現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > スバルがコロナ影響でニュル24時間レース参戦を見送り それでも2021年復活が不可欠な理由とは

ここから本文です

スバルがコロナ影響でニュル24時間レース参戦を見送り それでも2021年復活が不可欠な理由とは

掲載 更新 3
スバルがコロナ影響でニュル24時間レース参戦を見送り それでも2021年復活が不可欠な理由とは

■スバルのニュル24時間レースへの挑戦 2021年は復活なるか?

 2020年6月29日の午後2時過ぎ、スバルから「STI NBR CHALLENGEチーム 第48回ニュルブルクリンク24時間レース参戦見送りを決定」の連絡が来て、筆者(桃田健史)は「やはり無理だったか…」と思いました。

スバル新型「レヴォーグ」は攻めたデザイン! 最新技術を集結したパフォーマンスワゴンに進化

 そして、2021年以降の活動について、どのような状況も起こり得るような含みを持たせたコメントを発表しましたが、いったいなぜなのでしょうか。

 世界一過酷なサーキットとして知られる、ドイツのニュルブルクリンク。毎年5月に、参加台数200台規模のツーリングカーによる24時間レース「ニュルブルクリンク24時間レース」(以下、ニュル24時間レース)が開催されています。

 今年は世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、9月24日から27日への開催が延期されていました。

 同じくニュル24時間レースに参戦を続けてきたトヨタは5月21日に、2021年の参戦見送りを発表しています。

 そうしたなか、トヨタGAZOOレーシングとスバルは5月24日、オンラインでのe-ニュルブルクリンクレースを公開。

 冒頭、スバルのモータースポーツ活動をおこなうSTIの辰巳英治総監督は、トヨタの参戦見送りを受けて「(スバルとしては)今年(のニュル24時間レースに)、行く予定をしているが、もう少し様子を見てから、見定めたい」とコメントしていました。

 STIのNBR(ニュルブルクリンク)プロジェクトには、スバル本社やSTIの社員のみならず、全国のスバルディーラーのメカニックなども参加します。

 また、スポンサーなどさまざまな関係企業との最終調整に追われているのだと、その時の辰巳氏の発言を聞きながら感じました。

 なお、現時点では「来年のチャンレンジにご期待ください」とスバルからのリリースに記載はあるものの、リリースの副題では「2021年の再チャンレジを目指す」とコメントするに留めました。

※ ※ ※

 モータースポーツの歴史を振り返ると、経済情勢や政治情勢など、社会状況が不安定な時に弱さが露呈します。

 これまでも具体的には、オイルショック、アジア通貨危機、リーマンショックなどの影響で、自動車メーカーが直接投資する、いわゆるワークス活動の縮小や撤退、またプライベート参加チームに対する協賛金の減額や協賛そのもの見直しがおこなわれてきました。

 今回の新型コロナウイルス感染症についても、モータースポーツの最高峰であるF1を筆頭に、チームのレース運用費用の大幅削減などが検討されています。

 そのなかでホンダが先日、2020年F1シーズンプレビューとして、開発状況をメディア向けにオンライン会見をおこない、ホンダ本体事業の刷新を目指す「選択と集中」という厳しい状況下においても、F1事業継続を強く印象付けました。

 一方、スバルとしては、事業の主力市場であるアメリカで、新型コロナウイルス感染拡大の第二波への懸念が高まっており、生産現場や販売現場での感染防止はもちろんのこと、今後の販売実績に対する不安が募ります。

 こうした状況で、モータースポーツに対する投資に対して慎重に考えていかなければならないはずです。

 スバルファンとして、2021年のニュル24時間レース復帰を切望するところですが、今後も社会情勢をしっかりと見極めていく必要があります。

■スバルがおこなってきたニュルでの「クルマづくり」と「人づくり」

 ただし、スバルにとってモータースポーツはSTIにおけるブランド戦略としてだけではなく、量産車開発とも強い繋がりがあり、ニュル24時間レースやスーパーGT存続は、スバルにとって極めて重要だと考えます。

 辰巳氏は、前述の「e-ニュルブルクリンク」レースの冒頭で、スバルとニュルブルクリンクとの結びつきについてもコメントしています。

 それによると、ニュルブルクリンクという存在を知ったのは、1980年代前半。最初は、スウェーデンでのテストの途中にぶらりと寄る程度だったといいます。

 1990年代に入り、「(欧州車に対してはもちろんのこと)世界と戦えるクルマとするために」という目的で、ニュルブルクリンクを舞台にしたWRXなどの量産車開発体制が始まりました。

 その後、WRC(世界ラリー選手権)撤退を受けて、スバルとして新たなるモータースポーツの場が必要であり、選択肢のひとつがニュル24時間レースだったと、当時を振り返りました。

 ニュル24時間レースに参戦するからには、オールスバルで戦うべく、全国のディーラーも巻き込んで「人づくり」にも力を入れてきました。

「クルマづくり」では、ニュル24時間レースの車両規定が量産車に近い部分もあるため、STI量産車へのフィードバックがあることで、まさに“走る実験室”かつ“走る広告塔”という、モータースポーツ本来の効果が期待できます。

