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ベントレー 戦前のレーシングモデルをゼロから生産 同時に熟練工の技術を次世代へ継承

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ベントレー 戦前のレーシングモデルをゼロから生産 同時に熟練工の技術を次世代へ継承

コンティニュエーションプロジェクト

ベントレーは、新しいスピード・シックス・コンティニュエーション・シリーズは、ブロワー・コンティニュエーション・シリーズの最後の顧客仕様車が完成したことにともない、生産開始前の本格的なテスト段階に入ったとアナウンスした。

【画像】ベントレー・コンティニュエーションプロジェクトと往年のベントレーの写真を見る 全63枚

一時期、この2台のクルマは友好的なライバルとしてレースに参加していた。スーパーチャージャー付き4.5リッター「ブロワー」は、ティム・バーキン卿のプライベートチームによって準備され、一方、スピード・シックスは、1929年と1930年のル・マンでベントレーのワークスカーとしてエントリーされ優勝を飾った。

現在、この2台の車の生産と準備は、ベントレーのオーダーメイドとコーチビルド部門であるマリナーのワークショップで行われているという。すべての顧客のブロワーが完成し、納車されたことで、マリナーの焦点は2番目のコンティニュエーションプロジェクトに移り、最初に生産された2台(エンジニアリング車両0号車とファクトリーワークス)の車両は数ヶ月に及ぶスタティックテストとダイナミックテストに入った。

4.5リッター・スーパーチャージド「ブロワー」と6.5リッター・スピード・シックスのコンティニュエーション・シリーズ・モデルをそれぞれ12台ずつ生産するという決定は、決して安易なものではなかったとベントレーは回想する。

パフォーマンスとラグジュアリーの頂点に1世紀以上君臨するブランドの管理者として、チームは自分たちの仕事が最高水準のレベルで評価されることを知っていたからだという。

2020年から、ベントレー・マリナーのエンジニア/職人/技術者からなるプロジェクトチームは、名だたる英国のスペシャリストやサプライヤーと緊密に協力し、世界初の戦前車のコンティニュエーション・シリーズを作り上げた。

顧客/世間一般/メディアからの反響は、その丹念な作業を正当化する以上に大きなものであり、何万時間にも及ぶ開発プロセスを経て、コンティニュエーション・シリーズのモデルは、法規に準じるために必要な小さな変更を除き、1930年当時のオリジナルとまったく同じ姿で登場したという。

コンティニュエーションプロジェクトは、ベントレー社内で失われた技術の再学習を促すきっかけにもなり、老若男女の技術者や職人が、戦前のベントレーの製造とメンテナンスに必要な知識と経験を身につけることとなったとベントレーは語った。

ひとつの章が幕を閉じる

2023年が終わろうとしている今、最後のブロワー・コンティニュエーション・シリーズの顧客仕様車が納車された。

伝統的なベントレー・レーシングチームのカラーであるネーピアグリーンを選択した顧客もいたが、1920年代後半のベントレー・オーナーが選択可能であったオリジナルカラーを選択された顧客もいたという。オーナーは、パーソナルフィッティングサービスの一環として、自分の好みの仕様を細かく設定することが可能だ。

バーキンのオリジナル・スーパーチャージド4.5リッターは「ブロワー」として広く知られるようになったが、レース用に製造されたものであり、コンティニュエーション・シリーズのモデルも同様である。

コンティニュエーション・ブロワーは、厳しい検査プログラムに合格してヒストリック・テクニカル・パスポートを取得し、FIA公認のヒストリックカーイベントに出場する資格も得ている。

今年7月、ベントレーのワークスモデルである0号車は、ル・マン・クラシックに参戦するため、再びル・マン・サーキットを駆け抜けた。

新たな章が始まる

一方、次のコンティニュエーション・シリーズであるスピード・シックスの生産も本格化しているとベントレーは発表した。

生産にあたり、ベントレーが所有しているスピード・シックス「GU409」と、1930年のル・マン24時間レースでサミー・デイヴィスとクライヴ・ダンフィーがドライブしたワークスのスピード・シックス「オールド・ナンバー3」をマスターモデルとして採用した。

