もくじ
ー スーパーカー4台を同時にテスト
ー 2010年最高のスーパーカーは
ー 911の独特なサウンド
ー パワーウエイトレシオで劣る911
ー 昔ながらのMTを搭載
ー パワーで圧倒するM600
ー 快適性は皆無
ー 衝撃的なルックスのLFA
ロードテスト アストン マーティンDBSスーパーレジェーラ ★★★★★★★★★★
スーパーカー4台を同時にテスト
グループテストが始まろうとしている駐車場に4台ものとびきりレアなスーパーカーがずらりと並んでいる様は、さすがに圧巻だ。現時点で最新の現行型ポルシェ911 GT3は英国にわずか34台しかない。従ってこれ1台を見つけただけでも驚くには十分なのだが、その隣に駐車しているのは鮮やかな黄色のフェラーリ458イタリア。
車両本体価格およそ2800万円の458は新しい「ベイビー」フェラーリで、570psの出力と0-200km/hを10.4秒で加速するという実力である。ところが普段と違うのは、このフェラーリが今回この中でもっとも高価なクルマではないということだ。しかも2番目に高いクルマですらない。駐車場で隣に並んでいるノーブルM600は20万ポンドというプライスタグを下げるのだ。
ノーブルを今回の仲間に入れたのは、町で一番有名なスーパーカー工房の作品を比べてみたかったせいもあるが、同時にこのクルマは、ブガッティ・ヴェイロンを別にすれば動力性能のベンチマークであるからでもある。フェラーリと、そして今回の中では最も高価なクルマとなる超スペシャルで超レアなレクサスLFAとを比べるためのベンチマークとしては最適だ。
どのクルマよりも長い開発の期間を経て、レクサスとトヨタの頂点に輝くべきクルマがついにミッドランドのゆったりしたコーナーを優雅に疾走する姿を見せることになったが、この場がLFAの36万1000ユーロに達するプライスタグに似合うかどうかは多少疑問が残るかもしれない。
昨年われわれが最初にLFAに試乗した時には、価格は34万ポンドと見積もられていた。その後為替がポンド高となったので、価格は結局30万4000ポンドまで下がったが、それでも458の2倍近い値段であることに変わりはない。
2010年最高のスーパーカーは
たっぷりと時間を費やした写真撮影が終わって、出発する準備ができたわれわれが目指す目的地は北ウェールズのカントリーロードである。その取材目的は、単に完成度の順位を付けるだけではなく、スーパーカーというテーマに対するこの4台の全く性格の異なる取り組み方を比較することにある。
古典的なミドエンジン(フェラーリとノーブル)は依然としてベストなのか、それともリアエンジンの911は、よりパワフルなマシンを相手にして戦うためにさらに磨き上げられてきたのか? またフェラーリとレクサスのハイテクと最新素材を駆使したマシンは、911やノーブルの比較的伝統的なアプローチに対して優位を確立したのか? そしてこの2010年において、最高のスーパーカーとしてスタイルと方向性を代表するのはどのクルマなのだろうか?
さらに答えを求めていた疑問がひとつ。後輪駆動対四輪駆動である。どちらの駆動方式がスーパーカーにとってより相応しいのか……については、ランボルギーニ・ガヤルド・スーパーレジェーラがこの対決に参加予定だったのだが、想定外の事件が直前に起こったために残念ながら今回のテストを欠席することになった。
このため同時に古典的なお約束であるフェラーリ対ランボルギーニの最終決戦というフィナーレもおじゃんになってしまったわけだ。458とガヤルドは、特にパワーもトルクも十分に拮抗していただけに実に惜しかった。これはまた後日、別の機会を待とう。
911の独特なサウンド
さて、われわれはバーミンガムを通過し北西へ向かった。4台の形や色だけではなく、このクルマたちが放つエグゾーストサウンドは道行く人々の注目をかなり集め続けた。911 GT3 RSの車内に座っていると、911が発するノイズだけで他の音は聞こえない。
水平対向6気筒特有の荒々しいサウンドに加えてシングルマスフライホイールがチャタリングを奏で、それが最低限の遮音材とプラスティック製のリアウインドウを突き抜けて車内に進入してくる。純粋な体験という意味ではGT3 RSは911シリーズの中でも頂点に位置するもので、他のいかなるターボ過給モデルに比べても、刺激的でエキサイティングなことこのうえない。
ところが今日は、そのポルシェが強力なライバルに囲まれており、そして最後尾というサウンドを聞くには絶好の位置につけていると、どのライバルがどんなサウンドを奏でているかきれいに聞き分けられて実に楽しいのである。フェラーリとレクサスのサウンドはF1を連想させるものだ。
ともに自然吸気エンジンで、しかも9000rpm超の高回転が可能であり、そしてサウンドも強烈極まりない。しかしどちらの音のほうがよりレーシングエンジンに近いかということになると、LFAの4.8ℓV10の勝ちとなり、こちらのほうが鋭さに満ちた純粋な音質であることがわかる。
パワーウエイトレシオで劣る911
458のV8は回転の上がり下がりがクイックなのだが、エグゾーストの吹き鳴らす音ばかりが響いて純粋にメカニカルなサウンドという点ではレクサスに一歩譲る。ただし、フェラーリのエンジンは458のデュアルクラッチトランスミッションとの組み合わせでほとんど瞬時のギアチェンジが可能になっており、その時のサウンドは、反応で劣るLFAのシングルクラッチよりも機敏さにおいて優っている。
さてノーブルは、いかなる基準をもってしても音の大きなクルマであることは間違いないが、この2台が相手となるとちょっと旗色が悪い。前の2台の咆哮が一段落していて、しかも911のエンジンがレッドゾーン近くにない時にしか、前方のターボ過給4.4ℓV8のサウンドを聞くことはできない。
