メイクアップという模型メーカー
熱心なモデルカー・コレクターの間で圧倒的に高い評価を得ている日本のブランド、それが「メイクアップ」です。ハンドメイドによる同社のモデルカーは、世界中のクルマ好きが大枚をはたいても入手したがる“本物”の精密さ、美しさを誇っています。このメーカーがどのようにして現在の地位を築いたか、まずは時間を巻き戻して見ていきましょう。
1978(昭和53)年の東京、今はなき原宿のセントラルアパートで「メイクアップ」は活動を開始しました。当初、1980年代から1990年代にかけては、イギリスやヨーロッパのクルマ好きの間で高い人気を誇った極めて小規模なメーカーや、模型作家によるハンドメイド・モデルカーの輸入販売を主な事業とし、そこで国内随一の内容と規模を誇るようになっていきます。やがて他社製品を売ることに飽き足らなくなった同社は、自社開発の完成品や非常に精密な組み立てキットの開発にも着手するようになりました。
同社代表である植本秀行氏は、元来古いモーターサイクルやスポーツカーを趣味とし、広告写真家を生業としながら、彫刻、その他の前衛的芸術活動にも深く関わっていました。そんな資質と情熱を持つ経営者が、ひとたび自社商品の開発ということになれば、とことん凝りに凝って突き詰め、最高のクオリティを追求することになるのも、自然な成り行きだったといえるでしょう。
材料の選択から始まり、金属加工や塗装の方法などに対する飽くなき探求には尋常ならざるものがあり、当時同社のフラッグシップ・ブランドであった1/12スケールのハンドメイド・モデルカー「マジェスティック・モデル」シリーズに至っては、1台数百万円のプライスタグが付く超高級品でした。時代は1980年代半ばから1990年代にかけてで、バブル時代の好景気も追い風となっていました。
しかし2000年代に入ると、同社も新たな展開を迫られることになります。新たな展開として導き出されたのが、“高級嗜好品ではあるものの、今までよりリーズナブルな価格帯で数百台単位の高品質な量産品を開発販売すること”でした。そこで同社は中国に自社専用工場をもち、高度なハンドメイドが可能な人材を育成しながらの生産に踏み切ります。
その頃の同社は現在と同じ南青山に本社を構え、設計などの業務はその大部分を自社で行っていたので、基本設計は日本国内、生産は中国で行うというスキームがこの時期にスタートしました。当初は試行錯誤の連続だったようですが、2006(平成18)年に自社ブランドの「アイドロン」が立ち上がる頃には、その品質の高さは世界的な評価を獲得するに至っていました。
世界的品質はいかにして実現するのか
現在、メイクアップは「アイドロン」「アイドロン・コレクション」「ヴィジョン」「イデア」「タイタン」といったブランドを作り、各種モデルカーをラインナップしています。これらについて共通して言えるのは、基本的に「コストダウン」を念頭において製品開発をすることがないということです。
モデル化の題材が決まったら、次はパーツ作りです。ただ、メイクアップの製品として世に送り出すために妥協はしません。たとえば43分の1スケールのポルシェ911のヘッドライトひとつとっても、ホワイトメタル製のベゼル(外枠部分)を手作業で研磨してメッキ加工し、内部には光源も表現して、極めて繊細なカットが施されたレンズをはめ込むといった具合です。
昨今、人気の18分の1スケールのモデルにおいても同様で、最新作のひとつである「ランボルギーニ・アヴェンタドール・ロードスター SVJ 2018」を例にとると、最初にランボルギーニ社から3Dデータ供給を受け、ボディから微細なディテールまで約3か月をかけて原型を作成するとのこと。なお、部品総数は実に354点に及び、1台の組み立てには45時間が費やされます。
ボディの塗装は5層にわたり、光沢ウレタンクリア塗装を施した後にカーボンデカール部分やピアノブラック部分がマスキングされ、ボディ全体がマットクリア塗装で仕上げられています。特にこの車種では60か所におよぶカーボンデカール処理も施され、最終的にペイントやアッセンブリーを含め約800か所のチェックを経てようやく完成するといいます。
比較的安価なミニカーであれば、プラスチックの成型部品ひとつで再現するようなディテールに、ハンドメイドのマルチ・マテリアル・パーツをいくつも使い、熟練工の手で組み立てるのがメイクアップのスタイルです。当然それはコストとして上乗せされ、商品の価格にも反映されますが、それでも愛好家を納得させるクオリティを優先することを信条に、メイクアップは製品作りを続けています。
かつてメイクアップの植本代表にお聞きして感銘を受けた言葉があります。「精密感という言葉がありますが、精密に作らなければ精密感は出せません。高品質も同様で、ひとつひとつ丹念な仕事をしなければ、品質の向上は望めません。“これだけはやらなければならない”と云う必然的要素と、実車のオーラを掴み取ることによって、結果的に高品質へと至るのだと思います」
まさに言いえて妙。世界を唸らせる日本のトップブランドの信条は、極めて簡潔で、愚直とも言えるものでした。
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