「オールド・ナンバー3」は、マリナーチームに寸法/素材/部品/最後のネジ/ナット/ボルトに至るまで貴重なデータを提供するために、オーナーから惜しみなく貸し出された。また、W.O.ベントレー・メモリアル財団からは、マリナークラシックチームに、当時チームが使用したオリジナルの図面やメモの80%を提供されたという。

コンティニュエーション・シリーズには、1929年と1930年のル・マン・レースでの信頼性とパフォーマンスを向上させるためにベントレー・ワークス・チームによって行われた改造が含まれ、ワークスのスピード・シックスは両方のレースで圧倒的な差で勝利した。

マリナークラシックチームはハンプシャーのビューリーにある国立自動車博物館を訪れ、顧客に提供される5種類のオリジナルペイントを確認した。エンジンブロックの鋳造を含む600個以上の新しい部品が、新しい6 1/2リッター・レース仕様エンジンのために生産され、その時代には200馬力を発生した。

最初のダイナモテストでは、コンティニュエーション・シリーズエンジンが205馬力を発揮することが示された。例えば多くのクラシックなレーシングチームがしているように、最新のエンジニアリング素材を使えば、より高い出力を達成することも可能だが、今回のコンティニュエーション・シリーズチームの目的は、1930年の見た目と性能がまったく同じベントレーを作成することであった。

マリナーはすでに、エンジニアリングカー0号車とファクトリーワークスの2台のコンティニュエーション スピード・シックスモデルを、現代的な技術と伝統的なコーチビルドの技術を織り交ぜて生産したという。

コンティニュエーション・シリーズ・プログラムの目的のひとつは、貴重な技術を次世代に継承することであり、これはすでに実を結んでいる。マリナーの工場では、数十年の経験を持つ熟練職人が若い見習い職人とともに働く姿が見られ、未来の熟練職人の育成に役立っている。顧客仕様車は1台あたり10カ月かけて生産され、2025年後半から納車が開始される予定だという。

2023年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでデビューした後、スピード・シックス0号車は、8000kmのサーキット走行を通じて3万5000km分の実走行テストを達成するためのプログラムに着手した。テスト時間と速度を徐々に上げてゆくインターバル方式によって、最も厳しい条件下での機能性と耐久性がチェックされる。

一方その間、顧客はスピード・シックス・ファクトリー・ワークスでパーソナル・フィッティング・サービスを受け、自分のモデルのステアリングを握って快適にコントロールできることを確認することにより1920年代と同様、コンティニュエーション・スピード・シックスモデルのオーナーは、ベントレーの長距離走行の信頼性に全幅の信頼を寄せることが可能になると述べた。

スピード・シックスについて

6 1/2リッターの高性能バージョンであるスピード・シックスは、1929年と1930年のル・マンでウルフ・バーナート/ヘンリー・ティム・バーキン卿/グレン・キッドソンの手により優勝し、最も成功したレーシングベントレーとなった。

スピード・シックスのシャシーは、6 1/2リッターのスポーツバージョンとして1928年に導入されたものだ。ツインSUキャブレター/高圧縮比/高性能カムシャフトを採用したエンジンは、183psまで向上し、1928年から1930年にかけて、182台のスピード・シックスが製造された。

レーシングバージョンのスピード・シックスはさらに開発が進められ、圧縮比は6.1:1/最高出力は200psとなった。ル・マンでの連続優勝により、スピード・シックスはベントレーの歴史にその名を刻むこととなり、1929年の優勝はレースにおける優位性の新たなベンチマークとなったという。

ウルフ・バーナートとサー・ヘンリー・ティム・バーキンがドライブしたスピード・シックスは、1周目からチェッカーフラッグが振られるまでレースをリードし、他の3台のベントレーがそれに続いた。

バーキンは平均時速83マイルで7分21秒のラップ新記録を樹立し、それまでの記録を46秒も縮めるとともに、優勝したスピード・シックスは、2844kmというレース距離の新記録も樹立した。ひとつのメーカーによるこのような圧倒的なパフォーマンスは、ル・マンではそれ以降30年近く破られることは無かったとベントレーは述べている。

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