二度と現れない伝説のスーパーカー
text:Steve Cropley(スティーブ・クロプリー)
【画像】カウンタック(25thアニバーサリー、LP5000S)、ミウラ、ディアブロ【ランボルギーニの猛牛たち】 全123枚
ランボルギーニ・カウンタックがこれほどまでに壮観に見えてしまうのは、ある意味で残念なことである。
なぜなら、そのスタイリングゆえに、どれほど素晴らしいマシンなのか印象が薄れてしまうからだ。
1974年から1990年までの16年間に製造されたのは2000台に満たない。
しかし、これほどの驚異的なプロポーションと冒険的なメカニカルレイアウトを持つスーパーカーは、もう二度と出てくることはないだろう。
マルチェロ・ガンディーニが描いたデザインは驚異的で、ルーフは非常に低く、シザードアは目を見張るほどセンセーショナルで、カウンタックの小ささにしばらく気づかなかった。
全長はフォード・フォーカスよりも少なくとも20cmは短く、全幅も広くはないが、80年代の全盛期には「大きい」とすら表現されることがあった。
わずか全長4.1mのクルマが、今の時代に「大きい」と言われることがあれば素晴らしくはないだろうか。
参考までに、現在のマツダ・ロードスターの全長は3.9mである。
このコンパクトさのカギは、エンジニアのパオロ・スタンツァーニが、ミウラ由来の60度V12(当初は4.0L、後に5.0Lと5.2L)をリア・ミッドシップに搭載すると決めたことにある。
トランスミッションは運転席と助手席の間に設置されている。
リアから伝わった駆動力は、ここで180度回転して後輪へ送られていく。
コンパクトなシステムで、すべての車に採用できるわけではないが、カウンタック(エンジン音によってギアのうなり声をかき消す)にとっては、天才的なアイデアだと思う。
スタイリングの良さは称賛に値するが、特に初代のLP400は素晴らしい。
しかし、ランボルギーニがその後いくつもの段階を経て、繊細なボディラインやホイールアーチを損なうようなボディパーツを装着したことは理解に苦しむ。
ガンディーニ自身が(より近代的なホイールとタイヤを使用できるようにするために)そのようなものをクルマに付けたのか、あるいはそれに同意せざるを得なかったのかは分からない。
いずれにしても私の中では、初期LP400は天才的な作品だと思っている。
後のモデルも素晴らしいが、80年代後半にカプリに装着されていたような安っぽいボディパーツの追加をランボが許すべきではなかったと思う。
それでも、次に登場したディアブロと比較してみると、カウンタックの優位性は明らかだ。
運転のしづらさも美点になる
私は幸運にも8台以上のカウンタックを試乗する機会に恵まれた。
決して速くはなかったが、素晴らしいサウンドだった。
私が最後に試乗したのは461psの5.2L Quattro Valvoleだ。
このコンパクトなボディと優れたダンピングがあれば、あと100psくらいは使えるだろうと思っていたのだが、私はレースドライバーではない。
カウンタックはスーパーカー時代の最後の1台で、運転が難しいことを美徳としていた。
落ち着いて走らせることができれば、間違いなく特別なドライバーとして認められた。
ドライビングポジションは妥協されていた。ルーフに頭皮をぶつけないように、大きな段差を乗り越えるときにはかがむ必要がある。
また、どう頑張っても後方は見えづらかった。
勇敢なランボ・ジョッキーたちは、ドアを開けたままシャシーシルの上に腰掛け、エンジンカバーの上を見ながらバックすることを学んだ。
同時期、フェラーリのベルリネッタ・ボクサーやテスタロッサはまだテールハッピーで知られていた。
ポルシェ911ターボは、注意しないと生垣の中を後ろ向きに走ってしまう(あるいはアンダーステアになって中央分離帯に突っ込む)こともあった。
1990年代初頭、イタリアの実業家ルカ・ディ・モンテゼーモロがフェラーリの経営に加わったが、彼はすぐにクルマを乗りやすくすることが重要だと気付いた。
より多くのクルマを売るためには、あらゆるドライバーがクルマを飼い慣らし、快適に楽しめるようにする必要があると考えたのだ。
論理的には正しかったが、しばらくの間、スポーツカーのファンからは冷めた目で見られていた。結果として、彼は間違っていなかったのだが。
忘れがたい特別な体験
それでも、カウンタックに乗りこんで、膝を高く上げて尾てい骨で座り、ほぼ垂直に近いステアリングホイールを至近距離で握るとき(これはランボの伝説的な長身の開発ドライバー、ボブ・ウォレスがやっていた方法)は、今でも特別な気分になる。
騒音は計り知れないほど大きく、シフトチェンジやブレーキ、ステアリングはとても重い。
これはドライビング環境の中で最も純粋なものである。
ラジオを聴こうとか、大金を払って高級オーディオを買おうとか、そんな名目上の考えは滑稽だ。
カウンタックは素のままで味わうべき。下手にいじらない方が良い。
今まで運転して楽しかったクルマの中でも、カウンタックは常に上位に位置している。
特に印象に残っているのは、ランボルギーニのサンタアガタ・ボロニェーゼ本社での出来事だ。
そのカウンタックは英国でデモカーになることが決まっていて、私が直接運ぶことになっていたのだ。イタリアから英国まで。
輸送業者にお金を出して運んでもらう余裕はなかった。
私は束になった書類と希望を抱えて、英国まで走った。
クルマがドーバーの税関で押収されたこともある(私も一緒に押収された)。
最終的にはクルマの中で眠り、税関の構内で一晩を過ごした。
快適ではなかったが、忘れられない特別な旅になったことは確かだ。
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みんなのコメント
アヴェンタ、シアンなんかより断然興味ある。
より、低く、速く、高価で、希少なクルマは今もある。
でも、カウンタックは、やっぱり特別だな