幹線道路を走っている間は911 GT3 RSの450psを使い切る機会はほとんどなかったが、道路が空いてきて前方の3台が地平線の彼方へと目標を定めた時には、ポルシェも準備は整っていた。今回の中では最軽量ではあるものの、同時に最高出力が500psに満たない唯一のクルマでもあり、つまりそれはパワーウエイトレシオでビハインドを持つことになる。
そしてフェラーリやレクサスと違って、一度に数段シフトダウンする際には指一本でというわけにはいかず、動力性能を活かし切るには乗り手のほうにもそれなりの仕事が必要とされる。マニュアルでのギアシフトにはしっかりした手と、それ以上にしっかりした足が必要だ。
昔ながらのMTを搭載
さらにシフトダウンでは回転数を合わせる必要があり、空吹かしの回転数をチェンジアップライトで見張っていなければならない。高価な電子制御アシストはほとんどこのクルマには装備されていないので、ギアシフトをミスしてタイムをロスしたらすぐみんなに知れてしまう。
しかし、これはいうまでもなく911 GT3 RSの魅力でもある。現在新車で購入できるロードカーの中ではもっとも運転に没入できる、純粋でしかも乗り手を選ぶクルマであることに異論の余地はないだろう。
昔ながらのスポーツカーの方法論を忠実に具体化しているという意味ではベストであり、シンプルなアイディアを徹底的に追求した結果として、この種のクルマとして完成の域に達している。引き締まった足まわりと太いタイヤ、それに昔ながらの機械式リミテッドスリップデフという組み合わせにより途方もないグリップを生み出している。
このグリップ感はステアリングから直接感じられるもので、絶対的な速度では今回の他のクルマに劣るかもしれないが、フィールの豊かさは本当に素晴らしく、また正確なスロットルとそれに精密に比例して発生するパワーは、他のクルマの基準となるべきものだ。
パワーで圧倒するM600
もう1台スロットルの正確さという点で特筆すべきなのがノーブルだ。M600が履いているタイヤは今回の他のどのクルマよりもワイドな335mmという幅のものだが、660psという出力はその次にパワフルなクルマであるフェラーリに対して90ps近い差を付けている。ところがこのパワーの差ですら、トルクの差を考えたらある種の付録にしか過ぎないのである。
他の3台の中では、最大のトルクを出すのはやはりフェラーリで、55.0kg-mを発生する。ノーブルは83.5kg-mだ。これはじっくりと考えておく必要がある。特に重量わずか1250kgなのを考えればなおのことだろう。
恐怖感を多少やわらげるために、ブースト圧を1.0barから0.8barに落として558psに、もしくは0.6barに落として456psに出力を下げることも可能になっている。さらに、トラクションコントロールも装備されている。
そして重要なのは、少なくとも乗り手が冷静さを失わない限り、M600は決してこの数字から予想するような手に負えないモンスターではないということだ。
快適性は皆無
その理由は、スロットルの調整が適切になされており、さらに極低速でのわずかなターボラグを別にすれば、レスポンスは意外なほど見事にリニアなものであるからだ。
もっとも、だからといってM600の強烈な動力性能を忘れることなどあるはずがない。高速道路を巡航する程度の速度でトップギアに入れていたとしても、ごくわずかにスロットルを開いただけでクルマは加速を始める。キャビンも純然たるスーパーカーである。
それはスイッチ類の操作が嫌になるほど重いからではなく、実際にブレーキを別にすれば操作系は決して重すぎることはないのだが、ただキャビンからの外の視界が絶望的なほど狭いのである。もっとも正直に言って、M600に乗って快適にリラックスしたいというのならそれはお薦めできない。
ブレーキにサーボアシストもなければアンチロックもなく、そして搭載するエアバッグの数がまったくのゼロであることは、その理由の一部でしかない。このクルマに乗ったなら、とにかく運転に集中し専念するのが正しい態度であろう。
衝撃的なルックスのLFA
LFAの画像が出回っていたのはすでにずいぶん前からのことであり、わたし自身はこのカーボンファイバー製の車体をすでに見たこともあったのだが、初めてこのレクサスが自分のホームグラウンドで他のクルマと一緒に走っているのを、しかも何の心の準備もなく見かけたら仰天することは間違いない。
今回のコレクションにはこれより美しいシェイプのクルマも鮮やかなカラーのクルマもあったが、しかし最も衝撃的なシェイプがLFAだということには疑問の余地はない。まるで火星から、それも2050年の未来からやって来たように見える。
車内もそれに変わりはない。LFAのキャビンは他のクルマとは見事なまでに異なっていて、圧倒的なまでに満載されたハイテクのグラフィック表示と可動式のタコメーターには驚かされる。ただし、だからといってエルゴノミクスと扱いやすさの点で優位に立っているわけではない。
各スタッフがこのクルマを試すたびに、サイドブレーキの場所を探し回り、どうやってバックにギアを入れるか苦労するのを見物するのが楽しみでもあった(一度ニュートラルに入れないとどちらの方向にも進めないのである)。これがトヨタの他の製品だったらとんだ災難だったかもしれないが、スーパーカーというゲームではこれもひとつの貴重な体験となるのだから面白い。
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