEB
欧州ホンダ、「MyHonda+」アプリを刷新…電動車向け機能が充実
欧州ホンダ、「MyHonda+」アプリを刷新…電動車向け機能が充実
レスポンス
KINTO、法人や個人事業主向けにサポートデスク 専任担当者が相談に対応
KINTO、法人や個人事業主向けにサポートデスク 専任担当者が相談に対応
日刊自動車新聞
打倒「トヨタ ルーミー」! 全長3.8m以下のスズキ「小型ハイトワゴン」に大反響! 4人で乗るなら十分すぎる「ソリオ」の魅力とは?
打倒「トヨタ ルーミー」! 全長3.8m以下のスズキ「小型ハイトワゴン」に大反響! 4人で乗るなら十分すぎる「ソリオ」の魅力とは?
くるまのニュース
夜でもよく見える! 夜間安全運転の立役者「ナンバー灯」の保安基準とは
夜でもよく見える! 夜間安全運転の立役者「ナンバー灯」の保安基準とは
バイクのニュース
ボルボEX30 ソフトウェア不具合で緊急ブレーキ誤作動も 一部オーナーは「全額返金」求める
ボルボEX30 ソフトウェア不具合で緊急ブレーキ誤作動も 一部オーナーは「全額返金」求める
AUTOCAR JAPAN
年季の入ったホンダ「シビックRS」は、東京大学とコラボしてNZのラリーに参戦した思い出の1台! 不動状態から整備して現在の姿に戻しました
年季の入ったホンダ「シビックRS」は、東京大学とコラボしてNZのラリーに参戦した思い出の1台! 不動状態から整備して現在の姿に戻しました
Auto Messe Web
VWグループのMAN、新型電動&水素トラックを初公開へ…IAAトランスポーテーション2024
VWグループのMAN、新型電動&水素トラックを初公開へ…IAAトランスポーテーション2024
レスポンス
【MotoGP】ヨハン・ザルコ、ホンダでの目標を「トップ10からポイント獲得」へ下方修正
【MotoGP】ヨハン・ザルコ、ホンダでの目標を「トップ10からポイント獲得」へ下方修正
motorsport.com 日本版
なぜ免許証とマイナカード「24年度末」までに一体化? 紛失したら運転できない? 国民にメリットあるのか
なぜ免許証とマイナカード「24年度末」までに一体化? 紛失したら運転できない? 国民にメリットあるのか
くるまのニュース
走行中に突然の眠気!? 食後のバイク走行は「血糖値スパイク」に要注意
走行中に突然の眠気!? 食後のバイク走行は「血糖値スパイク」に要注意
バイクのニュース
自動速度制御装置が欧州で義務化へ、70以上の自動車ブランドがHEREの地図データで対応
自動速度制御装置が欧州で義務化へ、70以上の自動車ブランドがHEREの地図データで対応
レスポンス
空力開発ハンデは、ランキングではなく獲得ポイントに応じて設定すべき? メルセデスのラッセル「そうすれば、下位チームはもっと早く追いつく」
空力開発ハンデは、ランキングではなく獲得ポイントに応じて設定すべき? メルセデスのラッセル「そうすれば、下位チームはもっと早く追いつく」
motorsport.com 日本版
川崎重工、潜水艦修理巡り海自隊員を接待、下請け会社との架空取引の裏金を流用[新聞ウォッチ]
川崎重工、潜水艦修理巡り海自隊員を接待、下請け会社との架空取引の裏金を流用[新聞ウォッチ]
レスポンス
全長4m以下! 約170万円のトヨタ「小さいSUV」が人気沸騰!? 販売再開した「ライズ」一体どんな人が購入してる?
全長4m以下! 約170万円のトヨタ「小さいSUV」が人気沸騰!? 販売再開した「ライズ」一体どんな人が購入してる?
くるまのニュース

みんなのコメント

2件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村