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【ESV国際会議】交通事故死者ゼロに向けたホンダの最新技術【石井昌道】

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【ESV国際会議】交通事故死者ゼロに向けたホンダの最新技術【石井昌道】

車の最新技術 [2023.04.10 UP]


【ESV国際会議】交通事故死者ゼロに向けたホンダの最新技術【石井昌道】
文と写真●石井昌道

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 4月3~6日にパシフィコ横浜で開催された第27回ESV国際会議(ESV2023)。ESVはEnhanced Safety of Vehicleの略で自動車の安全技術の国際会議であり、最先端技術の展示も行われる。世界の都市を巡って開催されているが、今回は20年ぶりの日本開催となった。

 そのなかから今回はホンダのブースを紹介しよう。ホンダは「2050年 全世界に於いてホンダの二輪・四輪が関与する交通事故死者ゼロを目指す(保有)」という目標を掲げている。二輪が入っていること、新車ではなく保有車まで含めているところがポイントであり、世界の自動車メーカー、二輪車メーカーのなかでももっとも意欲的だと言えるだろう。2050年はずいぶんと先ではあるが、2030年には交通事故死者半減という中期的目標もある。2021年12月の当コラムでは、ホンダ・センシング360など、安全への取り組みを紹介していて、そのときと目標はかわっていないが、ESV2023の展示ではさまざまな取り組みを紹介していた。目標達成のためには、クルマの安全装備、ADAS機能を進化させていくことは重要だが、それだけでは追いつかない。歩行者や自転車も含めたすべての交通参加者との共存が必須であり、そのためには人・モビリティ・インフラが繋がることで多用なリスクを回避するべく開発が進められている「安全・安心ネットワーク技術」が1つの要になる。

 すべての交通参加者はスマートフォン等のネットワークで繋がり、たとえば歩行者が飛び出しそうになったら、ドライバーやライダーなどへ警告を通知する。

 また、ユースケースとして幹線道路での右折待ちのクルマと直進のオートバイの例が紹介されていた。道が混雑していてクルマからオートバイは見えていないのだが、オートバイの位置や走行速度、運転操作は通信で把握されており、クルマにはインジケーターによってそれが伝えられている。一方で、クルマが右折を始める素振りをみせれば、オートバイ側に危険が迫っていることを伝え、速度を落としたり前方注視を促す。従来の安全装備は、衝突の2~3秒前程度に作動してブレーキやステアリングによる回避をアシストするものだが、「安全・安心ネットワーク技術」はもっと手前からリスクを予知・予測し、これをそれぞれの交通参加者の状況に合わせて知らせることで、事故の手前で未然に回避するわけだ。ネットワークだけではなく、路側カメラ、車載カメラなどからの情報も合わせて潜在リスクをサーバに集約。その情報を地図データに統合してリアルワールドの交通と再現し、交通参加者の行動を予測してリスクを予測するのだという。この技術は2030年以降の社会実装に向けて、2020年代後半までにシステム構築、効果検証を完了し、標準化することを目指している。

 ブースでは開発中の安全技術を搭載したHonda eの実験車両が展示されていたが、安全効果の高そうなライト類も装備されていた。リアで目立つのは車両四隅のリフレクター(反射板)で、光をあてるとくっきりと光りを反射して目立つ。ASEANなどでは夜間に駐車車両にオートバイが追突してしまう事故がたいへんに多いそうで、それに対応するためのものだ。じつにシンプルだが、二輪も含めて全世界でホンダ車が関われる交通事故をなくすためには有効だろう。前部のウインカーは、前方の地面に映せるようになっていて、右直事故の防止等に約に立つ。

 また、逆走車両も日本とは比べものにならないほど多いそうで、駐車車両も含め、路側カメラからの情報によって交通参加者へ注意を促す「安全・安心ネットワーク技術」も合わせて活用する。

 二輪では車載エアバッグなどとともに、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)の開発にも取り組んでいる。「安全・安心ネットワーク技術」の通知は、ウインドーシールド上部やヘルメット内部にインジケーターを埋め込んでライダー向けのHMIとするほか外向けHMIもある。これはクルマなどからの認識を高めるもので、下部の両端にフォグランプを搭載することで10%ほど認識率を高めるという。また、危険な状態が近づいていると上部のウインカーが点滅して外部に注意を促す。もう一つ興味深いのはヘッドライト上のレーダーリフレクターで、形状を工夫した金属板を配することで、ミリ波レーダーの反応を高めるという。ADAS搭載車両による危険回避行動を早めに促すことができるのだ。

 その他、米国では若者ドライバーの事故が増えていて問題視されていることを受けて、スマートフォーンのアプリとホンダ車を繋げれば、ドライバーの運転を観察し、安全運転コーチングをするシステムなども紹介されていた。すでに実用化が始まっていて、新型アコード/シビックの他、2018年以降のモデルでも使用できるレトロフィットも用意されている。

 ホンダの安全への取り組みでわかることは、本気で交通事故死者ゼロを目指すには、クルマやオートバイの安全装備を進化させるだけではなく、事前にリスクを予測して回避することや交通参加者の教育なども必要だということ。壮大な計画だが、着実に歩を進めているようだ。

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