ダイムラーとボッシュは北京にて自動運転バレットパーキングサービスを初公開した。2017年にシュツットガルトのメルセデスベンツ・ミュージアムにてデビューしたこの技術はインフラ設備にサポートされたドライバーレス・パーキングのパイオニアであり、中国では初の試みである。
専用の運転手が車を預かり駐車スペースまで運転する従来のバレットパーキングと異なり、自動運転バレットパーキングでは利用者がスマートフォンを使って駐車場所の指定や車両の回収を指示することができる。開発は今後もメルセデスベンツ・研究開発センターにてダイムラーとボッシュが共同で行う。
現代の都市では駐車場の不足、最適な駐車スペースの確保、駐車の手間など様々な不便が存在する。自動運転バレットパーキングはこれらのうち駐車プロセスを自動化することで手間や時間を削減することができ、自動車オーナーにとって新たな可能性を広げることになるだろう。
自動運転バレットパーキングはユーザーが所定の場所に車を停車させ、スマートフォンから駐車場所を指定するところから始まる。駐車場の管理システムによって認識・登録されたのち、無人となった車両は指定された駐車スペースへと動き出す。駐車場に設置されたセンサー類が車両を丁寧に誘導する。車両に搭載されたシステムは駐車場からのセンサー情報などを頼りに駐車する。ユーザーが用事を済ませ再び車に乗るときは再びスマートフォンを通じて呼び寄せ、所定の場所で迎えることになる。
中国メルセデス・ベンツ研究開発部門のHans Georg Engel氏は「自動運転バレットパーキングは自動運転社会の実現への重要なマイルストーンだ。ボッシュとの強力なパートナーシップを通じて、我々はカスタマーのニーズを満たすことを目指す。開発を通じて自動車オーナーに利益をもたらすだけでなく、自動運転技術を次の段階へ進めることにもつながると考えている」とコメントした。
中国ボッシュ・コネクテッドモビリティーソリューションのトップMing Chen氏は「自動運転バレットパーキングはボッシュとダイムラーが目指す“交通アクシデントゼロ・ストレスゼロ・排出ゼロ”な未来のモビリティの実現への第一歩だ。自動運転バレットパーキングは従来の人間による面倒な駐車プロセスを過去のものにする。ドライバーの手間やストレスを削減することができるだろう。この実証試験により、中国市場においてダイムラーとの長期的戦略的パートナーシップ関係を通じてボッシュがモビリティサービスプロバイダーへと更に成長することが期待されている」とコメントした。
北京での実証試験では自動運転バレットパーキング技術が更に進化し、実社会への適合が進んでいることを示した。近年の中国の複雑な交通事情も考慮していることを示すため、同イベントでは2台の車両が同時に実験した。実証試験では2台とも安全に所定の場所に駐車することができた。将来的には駐車スペースに洗車機や宅配受け取りボックス、EV車両用の充電ポートなどを設置し中国のカスタマーの幅広いニーズに応えることを目指す。
自動運転バレットパーキングは駐車場管理者と自動車ユーザー両方にとって効率の良いソリューションである。このようなインテリジェント技術を投入している駐車場はユーザーの手間を省き利便性を向上させるだけでなく、一日の中で20%多くの車両を収納することができると考えられている。
この技術はダイムラーが掲げるC.A.S.E.戦略の一つである自動運転技術にとって、重要なマイルストーンの一つであると考えられている。7月には国際的自動車メーカーとしては世界初となる、北京にて高度自動運転車両(SAE レベル4相当)の公道実証試験の認可を取得した。
中国におけるメルセデス・ベンツの研究開発
ダイムラーグループが中国にて研究開発に注力し始めたのは2005年だ。中国市場仕様のEクラスの販売から始まって以来、現地の独自のニーズ向けに様々なサービスを展開してきた。2014年には中国のカスタマーのニーズをより的確に把握するべく、北京に中国メルセデスベンツ研究開発センターをオープンしている。同施設にて日々研究開発を進めているスタッフ数は今や2014年に比べて約3倍以上の規模になっている。ダイムラーは今後とも現地開発を進め、C.A.S.E.戦略の成果を中国市場へ持ち込むつもりだ。
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