ほとんどのモータースポーツがオフシーズンの中、ラリーだけは特別です。2019年に入り、1月28日時点で、ダカールラリーとWRCの第1戦・モンテカルロラリーがすでに終了。ダカールラリーではトヨタがはじめて総合優勝を収めたことで、大きな話題となりました。
またWRCのモンテカルロラリーでは、1位シトロエン、2位ヒュンダイ、3位トヨタと、表彰台に登ったのはすべて異なるメーカーとなりました。今年も去年に負けず劣らずの大激戦となりそうですね!
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今回ご紹介するのは、年々WRCでの存在感を増しているヒュンダイ、そのヒュンダイが販売していたFRクーペの「ジェネシスクーペ」をご紹介します。日本ではもちろん、ドイツでもかなり珍しいこのクルマ。その魅力に迫っていきたいと思います!
現在では車名からブランド名に
ヒュンダイは、「現代自動車」と表記されることも多い、韓国の自動車メーカーです。ジェネシスクーペはジェネシスセダンとともに、アメリカ市場における初の高級車として開発・販売されました。導入された直後からアメリカでの評価は高く、2009年には北米カー・オブ・ザ・イヤーを韓国の自動車会社としてはじめて受賞しています。
「ジェネシス」の名前は、2015年にヒュンダイの上級ブランド名に昇格。トヨタにおけるレクサスのようなポジションにあたります。ヒュンダイは日本市場からはすでに撤退してしまっており、日本へは並行輸入業者を通じてわずかな数しか入ってきていません。
ジェネシスクーペが生産・販売されていたのは2008年から2016年の8年間。モデルライフのちょうど中間である2012年に、フェイスリフトを含む大規模なマイナーチェンジを行なっています。ドイツに入ってきたのは2010年で、生産終了まで販売されていましたが、売り上げは芳しくありませんでした。結局、ジェネシスクーペの販売台数は、ヨーロッパ全体でわずか3,200台程度と言われています。
当時貴重だった「2リッターターボ搭載のFR」
写真のジェネシスクーペは、マイナーチェンジ前に生産されていた、いわゆる前期型と呼ばれるモデルです。筋肉質で抑揚のあるデザインは、公道で見かけるとかなりの存在感があります。ボディサイズはそれなりに大きく、全長4,630mm、全幅1,865mm、全高1,380mmと、2+2のクーペとしては大柄な部類ですね。
搭載されるエンジンは、2リッターの直列4気筒ターボ、または3.8リッターの自然吸気V型6気筒の2種類から選択可能でした。出力は直4ターボが210馬力(後期型で274馬力に向上)、V6が306馬力(後期型で348馬力に向上)となっていて、1.5~1.6トンのボディを引っ張るには十分以上の性能を発揮しました。
ジェネシスクーペがライバルとして設定していたクルマは、インフィニティQ35クーぺ、日本でいうところの日産スカイライン・クーペだと言われています。事実、2車を並べて比較すると、多くの共通点が存在します。FRレイアウト、ハイパワーなV6エンジン、2+2のクーペボディ、高速での長距離走行に適した操縦性など…。
チューニングのベース車両として注目を集める
日本においては一時期、「比較的低価格(当時の邦貨換算で200万円前後)で手に入る2リッターターボのFR車」として、走り好きのドライバーを中心に注目を集め、ドリフト競技などのチューニング用ベース車両として雑誌にも紹介されることが多かったように思います。組み合わせられるトランスミッションは6速マニュアルのほか、5速・6速・8速オートマチックも用意され、スポーツ志向のドライバーからグランツーリスモ志向のドライバーまで、幅広いニーズに応えるラインナップを展開していました。
写真のジェネシスクーペは、ヒュンダイのエンブレムや、車名のロゴマークを取り去っていて、ミステリアスな雰囲気を漂わせています。マフラーは4本出しのスポーツタイプに換装済み、ホイールもOZレーシング製に交換されていることから、きっとオーナーはかなりの走り好きなのでは?と想像できますね。
2009年のパイクスピーク・ヒルクライムでは、大幅に改造を施されたジェネシスクーペが、市販車ベースの2輪駆動部門で当時の世界記録を樹立(翌年にはポルシェに破られてしまいますが)。継続したメジャーなレース活動こそ少ないものの、確実に歴史に名を残したヒュンダイ・ジェネシスクーペ。トヨタ・スープラも復活することですし、WRCつながりでヒュンダイもジェネシスクーペを再び作ってくれたら…思わずそんなことを考えずにはいられない、個人的には今でも気になる存在なのです。
[ライター・カメラ/守屋健]
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