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【消えゆく国産ステーションワゴン】レヴォーグ/カローラ・ツーリング売れているのに 背景は?

掲載 更新 20
【消えゆく国産ステーションワゴン】レヴォーグ/カローラ・ツーリング売れているのに 背景は?

レヴォーグやカローラ・ツーリングは売れている

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)

【画像】今売れている国産ワゴン【レヴォーグ/カローラ・ツーリングを比較】 全85枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

クルマ好きのユーザーに好まれるメーカーといえば、スバルが筆頭に挙がる。

スバル車に乗っている人を「スバリスト」と呼んだりする。

スバル車には、水平対向エンジンや4WDなど独自のメカニズムも多い。これらの相乗効果で生み出される優れた走行性能は、安全で操る楽しさも実感できるから、多くのユーザーに好まれている。

そしてスバルには、伝統的にワゴン(ステーションワゴン)が多い。1980年代にレオーネにワゴンが設定され、レガシィ・ツーリングワゴンを経て、今はレヴォーグが販売されている。

レヴォーグの登録台数は、2021年1~4月の1か月平均が約3800台であった。

とくに多くはないが、レヴォーグは売れ筋の価格帯が350~400万円の高価格車だ。

しかも、スバルの販売店舗数は、全国に約460か所と少ない。トヨタの10%にとどまる。レヴォーグの価格とスバルの販売網を考えると、1か月平均が約3800台であれば立派だ。

また、ワゴンではトヨタのカローラ・ツーリングも好調だ。2021年1~4月には、カローラ・シリーズ全体では1か月平均で約9300台が登録され、この内の約半数、つまり4700台前後がツーリングで占められる。プリウスなどと同等の売れ行きで、堅調な部類に入る。

この2車種を見る限り、ワゴンも相応に人気が高いと思わせるが、ほかのメーカーでは激減している現実がある。そこを探りたい。

今や国産ワゴンの比率はわずか4%に

クルマには複数のカテゴリーがあるが、ワゴンは車種数が最も少ない。

15年ほど前までは、トヨタではカルディナやマークIIブリット、日産はステージアやウイングロード、ホンダならアコードワゴン、三菱はランサーワゴンという具合に各メーカーがワゴンを相応に用意していた。

それが今では、前述のレヴォーグとカローラ・ツーリング以外は、先代型を継続生産するカローラ・フィールダー、先代ホンダ・フィットをベースにしたシャトル、発売から8年以上を経過したマツダ6(旧アテンザ)ワゴンしかない。

レヴォーグとカローラ・ツーリングを除くとすべて設計が古く、プリウスαは販売を終えた。

15年ほど前までは、国内で新車として売られる小型/普通乗用車の10%近くをワゴンが占めたが、今は約4%だ。

車種の数が減り、ワゴンの売れ行きも大幅に下がった。

この背景にはミニバンやSUVの好調な売れ行きがある。

ミニバンに押され、SUVに押され……

ワゴンの車種数と売れ行きが大幅に下がった1番の理由は、日本と、北米を中心にした海外市場で需要を失ったからだ。

かつて日本には、前述のとおりワゴンが豊富に用意されていた。

ただし1990年代の後半になると、背の高いボディによって、車内がワゴンよりも大幅に広いミニバンが続々と登場してきた。

とくに当時のミニバンは、ホンダ・ステップワゴンのような全高が1800mmを超えるスライドドアを備えた車種だけではない。ホンダ・ストリーム、トヨタ・ウィッシュ、トヨタ・イプサムのような背の低いミニバンもあった。

これらのルーフを低く抑えたミニバンは、全高が1700mm以下でスライドドアも装着されず、外観は背の高いワゴンという印象だ。

そのためにワゴンから、ストリーム、ウィッシュ、イプサムなどに乗り替えるユーザーが増えた。

これらの車種は、背が低くミニバンらしさが乏しいことから最終的には廃止されたが、1990年代から2000年代には、ワゴンの需要を吸収して売れ行きを伸ばした。

また、日本車が多く販売される北米などの海外市場では、SUVの人気が高まった。

これに伴ってワゴンの売れ行きが下がり、海外でも需要を失ったから、日本のメーカーはワゴンをつくらなくなった。

ワゴンの需要がなくなったわけではない……

ワゴンの減少を販売店ではどのように見ているのか。

日産の販売店に尋ねると、以下のように返答された。

「今はワゴンの新車を売っていないが、古いステージアやウイングロードに乗っているお客さまは少なくない」

「販売店としては、セレナやエクストレイルへの乗り替えも提案しているが、断られることも多い。背の高いボディによる高重心の運転感覚が嫌いだったり、立体駐車場の利用性が悪化するからだ」

「とくにマンションに住むお客さまの多くは、立体駐車場を使うから、背の高いミニバンやSUVは所有できない。セダンも車種が減り、ノートのようなコンパクトカーでは荷室が狭い。そうなると所有できるカテゴリーはワゴンだけなので、復活させたら喜ばれる」

国産ワゴンユーザーは輸入車ワゴンに流れる

マンションに設置された一般的な立体駐車場は、利用可能な車両の全高を1550mm以下に設定していることが多い。

そうなるとセレナやエクストレイルは所有できない。そこで天井を低めに抑えたクルマで、なおかつセダンやハッチバックよりも広い荷室が欲しいとすれば、選べるのはワゴンに絞られるわけだ。

ところが前述のとおり国産ワゴンには設計の古い車種が多い。

そのために需要が比較的新しいレヴォーグとカローラ・ツーリングに集中した。

ワゴンの車種数は世界的に減ったが、欧州は唯一の例外だ。メルセデス・ベンツ、BMW、アウディなどには今でもワゴンが多い。

そこでアウディの販売店に、ワゴンのニーズについて尋ねた。

「アウディは伝統的にワゴンのアバントが人気で、今はSUVも増えたが、A4アバントは好調に売れている。とくにスポーツモデルのRS4は、アバントのみの設定でセダンにはない。古くなった国産ワゴンを下取りに出して、アバントを購入するお客さまもいる」

欧州は日常的に高速走行の機会があるから、低重心で荷室の広いワゴンを好むユーザーが多い。

スバルがワゴンのカテゴリーにこだわる理由も、走行安定性と積載性の両立にある。

各メーカーともに、ワゴンを1車種程度は用意するとユーザーから喜ばれるだろう。

とくにマンションに住んでいて立体駐車場を使う場合、背の高いクルマは所有しにくい。

今はセダンもLサイズが中心で、軽自動車まで背の高い車種が増えたから、選べるカテゴリーはコンパクトカーだけになってしまう。切実な問題だ。

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みんなのコメント

20件
  • 後は金額の問題な。
    日本じゃ軽かなんちゃってsuvしか売れんから。
  • SUVがあればワゴンの代わりになると多くのメーカーが考えているのでしょう。
    ステーションワゴンより高価で売れる上に利益率も高く設定できるとあって、今やどこのメーカーもSUVだけは用意するようになったのが何よりの証拠。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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