■軽トラックならぬ「軽ピックアップ」!?
世界各国で開催されるモーターショーなどの自動車イベントでは、新型車とともに未来を予感させる様々なコンセプトカーが発表され、将来のクルマに対するワクワクや期待感を高めてくれます。
それらのすべてが実際に市販化を実現するわけではありませんが、過去に発表されたモデルの中には、いま見ても先進的で発売が望まれるモデルが数多く存在します。
【画像】「えっ…!」 これが斬新なホンダ「軽ピップアップ」です(44枚)
そんなモデルの一台と言えるのが、2002年に開催された「第36回東京モーターショー」でホンダが発表した、軽自動車でありながら“ピックアップ”ボディを実現した斬新なモデル「アクティ・スポーツ」です。
アクティは、1977年に初代が登場したホンダの軽トラックで、使いやすさや力強い走りを実現ことから長年愛されていた軽商用車です。
エンジンを車両中央に配置し、軽トラとしては唯一無二となる“MR”という駆動形式を採用した個性的な構造や、荷台までもフレームの一部にしてしまうモノコック構造など、ホンダならではの独自性を余すこと無く表現したモデルで、2021年4月まで生産が続けられていました。
そんなアクティの備えた高い実用性を“遊び”にフル活用するという新しい発想から開発されたのが、このアクティ・スポーツ。
道具を気兼ねなく積載できるよう荷台スペースを補強し、「アオリ」と一体化されたボディに作業用ルーフランプ付きのパイプキャリアを装着。
またこの荷台スペースには、泥や汚れなどを気にせず積める樹脂製パネルを採用したほか、荷物の固定に便利な収納型フックなど実用性を高める機能が採用され、アウトドアやオフタイムでの可能性を大きく広げています。
さらに先述のパイプキャリアはステンレス製なので防錆性にも優れ、サーフボードなど海水で汚れた長尺物も余裕で積むことが可能です。
そのほか、バギーなどの重量級のアクティビティツールも難なく積載できるウインチ機能をリアパネル上部に搭載。
キャリア部には小物収納ネットも備え、汚れた服や濡れたウェットスーツを入れて持ち帰ることが想定されています。
また、両サイドのアオリの内側には、実用的な強度を備えたラダーレールも搭載。荷台に架けることで、重い荷物の積み降ろし時には力を発揮する工夫が凝らされました。
このようにアクティブな外装の一方で、内装は明るく落ち着いた色合いのペールベージュを基本色に採用。
オレンジをアクセントに採り入れたさりげない遊び心が、快適な車内空間を演出し、運転時の楽しさを広げてくれます。
このアクティ・スポーツのボディサイズは、全長3395mm×全幅1475mm×全高1745mm(全高はパイプキャリア除く)と軽自動車サイズ。
搭載するエンジンの排気量や出力についてのアナウンスはありませんでしたが、ベースのアクティと同じ660ccのエンジンを搭載していたと思われます。
※ ※ ※
現実的な使い勝手の良さを追求し、エクステリア・インテリアともに工夫の凝らされたアクティ・スポーツは、魅力的なライフスタイルを想像させたことから市販化を望む声が上がりましたが、その後発売することなく、先述のようにベースのアクティ自体が生産終了となりました。
このように残念ながら市販化はおこなわれなかった同車ですが、そこで培われた「使える商用車」のノウハウは、ホンダの現行モデルの「N-VAN」シリーズへと引き継がれています。
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