高速性能向上。マイナーチェンジで空力特性をリファイン
今回は、マイナーチェンジ後のニュー・ソアラについて報告しよう。
変更点は、ヘッドランプとラジエターグリルの面一化や、バンパーと一体化した大型エアダムの採用、そしてリアコンビネーションランプのデザイン程度だ。
「今、乗っていると目立つ名車たち」風を味方にした流面形フォルムは、世間に衝撃を与えたって、知っていましたか!?
エクステリアを変えた理由は、空力性能を追求したからである。新型の空気抵抗は旧型に比べて3%減った。揚力は10%も減少したという。旧型は150km/hを超えるころから揚力の発生が目立ち、直進安定性を乱す要因になっていた。スピードリミットが100km/hの日本では、「あまり関係ない」で済むが、アウトバーンあたりを走ると、ハッキリ弱点となっていた。新しい大型エアダム付きモデルなら、ソアラの弱みはかなり改善されたに違いない。
世界初の電子制御サス(TEMS)の完成度
試乗モデルは、最上級グレードの2.8GTリミテッドである。2.8GTリミテッドには、世界初の電子制御サスペンション(TEMS)が組み込まれた。強弱2段に切り替えられるショックアブソーバーを、走行状況に応じてマイコンが自動的に使い分ける機構だ。
モードセレクトスイッチをハード側なら「スポーツ」に、ソフト側なら「ノーマル」にセットすれば、それぞれのモードに固定することもできる。だがTEMSの独自ポイントは「オート」モードにある。これこそ世界初の電子制御サスの魅力を日常的に体感できるモードだ。
オートにしておけば、走行状態を読み取ったマイコンがノーマルとスポーツを自在に使い分ける。急加速したり、高速からブレーキをかけると減衰力がスポーツ側に自動的に切り替わり、テールの沈み/ノーズアップを抑え込む。ステアリングを素早く切り込むとスポーツ側に切り替わりコーナー進入時のロールを抑えようと働く。直進時やゆったりコーナーを回れば、ノーマル側が選ばれ、ソフトな乗り心地を提供するといった具合だ。
優れた操縦安定性と快適な乗り心地という反対要素を、両立させようとする苦心がTEMSを考え出した。急加速や急ブレーキ、高速運転中に急なステアリング操作をしなければならないとき、そんなシーンの高い安定性と、淡々として走るときのソフトな乗り心地の両立という点ではTEMSは一定以上の成果を達成している。
しかしワインディングロードでのスポーツドライビングなど、複雑な要因がからみ合って連続する状況だと、TEMSの制御能力はまだ万全とはいえない。ショックアブソーバーがスポーツ側に切り替わっているのは1.7~2秒間だけのため、コーナー進入時などでステアリングを切り始めたときの感覚と、戻すときの感覚が微妙に違ってしまう。何となく不安なものだ。コーナーの途中から路面状況がうねっているようなケースでも、ドライバーが予想するクルマの挙動と、実際の動きに微妙なズレが出る。
トヨタがエレクトロニクス技術を足回りに導入したことは拍手に値する。今後の発展に期待したい。
2.8リッター・ツインカムは「気は優しくて力持ち」
新型のパフォーマンスは素晴らしい。今回2.8リッターツインカムは5psアップしただけで共通。それでも国産トップ級の速さを披露する。ソアラのエンジンはパワーを無理矢理しぼり出すタイプではない。いわば実用型のツインカムといった性格だ。低・中速域重視のパワーユニットである。そういうと穏やか一方のイメージだが、そこは2.8リッターのキャパシティにツインカム方式をドッキングしたのだ。気は優しくて力持ちの典型のようなもの。175psの高出力と、豊かなトルクが強力な走りを生む。
ボクは旧型のテスト走行で、15.9秒の0~400m加速タイムと、205km/hのトップスピード(通常は180km/hでリミッター作動)をマークした。空力特性が改善された新型は、さらに速くなっていることが期待できる。
パワーの伸びは5600rpm付近で鈍るが、その分、低回転域の性能がいい。MT車の場合、205km/hまで引っ張れる5速で、40km/hをカバーしてしまう。50km/hなら十分な実用性能を発揮する。4速AT車の走りも強力そのもの。MT車とさほど変わらない伸びやかさと力強さが満喫できる。ソアラのキャラクターを考えるとAT車のほうがマッチングがいい。(カー・アンド・ドライバー:1983年3月号掲載)
1stトヨタ・ソアラ購入ガイド
1stソアラ(MZ11/GZ10型)は1981年2月デビュー。前年末の大阪国際オートショーに出展されたEX-8の市販モデルである。2.8GT系は国産最強の2.8リッター直6DOHC(170ps)を搭載。ライバルにBMW6シリーズ、メルセデスSLCを想定した高級スペシャルティ。1981年6月に2リッターターボを設定、83年2月の一部改良時に2リッター直6DOHC(160ps)が登場。市場での流通台数は少ないが200万~400万円でコンディション良好車が入手可能だ。
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みんなのコメント
評論家達は、技術で欧州車に追いつけない為、
電子技術で誤魔化してると最新技術を揶揄して
ましたね。
電子技術の是非はともかく如何にソアラが未来
を見つめて開発されたかがよく分かる。
日産や ホンダも この時代の 車って 作り手の 気持ちが手に取るようにわかる 楽しさがあった
それぞれ独自のセンスセンスを培い 他にない 特徴的なデザインの車が儲かったね
今の車って どこのメーカーを見てもにたかよったか まるで相手の心を伺ってものづくりをしているような あの時代で言うものづくりとは 少し考え方が違う