車両との事故では怪我の度合いで過失割合が変わってくることも
先日、福岡で発生した歩行者とバイクの事故において、歩行者も書類送検されるという交通事故があった。ライダー側の前方不注意もあったが、歩行者の信号無視が事故の原因とされたことで、歩行者にも過失が認められたのだ。じつは、この交通事故は当事者がいずれも70歳代という高齢者同士の事故だったりするのも時代を感じさせるが、それでなくとも加齢による体力低下を自覚できていない高齢者の信号無視を問題視する声も耳にする機会が増えている。はたして、歩行者の信号無視というのは罪に問われるのだろうか?
まず、交通事故については責任の有無を問わず、関係した人物を「当事者」と呼び、一対一の事故の場合は過失の重いほうが「第一当事者」、軽いほうを「第二当事者」と呼ぶ。もし過失が同等であった場合は、被害の大きい(ケガが重い)ほうが「第二当事者」となる。そのためクルマ対歩行者の事故では、歩行者は「第二当事者」になることが多い。
冒頭に記した福岡の交通事故では、バイクに乗っていたライダーのケガが重かったことも歩行者の書類送検につながったといえるだろう。高齢ライダーと若い歩行者の事故であれば、歩行者よりライダーのほうが重傷を負うケースはあり得る話。歩行者が第一当事者になる交通事故が増えていくことが考えられる。交通弱者だからといって、絶対的に守られる存在というわけではない。
なお、歩行者の信号無視については、道路交通法によって明確に罰則が定められている(2万円以下の罰金か科料)。実際に、歩行者が信号無視をしているだけで取り締まるということはないようだが、交通事故における過失割合においては信号無視をしたことで歩行者の責任が問われることは十分に考えられる。交通ルールを守るべきは自動車ユーザーだけではない。自転車に乗っているときも、歩行者であるときも、ルールを守ることは事故を起こさないための基本。金属製のボディに守られているわけではない、むき出しの歩行者だからこそ、ルールを守ることは自分の身を守ることにつながるのだ。
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