■さまざまな理由で2シーターになったクルマを振り返る
乗車定員はクルマによってさまざまですが、一般的にはスーパーカーは2人乗り、ミニバンは7人から8人乗り、それ意外の乗用車は4人乗りか5人乗りです。
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ところが、一見すると4人から5人乗れそうなのに、あえて2人乗りとなっているモデルも存在。そこで、意外な2シーター車を5車種ピックアップして紹介します。
●三菱「ミラージュXYVYX」
1970年代初頭から、各メーカーともFFのコンパクトカーを続々と登場。この流れに乗るべく三菱から1978年に発売されたのが初代「ミラージュ」でした。
ミラージュは三菱初のFF乗用車で、新世代のコンパクトカーとしてデビューします。
1987年に登場した3代目ミラージュは、当時人気のあったミドルクラスセダンの「ギャラン」をイメージさせるフロントフェイスが特徴のモデルで、3ドアハッチバックと4ドアセダンをラインナップ。
この3代目ミラージュのハッチバックには「SWIFT(スイフト)」「CYBORG(サイボーグ)」「FABIO(ファビオ)」「XYVYX(ザイビクス)」と、コンセプトが異なる4タイプが設定されました。
なかでもザイビクスはユニークなモデルで、リアサイドウインドウが鉄板で塞がれて暗窓化されており、まるで商用車のパネルバンのような2シーター車でした。
三菱はザイビクスを「無限の可能性を秘めた新遊び提案車」と表現し、オプション設定された装備もユニークで、後部の荷室をリビングのような空間としてテレビが見られるキットなどがありました。
しかし、このコンセプトは一般には理解されず、ザイビクスはデビューからわずか1年で生産を終了。景気が上向きだった背景から誕生した、希代の珍車です。
なお、イギリスではこうしたモデルは商用車の扱いで税金が優遇されており、各社ラインナップしていました。
●ダイハツ「リーザスパイダー」
1986年にデビューしたダイハツ「リーザ」は、室内空間よりデザインを優先した軽自動車のスペシャリティカーとして開発されたモデルです。
外観は全高を低くしたスタイリッシュなクーペスタイルの3ドアハッチバックで、若い女性ユーザーをターゲットとしていました。
そして、バブル景気末期の1991年に、派生車として「リーザスパイダー」を追加ラインナップ。軽自動車規格の変更により660ccとなったリーザをベースに、ルーフ部分を大胆にカットし、ソフトトップを装着したオープンカーです。
荷室部分はソフトトップの収納に使われたため、リアシートだった場所は荷室として使うことで2シーター化されました。
そもそもリーザはオープンカーを想定して設計されておらず、オープン化にともなってボディ剛性の確保のためシャシ各部に補強部材を追加した結果、車重は730kgとベースモデルに対して90kgも増加。
その対策から、エンジンは64馬力を発揮するパワフルな直列3気筒ターボのみを搭載しています。
当時の新車価格は145万3000円(5速MT、消費税含まず)とベースモデルより約40万円も高かったこともあり、販売面はまったく振るわず、現存数の少なさから非常にレアなモデルです。
リーザスパイダーも、まさに好景気の申し子ではないでしょうか。
●日産「GT-R ピュアエディション For TRACK PACK」
現行モデルの日産「GT-R」は4シーターの2ドアクーペで、容量は小さめながらトランクを有することで、普段使いもこなせるスーパーカーです。
一方、よりスパルタンなGT-Rの走りを楽しみたいユーザーのために、かつて「ピュアエディション」グレードにカスタマイズオプション「For TRACK PACK」が設定されました。
このFor TRACK PACKはサーキット走行を想定したオプションメニューで、2012年モデルから選択可能となっており、専用の強化サスペンション、前後ブレーキ冷却用エアガイド、レイズ製アルミ鍛造ホイール、カーボン製エアダクト付きフロントスポイラー、専用フロントシートをセットで装備。
さらに軽量化のために2シーター化され、リアシート部分にはキルティングクロスのマットが取り付けられました。
For TRACK PACKはすでに廃止されていますが、現在はサーキット走行向けのグレードとして「GT-R Track edition engineered by NISMO」や、ハードにチューニングされた「GT-R NISMO」が設定されています。
■輸入車にもユニークな2シーター車があった!?
●アバルト「695 ビポスト」
アバルトは1950年代から1960年代にフィアットのクルマをベースにチューニングし、モータースポーツで活躍することで名を馳せたイタリアのチューニングメーカーです。
後にフィアットグループの傘下に入り、いまでは同社のスポーツカーブランドとして市販車を販売しています。
アバルトが手がけたクルマでもっとも有名なのが、大衆車のフィアット「NUOVA 500」をベースとしたモデルで、現在も500をベースにしたアバルト「595」シリーズをラインナップ。
なかでも2015年に販売された「695 BIPOSTO(ビポスト)」は、過激なモデルとして話題となりました。
BIPOSTOという名はイタリア語で「ふたつのシート」を意味し、文字どおり500をベースに2シーター化され、エンジンは1.4リッター直列4気筒ターボを搭載し、最高出力190馬力と2リッターエンジンに迫るパワーとなっています。
695ビポストには標準仕様とフルスペック仕様の2種類の仕様があり、フルスペック仕様ではサーキット走行用に開発されたレース用トランスミッションである「ドグリングトランスミッション」搭載。
ほかにも、フルスペック仕様はサイドウインドウをプラスチックの固定式に変更し、アルミ製ボンネットやチタン製ホイールボルトなどの採用と、エアコンレスとすることで軽量化をおこなっています。
なお、当時の価格(消費税8%込)はフルスペック仕様が845万6400円、標準仕様は599万4000円と、アバルトのモデルのなかでもズバ抜けて高額でした。
●ルノー「クリオV6ルノースポール」
1990年に発売されたルノー「クリオ」は5(サンク)の実質的な後継車としてデビューした、3ドアと5ドアハッチバックのコンパクトカーです。
ちなみに、日本では登録商標の関係から「ルーテシア」の車名で、現在も販売されています。
そして、1998年に2代目クリオが発売されると、2001年にはクリオをベースに、リアミッドシップに最高出力230馬力を発揮する3リッターV型6気筒自然吸気エンジンを横置きに搭載した「クリオV6ルノースポール」が登場。
もともとワンメイクレース用に企画されたクリオV6ルノースポールは、キャビンの後半部分がエンジンルームとなっており、2シーター化されています。
外装はクリオのイメージを残しつつも、大きく張り出した前後のフェンダーによって迫力あるフォルムとなっており、クリオと共有するパーツはほとんどありません。
このような手法で普通のコンパクトカーを高性能モデルに仕立てる技術は、1980年代に「グループB」カテゴリーで戦われた世界ラリー選手権のマシンで採用され、ルノーも1980年に市販された「5ターボ」ですでに実現していました。
2003年にはクリオのマイナーチェンジとともにフロントフェイスを一新し、日本にも「ルーテシア ルノースポールV6」として正規輸入され、当時の価格(消費税5%込)は588万円でした。
※ ※ ※
かつて日本では、2シーター車は限られたユーザーのクルマでしたが、それを覆したのが1989年に発売されたユーノス「ロードスター」です。
初代ロードスターは価格を170万円台と安く抑え、手軽に乗れるスポーツカーとして2シーター車ながら大ヒットしました。
現在も2シーター車が日本で販売され続けている背景は、初代ロードスターの功績があったからではないでしょうか。
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みんなのコメント
確かに、軽トラは2人乗りだ。