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Pゼロでさらに速く機敏に! マクラーレン・アルトゥーラ 長期テスト(4) じっとり濡れたカーペット

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Pゼロでさらに速く機敏に! マクラーレン・アルトゥーラ 長期テスト(4) じっとり濡れたカーペット

積算7919km 720 Sのオーナーの元へ

筆者には、歴代のマクラーレンを乗り継いできた、幸せな友人がいる。570 GT、675 LTを経て、現在は720 Sのオーナーだ。長期テストでお借りしている、アルトゥーラを試乗してみたいと考えても、不思議ではない。

【画像】ほぼパーフェクトな第一印象 マクラーレン・アルトゥーラ フェラーリとランボのHVスーパーカー 全134枚

というわけで、彼が所有するポルシェ911 Rと少し交換してみた。次の週末、彼へ感想を聞いてみる。「アルトゥーラは、とても印象的でしたね。運転しやすいし、とても速い。720 Sほどのパンチ力はないようですが」

彼の意見を否定はしない。そして、限定仕様の911 Rは最高に素晴らしかった。

積算8370km ひたすら雨が続いた2024年の冬

ここ数週間で、マクラーレン・アルトゥーラには2つの変化があった。1つ目は、以前から計画していたこと。もう1つは、まったく予期していなかったことだ。

2024年の冬は特に雨が多かったとお感じなら、それはグレートブリテン島の南西部、南ウェールズ地方に住んだことがない人だろう。南米チリのアタカマ砂漠が極めて乾燥しているのと同様に、この土地の冬は非常に雨が多い。

春が来るまで、ひたすら雨が続いた。英国で少数が生産される、エキゾチックなハイブリッド・スーパーカーも、その雨に当たり続けた。屋根のある駐車場は、残念ながら筆者の敷地には存在しない。

じっとり濡れていた助手席のカーペット

ある日の朝も、目的地へ向かおうとアルトゥーラのガルウイングドアを開いた。フロントガラスには、例によって細かい水滴がついている。指を伸ばしワイパーを動かすものの、視界は殆ど変わらない。

おかしいな、と思い、もう一度ワイパーを試すが変化なし。ワイパーブレードの不調かな?と一瞬思ったが、それでも水滴は拭えるはず。そして、その時初めて、フロントガラスの内側が湿っていることに気がついた。

予定があった筆者は、アルトゥーラの強力なヒーターとベンチレーションを利用し、とりあえず水滴を乾かした。1分もかからない。その時は、今日も湿気が多いな、と感じた程度だった。

ところが2日後、再び大きなフロントガラスは曇っていた。これはおかしいぞ、と思い、車内を観察する。助手席側のフロアカーペットを触ってみると、じっとり濡れている。これが車内の湿度を上昇させていたのだ。

しかし、カーペットが濡れるには何か原因があるはず。アルトゥーラは、以前からの計画通りディーラーへ持ち込む予定になっていた。調査をお願いするのに、丁度いい機会といえた。

マクラーレンのスタッフは、サイドウインドウが空いていたのでは、と濁すこともできただろう。しかし、流石というべきか、しっかり原因を解明してくれた。

ステアリングは一層ダイレクトでピュアに

それが、エアコンの利用時に車内の気圧を一定に保つための、ボディの下側にあるエアベント。このシール部分から、雨水が侵入したという。大雨の中でも、構わず高速道路を何度も長時間走ったことで、水を防ぎきれなかったようだ。

スタッフによると、ほかの1台でも同様の水漏れが起きていたらしい。手早い作業でシール部分が密閉され、カーペットは乾かされ、アルトゥーラの車内は再び乾燥した空間に戻った。

さて、計画していた変化というのは、前回触れたとおり、スタッドレスタイヤのピレリ・ソットゼロがサマータイヤのPゼロへ交換されたこと。冬の間、とても頼もしい存在だったが、これが本来はデフォルトの足になる。

変化ぶりは次回に詳しく触れたいと思うが、想像していたとおり、ステアリングは一層ダイレクトでピュアに転じた。グリップ力は、公道で限界へ追い込めるレベルの遥か上。穏やかなアンダーステア傾向の操縦性も、生まれ変わった。

サーキットを頻繁に走ることがない限り、ピレリPゼロ・コルサのようにソフトなタイヤを選ぶ必要はないと、筆者は考えている。公道走行に不可欠なウェット性能を犠牲にしてまで、実際には発揮させることがない水準へ、ドライ性能を高めても意味がないからだ。

新しいPゼロで最大限に謳歌しよう

アルトゥーラは、更に面白く速くなった。驚くほどの日常との親和性は、まったく変わらない。長期テストに残された時間は長くない。新しいPゼロを履いたからには、後悔しないよう、最大限に謳歌しようと考えている。

2024年の春は、好天が続くことを祈りたい。少し気は早いけれど、お別れはきっと辛いものになるだろう。

テストデータ

気に入っているトコロ

ピレリPゼロ:グリップとステアリングが見違えた。ゲームチェンジャーなタイヤだ。

気に入らないトコロ

乗り降りしにくい:新設計のモノコック構造でも、アルトゥーラの乗降性は従来のマクラーレンと変わりない。

英国価格

モデル名:マクラーレン・アルトゥーラ(英国仕様)
新車価格:18万9200ポンド(約3670万円)
テスト車の価格:22万1400ポンド(約4295万円)

テストの記録

燃費:10.3km/L
故障:なし
出費:なし

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