低価格EVの共同開発 早くから交渉か
ドイツの自動車メーカーであるフォルクスワーゲン・グループは、小型のEV(電気自動車)の共同開発に向けたパートナー企業を探していると報じられている。その候補の1つとして、フランスのルノーの名が挙がっている。
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独経済紙ハンデルスブラットはこの件に詳しい情報筋の話として、フォルクスワーゲンとルノーが「非常に早い段階」で交渉していると報じた。最終的な提携先は未定だが、合わせて年間20万~25万台を生産する可能性があるという。
フォルクスワーゲン・グループとルノーの広報担当者はいずれもコメントを控えた。
EVの開発・製造コストは多くのメーカーを悩ませている。フォルクスワーゲンは数年以内に小型EV「ID.1(仮称)」を発売する予定で、ルノーも小型のトゥインゴの市販仕様を開発しているが、いずれも低価格を目標に掲げる。
フォルクスワーゲン・グループのアルノ・アントリッツCFO(最高財務責任者)は6月、同社が2万ユーロ(約310万円)前後の価格のEVを開発するために「全力で取り組んでいる」と述べた。
ID.1の詳細は不明だが、新しいプラットフォームを採用する計画で、グループ傘下のスコダが同プラットフォームの開発で重要な役割を担っていると見られている。
しかし、ID.1開発計画の先行きは、最近になって不透明さを増している。11月、グループのオリバー・ブルーメCEOはベルリンで開かれた会議で、2020年代後半までに2万ユーロのEVを生産することは可能だが、まだ最終決定を下していないと述べた。
コスト削減を迫られる両社 どう乗り越える?
グループは現在、広範囲にわたるコスト削減策を進めている。フォルクスワーゲンのブランドCEOであるトーマス・シェーファー氏は7月、「屋根が燃えている」「多くの分野でコストがかかりすぎている」とコメントしたが、その後、人員削減を含む100億ユーロ(約1兆5700億円)のコスト削減に向けた3か年計画を採用したと報じられている。
製品開発においても、合理化してコスト効率を高める必要性に迫られているのかもしれない。実際、フォルクスワーゲン・グループは欧州フォードと提携し、複数のモデルでプラットフォームを共有している。フォードの新型レンジャーおよび新型エクスプローラー(EV)などがこれにあたる。
一方、ルノーが11月に発表した次期トゥインゴは2026年までに市場投入される見込みで、価格は2万ユーロ以下になると言われている。この低価格の鍵となるのは、ドライブトレインの効率化に伴うバッテリーの小型化だろう。トゥインゴでは10km/kWhの高効率を謳っている。
ルノー・グループのAmprスモール・プラットフォーム(旧称:CMF-BEV)のスケールメリットも、低価格化に一役買うはずだ。
しかし、同社のルカ・デ・メオCEOは「開発コストを分担するために、OEMパートナーと話し合いを続けている」と語り、トゥインゴの開発に外部パートナーを利用する可能性を示唆している。
ルノーは価格面で優位に立つ中国ブランドのEVに対し、真っ向から勝負を挑む姿勢だ。
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