大人のための成熟したタイプR
少なくない腕利きドライバーが、ホンダのタイプRへ惹き込まれてきた。インテグラ・タイプRでもシビック・タイプRでも、若干の繊細さや質感の不足に目をつぶれば、素晴らしい操縦性を存分に楽しむことができる。それは、20年以上前も同様だった。
【画像】ホンダ・アコード・タイプR(ユーロR) NSXとシビックのタイプRも 全53枚
コンパクト・クーペやハッチバックのカテゴリーで、出色の存在といえる2台。だが、スポーツサルーンにも、素晴らしいタイプRが英国には存在した。それが1998年のアコード・タイプRだ。日本でも、同等のモデルがユーロRとして2000年から売られていた。
6代目アコードの4ドアボディに5名分のシートを備え、不満のない実用性と、一般道で堪能できる動力性能を両立。運転する魅力へ浸ることができつつ、落ち着いた雰囲気を備えた、大人のための成熟したタイプRといえた。
改めて振り返ってみると、その万能ぶりには感心する。今でもゾクゾクするような非の打ち所のないVTECエンジンに、車高が落とされ引き締められたダブルウイッシュボーン式サスペンションと、超クイックなステアリングが組み合わされている。
17インチ・アルミホイールの奥には、大きなベンチレーテッドディスクが鈍く光る。もちろんサルーンとして、家族4人での移動にも充分耐えうる車内空間も備わっていた。
逸品の2.2L DOHC 4気筒VTEC
ボンネットの内側に搭載されたエンジンは、お宝といえる逸品。職人が丁寧に組み上げた自然吸気の2.2L DOHC 4気筒エンジンに、VTEC(可変バルブ・タイミング&リフト機構)を採用し、英国仕様では最高出力212psを発揮した。
ハードエッジなサウンドを響かせ、7200rpmで最高出力を発揮する高回転型。8000rpmまで、気持ちよく吹け上がった。いかにも低摩擦なフィーリングは、当時のホンダの技術力を象徴するものだったといえる。
車重は、防音材や余分な内装材が省かれ、ノーマルの6代目アコードから57kgも軽量化。0-97km/h加速7.2秒と、最高速度228km/hという俊足を獲得していた。近年では驚く数字ではないものの、当時としては軽い衝撃を与えるのに充分だった。
VTECエンジンのパワーは、驚くほど滑らかに変速できる5速MTと、トルセン式リミテッドスリップ・デフを介して、フロントタイヤへ伝達。FFでありながら、手首の動きに同調したように直感的なステアリングも特長の1つだった。
乗り心地は硬めながら、しなやかさも残され、不快に感じるほどではない。同時期のシビック・タイプRとの性格の違いを表現していた。
英国仕様では、2001年にマイナーチェンジ。フロントマスクやテールパイプが変更され、5速MTの内部構造が強化されている。惜しくも2003年のモデルチェンジをもって、英国市場からはアコードのタイプRは姿を消してしまった。
より純粋なドライビング・プレジャー
ドアを開き、美しいレカロシートに身体を固定する。白いメーターを視界に入れつつ、モモ社製のステアリングホイールと、チタン製のシフトノブを握れば、気持ちが高揚しないクルマ好きはいないだろう。
もし興味を抱いたのなら、早めの行動がベター。英国でも残存数は少なく、日に日に状態の良い6代目アコード・タイプR(ユーロR)を探すことは難しくなっている。
それでも、300馬力の最新ハッチバックより、より純粋なドライビング・プレジャーを与えてくれることは間違いない。しっかり確認してベストの1台を見つけ出し、末永く楽しんで欲しい。タイプRの輝きは、今も霞むことはないはずだ。
オーナーの意見を聞いてみる
ジョン・スティーブンソン氏
「アコード・タイプR(ユーロR)が大好きです。22年前に最初の1台を新車で購入しました。現在所有しているのは1999年式。走行距離は約8万9000kmと短く、ステンレスのエグゾースト以外、基本的にノーマルのままです」
「知的なLSDの効果で、濡れたサーキットでも素晴らしい。アンダーステアはほぼ生じません。ほかのFFモデルとはまったく別次元といえます。多くのFRモデルより、操縦性は優れているとすら考えています」
「わたしが感じるマイナス点は、MTの2速と3速のギャップが大きいこと。また、攻めた運転をした時の燃費の悪さですね」
「エンジンは非常に信頼性が高く、ボディのサビも見られません。フロントスプリングにクラックが入り交換したことと、フロントアームとボールジョイント、ブッシュ、ドロップリンクなどは、ヘタったので新調しています」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
走行距離が伸びても信頼性は揺るがないはず。冷間時は、エンジンノイズが大きいことが通例。滑らかな音になるまで暖気した方が良い。エンジン下部、コンロッドやボトムクランク・プーリーなどからの異音がないか耳を澄ませる。
