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不評でもオープンは気持ちイイ トライアンフTR7 ジェンセン・ヒーレー 1970年代の苦悩 後編

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不評でもオープンは気持ちイイ トライアンフTR7 ジェンセン・ヒーレー 1970年代の苦悩 後編

個性的なスタイリングが際立っていた

トライアンフTR7は、ジェンセン・ヒーレーと同様に高く評価されることはなかった。製造品質や信頼性に悩まされ、1975年の発売以降、改良が続けられたもののBMCの足を引っ張った。トライアンフの可能性を、充分に発揮できなかったといえるだろう。

【画像】不評でも気持ちイイ トライアンフTR7 ジェンセン・ヒーレー TR4にTR8、3000も 全116枚

16バルブ・エンジンを搭載したTR7 スプリントは、61台の試作を経て1977年に中断。1977年には北米向けにV8エンジンのTR8が登場するが、数100台のみで1978年に販売は終了した。右ハンドルのコンバーチブルは、18台だけに終わっている。

今回ご登場願った、貴重な1980年式TR7 コンバーチブルは、リンジー・デンプスター氏がオーナー。彼女が若かりし頃にも同じモデルを新車で購入し、後にクーペのTR7にも乗っていたという、かなりのマニアだ。

このシルバーのクルマは、COVID-19によるロックダウン中に売りに出ているのを発見。状態を確認せずに契約したが、ボディの補修とインテリアのリフレッシュ程度で済んだそうだ。

「1980年代には、個性的なスタイリングのクルマとして際立っていました。最初から、とても気に入っていましたよ。自分にとって最初のクルマとして選んだほどですから」。とデンプスターが振り返る。

「最近のクルマにはパワーステアリングが付いていて、運転している実感が薄いんです。これは、まさに自分で操っている感じ。少しガタもありますが、個性の1つとして楽しんでします」

ブランドらしいスポーティなDNA

ブルーのジェンセン・ヒーレーは、ティム・ギディ氏がオーナー。もとはMk IIとして開発されていた試作車で、Mk Iの名残もいくつか残っている。サビが酷いのでは、と尋ねると、彼は素直に認めた。

「最初は、ジェンセン・モータースのマーケティング・マネージャーが所有していたクルマです。フロアには板金の跡があって、大々的な作業が必要だとわかっていました」

「ある土曜日の午後、気持ち良く運転していたらタイミングベルトがずれて、10本のバルブを1発で曲げてしまいました。エンジンのリビルト中に、フロアの補修とボディの再塗装をしています」。と説明するギディは、ネジ1本まできれいにしたという。

「特別感があるんですよ。滅多に同じクルマとは出会いませんが、運転が本当に楽しい。現代の交通環境にも問題なく馴染めます。雨の日の運転は、余り気が進みませんが」

運転席へ座ってみると、見た目と同様に、2台の違いの大きさへ改めて気がつく。ジェンセン・ヒーレーは、ブランドらしいスポーティなDNAが色濃い。

ドライビングポジションは若干不自然で、人間工学的には改善の余地がある。クラッチは急につながる。それでも、先代のオースチン・ヒーレー3000より遥かにボディはガッチリしている。傷んだ路面を通過しても、フロアが粗野に震える様子はない。

コーナリングが楽しい2台のスポーツ

TR7の車内はより広く、ドライビングポジションも妥当。TRシリーズのなかでも、1番居心地は良さそうだ。

ダッシュボードのデザインは直線的で大柄だが、メーターは良く見える。センターコンソールにはソフトパッドが入った肘掛けがあり、左足を置けるフットレストも備わる。コンバーチブルは当初計画になかったことを考えると、ボディ剛性の高さには驚く。

ジェンセン・ヒーレーのエンジンを始動させると、ロータスの907ユニットがデロルト・キャブレターから積極的に息を吸い始め、2本出しのエグゾーストから勇ましい排気音が放たれる。ゲトラグ社製の5速マニュアルは、レバーの感触が少し曖昧だ。

ステアリングホイールはダイレクトで、反応は一貫している。乗り心地は硬めだが、カーブではボディロールが小さい。少し気張ってコーナーへ突っ込むと、高くない限界を明瞭に教えてくれる。かなり楽しい。

見た目とは裏腹に、TR7はMGとサンビームの良いところを組み合わせた印象。ヒーレーよりカーブではボディが大きめに傾くものの、乗り心地は優しい。2基のSUキャブレターは、意欲的にエンジンを反応させる。

ステアリングは、ジェンセン・ヒーレに迫るほど精度が高いわけではない。切り始めに無感覚の領域がある。それでも、回頭性はより鋭い。

優しく響くエグゾーストノートを伴奏に、田園の間の一般道をTR7で飛ばす。5速MTは滑らかで好感触。コーナリングの能力は高く、若干湿ったアスファルトでは本来の限界まで迫り切ることができない。

手頃な価格が不思議に思えるほどの魅力

今日まで優れた評価が与えられることのなかった、2台のブリティッシュ・スポーツ。改めて試乗したことで、冷たい空気を感じながらクラシックカーを運転する楽しさを再確認できた。やはりオープンは気持ちイイ。

ステアリングホイールを握る前までは、ジェンセン・ヒーレーを気に入るのではと予想していた。活気あふれるロードスターとして、実際に得られる喜びは大きかった。

しかし、トライアンフTR7は目からウロコだった。楽しいだけでなく、気兼ねなく乗れる、驚くほど身近なスポーツカーだと感じたからだ。

数は少ないが、まだ残存する個体を英国では発見できる。その手頃な価格が、不思議に思えるほどの魅力が詰まっていた。

協力:ロバート・ヘイドン氏、ジェンセン・オーナーズクラブ、リチャード・コンニュー 氏、ワールドワイドTR7 TR8オーナーズクラブ

ジェンセン・ヒーレー トライアンフTR7 2台のスペック

ジェンセン・ヒーレー(1972~1975年/英国仕様)

英国価格:1810ポンド(新車時)/2万5000ポンド(約402万円)以下(現在)
販売台数:1万926台
全長:4115mm
全幅:1605mm
全高:1219mm
最高速度:197km/h
0-97km/h加速:7.5秒
燃費:8.5km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:965kg
パワートレイン:直列4気筒1973cc自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:142ps/6500rpm
最大トルク:17.9kg-m/5000rpm
ギアボックス:4速・5速マニュアル

トライアンフTR7(1975~1981年/英国仕様)

英国価格:6382ポンド(新車時)/1万2000ポンド(約193万円)以下(現在)
販売台数:11万2368台
全長:4178mm
全幅:1681mm
全高:1257mm
最高速度:175km/h
0-97km/h加速:11.4秒
燃費:10.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1134kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:106ps/5500rpm
最大トルク:16.4kg-m/3500rpm
ギアボックス:5速マニュアル

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みんなのコメント

2件
  • 色々乗りましたがトライアンフは普及車ですから凄くない。反面、ちょっと頑張れば買える身近な車。だいたい、この頃の英車はアメリカ輸出用だったからね(笑)
  • トライアンフTR7にオープンがあったんですね。バンダイの1/20スケールのプラモはそうじゃなかったから。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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