ハースF1チームのテクニカルディレクター、シモーネ・レスタがチームを離れることが決まったようだ。ハースは、1月10日、チーム代表ギュンター・シュタイナーがチームを離脱し、ディレクター・オブ・エンジニアリングを務めてきた小松礼雄が後任になることを正式に発表した。
レスタはスクーデリア・フェラーリでシャシーテクニカルディレクターを務めた後、フェラーリとハースの技術提携の一環で、2021年に数十人のエンジニアたちとともにハースに出向した。しかしハースがコンストラクターズ選手権最下位に終わった2023年の終わりに、レスタはハースの職を辞することを決めたといわれる。
ハースF1が小松礼雄をチーム代表に任命。ギュンター・シュタイナーは離脱
レスタは今もフェラーリに籍があり、3年前にスクーデリアからハースに移った従業員のほとんどと同様に、フェラーリに戻ることは容易だ。しかし、フェラーリはあと約1年でメルセデスのパフォーマンスディレクター、ロイック・セラを迎え入れ、2026年に向けては、レッドブルのピエール・ワシェをテクニカルディレクターとして獲得するものと予想されており、レスタが復帰する場合、彼が望むポジションに就けるかどうかは疑問だ。レスタとしては、テクニカルディレクターより下の役割を受け入れるつもりはないだろう。
レスタは、フェラーリに復帰するよりも他チームに移籍する可能性の方が高そうだ。かつてザウバーで働いていた経験はあるものの、ザウバーはすでに2026年にアウディとして活動することが決まっており、テクニカルディレクターとしてジェームズ・キーと契約済みだ。そういう状況からして、レスタがザウバーに加入することは考えづらいが、彼は非常に評価が高い人物であり、どこかのチームからオファーを受けることは間違いない。
イタリアの情報筋によると、レスタがハースのテクニカルディレクターのポジションから降りる決断をした背景には、上層部の意向に従うなかで、自由な開発を行えなかったことにあるという。
レスタはハースのマシンのコンセプトをフェラーリのコンセプトに基づいたものにする必要があり、それによってVF-23はシーズンの大部分を通して競争力不足に陥った。2023年シーズンに向けてスクーデリアが行った準備は、前チーム代表マッティア・ビノットとデイビッド・サンチェスが先導して行ってきたが、それがフェラーリを誤った方向に導いた。レスタはそれに気づいていながら、ツールが不足しているために、完全に異なる方向へと進むことができなかった。
その上、2026年型マシンのコンセプトも、フェラーリに倣う必要があり、スクーデリアから購入可能なパーツの数が増やされ、独自の設計を行う自由が制限されると知ったレスタは、辞職を決めたという説がある。
また、2023年シーズン終盤に、ハースが選手権最下位から脱出するため、VF-23の新バージョンを導入するという決定がなされた。それに関して貴重なリソースが費やされたが、レスタとしては、そのリソースを2024年型マシンの設計と開発に使用したいという考えを持っていたといわれる。
大規模な改造がなされたハースのマシンは、チームのポジションを押し上げるほどの力は発揮しなかった。ハースはアップデート以降もポイントを獲得できず、ニコ・ヒュルケンベルグは、非常に運転しづらいマシンであるとして、終盤には元の仕様のマシンに戻して戦った。
ハースは早急に新しいテクニカルリーダーを見つけなければならない。すでに今後18カ月の開発におけるベースラインは固まっているため、2024年型と2025年型マシンに関しては、ある程度残ったスタッフに作業を引き継ぐことができるが、新レギュレーションが導入される2026年型マシンの設計と開発を率いるリーダーを決めることが重要となる。この年のマシンは、その後の4シーズンのパフォーマンスに影響を与えるからだ。
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みんなのコメント
小松さんは気の毒だけど…