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ホンダ「CRF250L」新型モデル CRFオーナーでもある開発責任者が改良ポイントを説明

掲載 更新 6
ホンダ「CRF250L」新型モデル CRFオーナーでもある開発責任者が改良ポイントを説明

■大幅な改良がくわえられた新型モデル

 ホンダは2020年11月13日に、フルモデルチェンジしたオン・オフロードモデル「CRF250L」「CRF250 RALLY」を12月17日に発売することを発表しました。

ホンダ「CRF250L」「CRF250 RALLY」フルモデルチェンジ レース用バイクのイメージを踏襲した最新モデル登場

 グローバルモデルとして世界中で高い支持を得ているCRF250Lシリーズですが、今回のモデルチェンジの際し、ホンダはオンライン技術説明会を開催。自身もCRF250Lのオーナーであるホンダ技研工業 二輪事業本部 ものづくりセンターCRF250L/CRF250 RALLY開発責任者の杉山栄治さんは、新型CRF250 RALLYのベースにもなっている新型CRF250Lの特徴について次のように説明します。

「CRF250Lはオンロードからオフロードまで様々な用途に対応する、自由度を持ったフルサイズトレールモデルをリーズナブルな価格で世界中のお客様に提供したいという思いを込め、2012年にグローバルモデルとして登場しました。

 2017年にはオフ性能を有するツーリングモデルCRF250 RALLYタイプを追加するなど、CRF250Lシリーズは世界中のお客様から支持され累計販売台数は約13万台を超え(※売上世界一は日本市場)、今なおお客様から高い評価を頂いております。

■自身の体験とユーザーからの要望に応え軽量化へ着手

 私自身もCRF250Lを通勤からツーリングまでと様々な用途で使っています。お客様の意見と同様に、燃費、舗装路での安定性、加えて燃料計など使い勝手がよく、特に舗装路のワインディングではしっかりとした車体、アップライトなポジションにより気持ち良く走ることが出来ます。

 ですが、目的地となる林道にたどり着き、さあ、これから楽しむぞという時に重くて自在に扱えないかも……というフアンを感じました。また、お客様とのコミュニケーションの中からもオフロードっ性能への期待感、特に軽量化への要望が高いことに気が付きました。

 新型CRF250Lを開発するにあたり、開発チームは現行モデルの持ち味であるなんでも使える特性の中でも特にオフロード性能の向上が必要と考えました。

 しかし、オフロード性能だけを向上したことにより現在、好評頂いている市街地での乗りやすさや普段の使い勝手の良さをスポイルしてはいけません。そこで開発チームは開発のポイントをオンでもオフでも感じる扱いやすさを向上とし、オンロードとオフロードの両性能を高次元でバランスさせることを目標としました。

■新型CRF250Lの開発コンセプトは?

 開発コンセプトは“ON 日常の便利さとOFF 休日の楽しさに磨きをかけた Evolved ON-OFF GERA”とし、平日の通勤を便利で快適に、休日のツーリングは道を選ばず楽しめる、オンロードでもオフロードでも扱いやすい頼れる相棒のような存在のモデルを目指しました。

 扱いやすさに磨きをかけた新型CRE250Lで最も力を入れたのが車体全体の軽量化です。また、それを表現するデザインを刷新しました。さらにオフロード性能全般の向上、どんな場面でも操縦しやすいライディングポジション、通常の使い勝手の項目では軽いクラッチレバー荷重、見やすく便利な多機能メーターを採用し扱いやすさに磨きを掛けています。

 CRFの魅力として、主に骨格部品を中心として新設計部品を多岐に渡って軽量化しています。主な軽量化手法は剛性などの見直し、高強度材料の採用による板厚の削減、パイプサイズの変更などです。その結果、ABSを含まない条件でトータル6kg弱の軽量化を達成しています。

 新型モデルでは、オフロード性能を向上させるために、最低地上高を今までの255mmから30mmアップした285mmへ変更し、走破性を向上させました。使い勝手を考慮し、シート高を現行モデルと同等の880mmに抑えつつ対応しています。シートや外装部品の工夫で足つき性は現行モデルと同等です。

 最低地上高を上げる手法ですが、まずエンジンを20mm高い位置に設定し、さらにクランクケースの最下部を10mm高い高い位置にすることによってトータル30mmを確保しました。また、エンジンの位置を上げたことにより、サスペンションストロークの増やすことにも寄与しています。

■剛性を最適化したフレーム

 次にフレームですが、フレームは最も軽量化量の多い部品です。2150gの軽量化を達成しました。ただ軽量化だけではなく、オフロードでの安心感を向上させるために剛性の最適化を行い、しなやかさと路面からの入力を受け止める強度を併せ持つ仕様としました。

 今回、しなやかさを得るためにフレーム全体の横剛性を25%抑えました。対応手法としましては、ダウンチューブの幅を狭めパッチの小型化を行い、メインパイプにくびれをあげたりすることで対応しています。

 足回りに関してはオフロードでの走行性能を向上しながらも、町中で使い勝手よく走れるようにボトムブリッジ、フロントフォーク、スイングアーム、リアクッションを新設計しました。ボトムブリッジはアルミニウム鍛造製とし730gの軽量化を実現しました。これにより、軽快な操縦性に貢献しています。

 フロントフォークはストローク量を現行モデルより10mm伸ばして260mmとし、衝撃の吸収性を向上しています。また、セッティングの最適化により、乗り心地も向上しています。