先出のジョン・スティーブンソン氏は、4800km毎にエンジンオイルを交換している。2000rpm付近でカラカラとディーゼルエンジンのような音がする場合、タイミングベルト・テンショナー劣化のサイン。
トランスミッション
マイナーチェンジ前の場合、5速とリバースギアのシンクロメッシュが弱点。ホンダは2001年に改良を施している。英国では修理に1000ポンド(約17万円)の費用が必要。クラッチは16万km程は使える。
ブレーキ
制動力は、現代のモデルと同等に強いのが正常。アンダーボディのプラスティック製カバー裏にある、ブレーキパイプと燃料パイプの状態はチェックポイント。購入時は、パッドとベンチレーテッドディスクの残量も確かめたい。
ステアリングとサスペンション
基本的に丈夫。アンチロールバーのドロップリンクがヘタると、コツコツと異音が出る。新品は比較的安価で、交換作業も簡単。距離を走ればブッシュ類などの摩耗は進む。
ボディ
サビはアコードの大敵。フェンダーまわりやドア下部、エンジンルーム内、バルクヘッド周辺にサビがないか観察する。
クラッチフルード・リザーバーやドアミラーの付け根、サイドシル、アクセルペダルの上部なども要注意。リアドアのドアハンドルが正常に動くかも確かめる。
電気系統とインテリア
インテリアは摩耗しがち。レカロシートのサイドサポートは特に擦り切れやすい。
エアコンが正常に機能するか確かめる。エアコン・コンデンサーは、フロントバンパーの裏側で腐食しやすい。英国仕様のヘッドライトには、オートレベライザーが付いている。
新車時代のAUTOCARの評価は
熱々の自然吸気2.2Lエンジンは、2000rpm程度の回転数から力強い加速力を生み出す。そこから徐々に高まり、VTECらしく5500rpmから爆発的なパワーが放出される。ステアリングやブレーキ、姿勢制御も、通常のアコードとは別次元。
タイヤがワダチに沿おうとするワンダリングもなく、トルクステアも殆ど存在しない。さらに最大の成果は、ここまでシャープな操縦性を実現しつつ、乗り心地が犠牲になっていない点だろう。(1998年9月22日)
知っておくべきこと
アルミホイールはガリ傷から腐食が始まる。4本ともに美しい状態へ修復するには、英国では最低でも600ポンド(約10万円)は必要になる。価値を維持したい場合は、オリジナルのホイールは別に保管しておいた方が得策といえる。
タイミングベルトとバランサーシャフト・ベルトは、11万kmか8年毎での交換が指定されている。同時にウオーターポンプの交換も済ませたい。
ステアリングホイールの操舵感は、常に重みが一貫していて、アシスト量も一定。印象が異なる場合は、パワーステアリングのパイプ類の腐食が疑われる。
英国ではいくら払うべき?
2000ポンド(約33万円)~4999ポンド(約82万円)
以前はこの価格帯で発見できたが、現在は難しい。見つかっても、状態の悪い例が殆ど。どうしてもという場合は、専門的な知識のある人と一緒に現車を確認したい。
5000ポンド(約83万円)~1万ポンド(約167万円)
英国ではアコード・タイプR(ユーロR)を探せる中心の価格帯。一般的に走行距離は短めだが、それでも16万km以上は珍しくない。価格が高くなるほど走行距離も短くなる。
英国で掘り出し物を発見
ホンダ・アコード・タイプR(ユーロR/英国仕様) 登録:2000年 走行距離:20万2700km 価格:6000ポンド(約100万円)
走行距離はかなり長いものの、しっかりメンテナンスされてきた1台。改造などされていない、理想的なオリジナル状態にある。ボディカラーも人気のレッド。これまで2オーナーで、整備も受けたばかりだという。状態は良さそうだ。
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みんなのコメント
惜しいのは車幅が5ナンバーにサイズダウンされたこと
5代目アコードは1.76m幅でホイールベース2.72mと大きい
SiR は同じH22A
デチューンされれるがレブリミットはATでも変わらない
吸排変更で簡単に220PSになる
K20の220PSと違ってトルクが大きい分高速は有利
S2000の250PSと良い勝負が出来る
FRMクローズドデッキは熱ダレ知らず
耐久性の高さは比類なし
それで30年経過も最初と変化なし
途中予期せぬオイル消費異常でエンジン換装したが
換装後のエンジンも15万㌔走って全く変化なし
不満は何か?
リアサスのジオメトリーがハード走行向きではない
それはCL1のリアサスが優れてるのは間違いない
但しその引き換えに重量が重い
FFのリア荷重増は安定と引き換えに面白味をスポイルする
スピードレンジの話