この記事をまとめると
■近年、ヒョンデの先進的なデザインが話題
「お…怒ってます?」 夢に出てきそうな「オラ顔」を超えた「最怖顔」国産車5選
■2022年7月にワールドプレミアされた「アイオニック6」も注目を集めている
■躍進の理由は欧州の著名デザイナーの積極的なヘッドハンティングなどにある
積極的なヘッドハンティングで現状を打開
近年、先進的なデザインが話題のヒョンデですが、7月にワールドプレミアされた「アイオニック6」では、空力を追求した超流線型のセダンスタイルがまたもや注目の的になっています。こうした戦略的な展開を行うヒョンデ・デザインの秘密は一体どこにあるのでしょう?
今年、12年ぶりに日本市場へ再参入したヒョンデですが、用意された2モデルのうち、とりわけ「アイオニック5」の個性的なデザインが大きな話題となりました。シルエットこそハッチバックの王道的な表現ながら、三角形をモチーフにした面構成はじつに先進的で、恐らくは多くのメーカーにインパクトを与えたのではないでしょうか。
こうした近年のヒョンデ・デザインの躍進は、欧州の著名デザイナーの積極的なヘッドハンティングに大きな理由があるようです。それは、2006年にフォルクスワーゲングループでアウディなどを手掛けたペーター・シュライヤーを、グループであるキアのデザイン統括として迎え入れたことに始まります。
アウディでは初代「TT」や「A2」、フォルクスワーゲンでは「ニュー・ビートル」といった先進的かつ個性的なモデルを送り出した氏は、没個性的だったキア車に独自性を与えるべく、着任早々にまったく新しい「タイガーノーズ」グリルを提示します。「これってBMWのキドニーグリル?」と思わせる形状は、それでも以降のキア車に個性を与えたのです。
その後、2013年にはヒョンデのデザインも統括、グループ全体のデザイン顧問となります。役員となった氏は、2016年に同じくフォルクスワーゲングループでランボルギーニなどを歴任したルク・ドンカーヴォルケと、同じくベントレーなどを手掛けたイ・サンヨプを招聘しました。
ドンカーヴォルケは、ヒョンデと同ブランドの高級ブランドである「ジェネシス」のデザインを指揮しますが、2018年にはシュライヤーの後任としてヒョンデグループのチーフに就任、キアを加えた3ブランドを統括することとなりました。
こうした盤石の体制により、北米カー・オブ・ザ・イヤーのSUV部門賞を受賞した小型クロスオーバーSUVの「コナ」を始め、新世代ヒョンデのデザインフィロソフィ「Sensuous Sportiness」を反映させたスタイリッシュセダンの7代目「エラントラ」、同じくBセグメントの3代目「i20」など、じつに魅力的なスタイリングの新型車を送り出しているのです。
豊かな経験に裏付けられた新しい表現
その最新作が冒頭で紹介したアイオニック6です。コンセプトカー「Prophecy」を基本とするボディは「シングルカーブの電動ストリームライナー」を標榜し、リヤに向けてボディが収束する、まさに流線型を極めたスタイルです。
とても5と同じシリーズとは思えないデザインを「カッコ悪い」「何を考えているのか?」と一刀両断するのは簡単ですが、それは少々短絡的かもしれません。
まず、アイオニックシリーズは、BEVとして内燃機関車とは異なる独自のスタイリングを試行していると考えられます。シリーズとしては、5で提示された「パラメトリックピクセル」を共通の表現としつつ、スタイリング自体は固定概念にとらわれない手法を実践するということです。
また、もともと欧州ではこの手のクセのあるスタイリングが稀に見られるという点もあります。たとえば、少し旧いところではエンリコ・フミアによるランチアの初代「イプシロン」や、近年でもメルセデス・ベンツの「CLA」などは同様の尻下がり感がありますし、さらに言えば60年代デザインのオマージュとも考えられます。
つまり、欧州デザインを背景にしたヒョンデのデザイン体制は、こうした自由で幅広い表現を楽しみつつ、新しい挑戦を続けているように見えるのです。これは、ある意味「余裕」と表現できるかもしれません。
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みんなのコメント
毛嫌いする気持ちは充分に理解出来るがね。
家電も半導体も失った日本。自動車は大丈夫かと本当に心配になる。