10年経ったら未使用でも迷わず交換
かつてはパンク修理の際に使うスペアタイヤはほとんどのクルマに搭載されていました。ここ5年以内に購入したクルマであれば問題はありませんが、それ以前に購入している場合は必ずスペアタイヤのチェックをしておきましょう。
スペアタイヤを最近のクルマが搭載しない理由は? パンクの際のタイヤ交換方法とパンク修理キットの使い方を伝授します
半年に一度ぐらいはテンパータイヤの空気圧も点検
ここ10年、スペアタイヤの代わりにタイヤパンク応急修理キットを搭載するクルマが急増している。トヨタはスペアタイヤをメーカーオプションで選べる車種が豊富にあるが、他メーカーではスペアタイヤレスが一般的となっている。
そのため、スペアタイヤもなかなか馴染みのないパーツになりつつあるが、タイヤのパンクはJAFの救援要請で2番目に多い項目。ひと昔前のクルマのユーザーで、スペアタイヤを搭載している人は、定期的な点検とメンテナンスを忘れずにしたい。
具体的にはまず空気圧のチェック。乗用車のスペアタイヤは、「テンパータイヤ」(テンポラリー=「一時的」の意味。別名Tタイプタイヤ)が一般的。テンパータイヤは、外径や総幅、接地面積が小さいのが特徴で、通常のタイヤよりも高い空気圧(420kPa)で使用する設定になっている。
タイヤの空気圧は1カ月に5%程度、自然低下するといわれているが、テンパータイヤは指定空気圧が高い分、同じ5%でも抜けるエアの量が多い。可能であれば月に一度は空気圧のチェックといいたいところだが、トランク内にあるテンパータイヤのことは忘れがちになりやすい……。せめて半年に一度ぐらいはテンパータイヤの空気圧も点検し、指定の420kPaよりもやや高く、450kPa~460kPaぐらいに合わせておくと安心だ。
また、走行距離にも気をつけたい。テンパータイヤもスリップサインが出るまでは使えることになっているが、パンクなどのトラブルでテンパータイヤを装着して走る場合、最高速度は80km/h以下、連続走行距離は約100km未満が基準。テンパータイヤは緊急用のタイヤなので、パンク修理が可能なところまで、最短距離の走行にとどめておくのが重要だ。
100キロ近く走ったテンパータイヤは使用しない
何らかの理由で、100km近くテンパータイヤで走ったとすれば、そのテンパータイヤは新品に交換した方が望ましい。ちなみに、テンパータイヤを駆動輪に装着するのはNGで、駆動輪以外で使用するのが基本。4WDの場合は、取扱説明書をよく読んで、装着可能な位置を確認しておこう。
現実問題としては、テンパータイヤは未使用のまま、クルマ自体が廃車になるケースがほとんどだが、未使用であってもゴム製品のため、経年劣化は確実に進んでしまう。しかもテンパータイヤは指定空気圧が高いので、ゴムのひび割れやバルブの劣化などの影響は無視できない。
タイヤメーカーでは、未使用のテンパータイヤでも製造後10年を目安に交換することを奨励しているので、10年経ったら未使用でも迷わず交換しよう(1本1万円前後)。
また、ゴム=タイヤの大敵は、紫外線、オゾン、油。直射日光や雨、水、油類の影響をほとんど受けないトランク内に搭載しているテンパータイヤなら、10年持つかもしれないが、アンダーフロアに吊り下げられ、車外に露出しているタイプは、条件が厳しくなるので、5~7年で交換した方が安心だ。
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