 以前のWRC、そしてニュル24時間レースは、スバルとの、そしてSTIとの相性がとても良い。

 愚直にニュル24時間レースにチャレンジし続けるスバルの精神は、2020年後半に発売が予定されている、新型「レヴォーグ」を待ち望んでいるスバルファンの心にも響きます。

 STI NBR CHALLENGEチームの存続は、スバルユーザーにとって熱い希望なのだと思います。

こんな記事も読まれています

F1コミッション、ポイントシステム変更についての決定を延期。今季スペインGPでの新リヤカメラ導入では合意
F1コミッション、ポイントシステム変更についての決定を延期。今季スペインGPでの新リヤカメラ導入では合意
AUTOSPORT web
ラリー仕様の初代アルピーヌA110を手懐けてみた 求められるは「勇敢さ」 歴史アーカイブ
ラリー仕様の初代アルピーヌA110を手懐けてみた 求められるは「勇敢さ」 歴史アーカイブ
AUTOCAR JAPAN
【MotoGP】ヤマハ、カル・クラッチローによる3回のワイルドカード参戦を発表。イタリア、イギリス、サンマリノを予定
【MotoGP】ヤマハ、カル・クラッチローによる3回のワイルドカード参戦を発表。イタリア、イギリス、サンマリノを予定
motorsport.com 日本版
ホンダ「新型ミニバン」! 斬新「対面シート」&窓なしテールの「次期型オデッセイ」!? “超開放空間”実現の「スペースハブ」実現性は?
ホンダ「新型ミニバン」! 斬新「対面シート」&窓なしテールの「次期型オデッセイ」!? “超開放空間”実現の「スペースハブ」実現性は?
くるまのニュース
ランボルギーニのSUV『ウルス』に800馬力のPHEV登場…北京モーターショー2024
ランボルギーニのSUV『ウルス』に800馬力のPHEV登場…北京モーターショー2024
レスポンス
タフでおしゃれなアウトドア派クロスオーバー スマート「#5」初公開 年内市販化予定
タフでおしゃれなアウトドア派クロスオーバー スマート「#5」初公開 年内市販化予定
AUTOCAR JAPAN
もしや新型CX-5か!?  パキパキボディがイイね!!  しかもディーゼル廃止で全車電動化か!?【北京ショー】
もしや新型CX-5か!?  パキパキボディがイイね!!  しかもディーゼル廃止で全車電動化か!?【北京ショー】
ベストカーWeb
日産R35「GT-R」にコスパに優れた本格派ブレーキローターが誕生! 12ミリと14ミリのハブボルトに対応したスグレモノでした
日産R35「GT-R」にコスパに優れた本格派ブレーキローターが誕生! 12ミリと14ミリのハブボルトに対応したスグレモノでした
Auto Messe Web
トヨタ、テンセントと提携 AI技術生かしたサービス提供
トヨタ、テンセントと提携 AI技術生かしたサービス提供
日刊自動車新聞
ホンダ『イエ GTコンセプト』が初公開、4ドアクーぺEVで中国トレンドに真っ向勝負…北京モーターショー2024
ホンダ『イエ GTコンセプト』が初公開、4ドアクーぺEVで中国トレンドに真っ向勝負…北京モーターショー2024
レスポンス
バイクニュース今週のダイジェスト(4/22~26)
バイクニュース今週のダイジェスト(4/22~26)
バイクブロス
予想が外れるマクラーレン、ピアストリも“浮き沈みのワケ”解明が急務と指摘。タイヤへの負荷が影響か?
予想が外れるマクラーレン、ピアストリも“浮き沈みのワケ”解明が急務と指摘。タイヤへの負荷が影響か?
motorsport.com 日本版
一度は乗ってみたい! サイドカーは、通常のバイクにつけることができる?
一度は乗ってみたい! サイドカーは、通常のバイクにつけることができる?
バイクのニュース
なぜ免許とマイナカード「24年度末」に一体化? 紛失時はどうなる? 一体化でどんな影響ある?
なぜ免許とマイナカード「24年度末」に一体化? 紛失時はどうなる? 一体化でどんな影響ある?
くるまのニュース
「出遅れ」「巻き返し」「反転攻勢」EVめぐる話題が目白押し【新聞ウオッチ】
「出遅れ」「巻き返し」「反転攻勢」EVめぐる話題が目白押し【新聞ウオッチ】
レスポンス
ボルボ XC40、豪華仕様の限定車「プラス B3 セレクション」発売
ボルボ XC40、豪華仕様の限定車「プラス B3 セレクション」発売
レスポンス
日本ミシュランタイヤが「ジャパントラックショー2024」にブースを出展! サステナブル素材を使用したタイヤなどを展示
日本ミシュランタイヤが「ジャパントラックショー2024」にブースを出展! サステナブル素材を使用したタイヤなどを展示
くるまのニュース
マツダ、電動SUVをサプライズ公開、コンセプトモデル『創 ARATA』とは…北京モーターショー2023
マツダ、電動SUVをサプライズ公開、コンセプトモデル『創 ARATA』とは…北京モーターショー2023
レスポンス

みんなのコメント

3件
  • ニュルで記録を持っているタイプRも挑戦してほしいですね。本当の実力がわかると思います。  
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村