 新設計のスイングアームは軽量化とフレームの剛性バランス確保のため、形状を変更しました。接地感を感じられる操縦性を得るために、横剛性は23%、ねじり剛性を17%減らし、均一なたわみを出すように断面の形状をなめらかに変化させました。

 また、製造方法は踏襲しつつも板厚の最適化により550gの軽量化を実現しています。また、リアショックですが、ストローク量を現行もでるより20mm増やした260mmとし、衝撃の吸収を向上しています。さらにリンクレシオの最適化のため、リンクとコンロッドを新設しています。オフロード路面での吸収性向上と、制御感ある快適な乗り心地を両立しています。

■こだわりのライディングポジションや低中速域を強化したエンジン

 軽く感じられるために、ライディングポジションも変更しています。ライダーの操作入力と体重移動をしやすくし、軽快な操縦性を実現するためにハンドル、シート、ステップを最適化しています。シートとボディカバーは着座位置よりも前方をスリム化することで、ライディング時に太ももと膝からの入力をしやすくして軽快な操縦性に貢献しています。着座位置の幅は現行モデルと同等とし、居住性の良さは踏襲しています。

 エンジンにおいては、オフロードモデルにふさわしい出力特性とするため、様々な変更を施し、全回転域で出力向上とトルク向上を達成しました。街中やオフロード走行で多様する低中回転域の出力向上をするために、インテークカムシャフトを専用化し、バルブタイミング変更しました。さらに新設計のエアクリーナーボックスエキゾーストパイプ、マフラーに加え、点火時期を最適化したことにより低回転域かた扱いやすい出力特性にしています。

 排気系は排ガス規制“EURO5”対応を見据えた仕様とし、低中回転域の出力特性、パルス感のある排気音、軽量化を目指しました。フロントコーン形状の最適化により、ピーク出力を確保しつつキャタライザーの容量と位置を見直して、法規と出力特性を両立させています。マフラーの内部になりますが、インナーパイプ、テールパイプ径を拡大することでパルス感を際立たせた迫力のある排気音を演出しています。

 また、マフラーのインナーボディのグラスウールを廃止した薄板インナーボディ接触構造とし軽量化を行っています。

■ギアレシオの変更と軽量化された機能部品

 駆動系ではエンジンで生み出されたパワーを余すことなく伝えるため、ギアレシを変更しました。1速から5速まで使う速度域では最適なギア選択のためにローレシオ化を行い6速ギアは快適なクルージングのためハイレシオに設定し街乗りやオフロード高速クルージングにいたるまで使い勝手を向上させています。

 新型CRF250Lではアシストスリッパークラッチを新たに採用し、さらなるレバー荷重低減を図りました。実際には約20%の荷重低減を実現しました。

 ヘッドライトはオフロードモデルの軽快性を表現するため軽量コンパクトな薄型LEDヘッドライトを採用しました。LEDタイプを採用することにより、現行モデルに対して前後長を約40mm短縮しています。さらに発光基盤をリフレクターの側部に縦置きすることで通常のLEDリフレクターライトに対して発光レンズ幅を抑え、小型化を達成しています。重量ですが現行モデルに対して110g軽量化の610gに押さえています。

 小型・薄型と相まって軽快なハンドリングに貢献しています。最後に配光性能ですが、現行モデルに対して広域に、そして均一に路面を照らす性能を有しています。夜間走行で安心感を提供します。  スピードメーターはオフロード走行を想定し見やすさを重視した白背景に黒文字のポジティブ液晶メーターを採用しました。さらに、視認性を高めるために速度計の文字を現行モデルの17mmから23mmへ大型化しています。重量は現行モデルに対して70g軽量化しました。機能面についてはギアポジション、平均燃費計、燃料消費量の情報を追加し、利便性を高めています。

■こだわりのスタイリング

 新型CRF250LのスタイリングデザインはスタイリングコンセプトにFOLLOW UP“CRF450RW”IMAGEを掲げCRFシリーズの頂点に君臨するCRF450RW ワークスのイメージを踏襲しながら、見た瞬間に走りを直感させるシャープでエッジの効いた力強いデザインを目指して開発しています。

 新型CRF250Lではお客様の楽しみ方に合わせて純正オプションを用意しました。CRF250Lでは板厚4mmのスキッドプレート、モトクロッサー譲りのワイドステップを新規設定しています。また、積載用のリアキャリア、トップボックスも追加しています。

 新型CRF250Lは低いシート高のタイプ(※CRF250L〈S〉=ハイシート/CRF250L=ローシート)にも新しいエッセンスを加えています。現行のCRF250Lでは足付き性を重視するお客様に対してサスペンションでシート高を45mm下げるタイプ“LD”を設定していました。新シリーズでは足つき性だけではなく、乗り心地やオフロード性能も鑑み開発を行い、タイプLDに対してサスストローク、最低地上高をアップし足付き性だけでなくオフ性能や乗り心地の向上もしております。

※ ※ ※

 細かな箇所まで徹底して手が加えられた新型「CRF250L」及び「CRF250L〈S〉」の価格(消費税込)は59万9500円となっています。

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みんなのコメント

6件
  • 実はモタードverが密かに欲しかった…
  • 空冷の頃のXRにはかなわない( ・`ω・´)見た目はいいけど…零戦チックな空冷XRが未だに軽いし取り回しいい思ひで………。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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