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完全自動運転やEVが全盛になる将来、カーマニアは絶滅してしまうのか?

掲載 更新 32
完全自動運転やEVが全盛になる将来、カーマニアは絶滅してしまうのか?

<2040年、クルマ好きや自動車ライターはどうなる?>

元マイクロソフト代表取締役社長の成毛 眞さんが書かれた『2040年の未来予測』(日経BP刊)という本が大層売れており、筆者もそのKindle版を買い求め、楽しく拝読した。

同本の趣旨をざっくり言うなら、「冷静に分析すると、2040年までには世の中の各種のどエライ問題があらわになり、大変な事態となることはほぼ間違いない。だが完全に悲観する必要もなく、テクノロジーの進化が問題の多くを、あるいは一部を、解決するだろう。また、そうしなければならない(=テクノロジーの進化を止めてはならない)」ということになるだろうか。

成毛氏の考察に感銘を受け、さっそく影響を受けまくった筆者は、同氏の真似をして「2040年の自動車社会的未来予測」を、GWでヒマなのにまかせてここに行いたいと思う。

とはいえ、浅学非才な非公認モータージャーナリストである筆者に「自動車産業全体の未来を俯瞰し、予測する」など、できようはずもない。

それゆえ、ここで行うのはあくまで卑近なこと、つまり「2040年頃には、carview!とかに出入りしてるクルマ好きや、筆者のような自動車ライターの暮らしぶりはどうなってるんでしょうね~?」という予想である。

<あと19年で完全自動運転が実現する可能性は低くない>

結論から申し上げると、「本質的には今とあんまり変わんないのでは?」というのが筆者の予想だ。

ご承知のとおり2030年代中には日本を含む先進各国が、純内燃機関で動く新車の製造を完全にやめる予定となっている。予定どおりになるのかどうか筆者は知らないが、その頃には少なくとも、純ガソリンエンジンの車は今で言う「馬」とまでは言わないが、「マツダ コスモスポーツ」とか「ナローポルシェ」ぐらいのポジショニングとなり、「ごく一部の人が懲罰的なお金を払いながら楽しむもの」へと姿を変えているはずだ。そして、ほとんどの人はBEV(純粋な電気自動車)やハイブリッド車に乗っているのだろう。水素で走る車は……ないような気がする。わかりませんが。

さらに言えば、純内燃機関車が(ほぼ)姿を消すだけでなく、現段階では「……本当にできんのか?」と薄々思われている完全自動運転が、そこかしこの道路上で実現している可能性もあるだろう。

法律面の整備などまで含めて考えれば「……無理でしょ」とも思う日本での完全自動運転だが、つい13年ぐらい前まで、我々は「スマホ」というものを持っていなかったのだ。ついでに言えば30年前の筆者は、スマホどころか携帯電話さえ持っていなかったため、東横線渋谷駅に設置されていた伝言板に、チョークで「山田くんへ。先につぼ八に行ってます」などと書いていたのである。

たったの30年で「チョーク→iPhone」という、ほとんど『2001年宇宙の旅』ばりの進化を遂げたのだから、2040年までの19年間で、あれよあれよという間に完全自動運転が実現される可能性は低くはないはずだ。

<自動運転やEVを愛好する人々が増えるだけ>

まぁ正味のところでどうなるかは、低偏差値な筆者にはわからない。だがひとつのブレストとして、「2040年には自動化系の進化が(現段階で考えうる)MAXに達していて、すべての車がすべての道で、レベル5=完全自動運転にて運行されている」と仮定してみよう。

そのときの我々、いわゆる「クルマ好き」は、果たしてどうなっているのだろうか?

その疑問に対する答えが、冒頭付近で申し上げた「本質的には今とあんまり変わんないのでは?」である。

馬車がなくなって「電車」になっても、その道の愛好家というのは変わらずに存在し続けている。存在し続けているどころか「撮り鉄」「録り鉄「乗り鉄」「車両鉄」「時刻表鉄」等々への細分化を果たし、ある種の隆盛すら極めている。

それと同種のことが、自動化された車においても起こるのだ。

ある者は「とにかくガソリン車に乗ること」を生きがいとしながら全国を放浪し、またある者は「メーカーごとのEVの加減速制御の違い」の発見に情熱を燃やす。またある者は「国道246号線における自動運転制御アルゴリズムの研究」にエクスタシーを覚え、さらには「完全図解! 1日で最大2000円トクする自動運転ハイウェイ使いこなし術、有料で教えます!」などという実利方面に精を出すちゃっかり者も、きっと現れるだろう。

つまり、やってることは今と変わらないのだ。

<自動車メディアは衰退するかもしれないが……>

違うのは「市場規模」であろうか。

2040年の時点で、そのように自動車を「マニアックな何か」あるいは「熱心に比較検討しながら選ぶべきモノ」としてとらえる者の数は、今よりもずいぶん減っているはず。

そうなると、現在のように――数えたわけではないので正確な数字ではないが――「そこそこ大手な自動車系商業媒体が何百種類もある」という状況は終わり、せいぜい10ほどの商業メディアに集約されるだろう。

もちろんそうなれば、筆者のように自動車系の商業メディアに文章を売ることで生計を立てている人間は、ほぼ廃業が決定するわけだが、それとこれとは、というか、そのことと我々の暮らしとは完全に無関係な話である。

形は大きく変わったとしても、「モビリティ(移動すること)を楽しみ、その行為自体や、その行為をもたらしてくれるマテリアルに歓びと関心を覚える」という人間の本質は、たぶん変わらない。

私個人は失業することになるが、全体としては「めでたしめでたし」なのである。

文:伊達軍曹

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みんなのコメント

32件
  • これは答えは簡単。残るよ。

    ただし、お金持ちでないとそういう趣味は持てない。今や公共交通手段としては第一線を退いた乗馬を思い浮かべればいい。

    乗馬場に馬を囲って、そこで楽しむように、公道は走らない高級スポーツカーに高価なe-fuel燃料を使って、クローズドサーキットで純粋に趣味として楽しめばいい。

    トヨタの社長も、最後まで生き残る自動車はスポーツカーって言ってたように、公道の移動がモビリティサービスに移行したら、残るのは趣味の競技車両。
  • どうせそのうち内燃機関車に重課税をするんだろう
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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