この記事をまとめると
■オーストラリアのロードトレインについて解説
旧普通免許でOKなのにバカでかい! 軽い荷物しか積めない「いびつ」なトラック「お化け4トン」って何?
■トレーラーをトラクタに2~4台連ねた流通システムを指す
■ロードトレイン専門のドライビングスクールも存在
広い国土のオーストラリアならではの乗りもの
世界中の道路で活躍するトラック。それぞれの国の国土や流通システム、道路事情や交通インフラによって、さまざまなスタイルの車両が走っている。ここでご紹介するのは、南半球はオーストラリアの「ロードトレイン」。ロードトレインというと日本では遊園地やテーマパークで走っている蒸気機関車などの鉄道車両を模した乗りものを想像するが、オーストラリアのロードトレインはトレーラーをトラクタに2~4台連ねた、トラックの「トレイン」のことだ。
世界第6位で、日本のおよそ20倍もの国土をもつオーストラリアは、内陸の大部分が砂漠や乾燥した草地で、日本のような鉄道網が発達しなかった。オーストラリア大陸の中央を縦断するダーウィン~アデレード間の鉄道(「ザ・ガン」と呼ばれる)が全線開通したのは2004年。ダーウィンを州都とする北部準州の地域はそれまで鉄道自体が存在しなかった。そのため生まれた流通システムがロードトレイン。トレーラーをつなげて列車のように運行することで、鉄道のような大量輸送を実現しているのだ。
オーストラリアの鉄道路線図を見ると、路線があるのは大陸の南部と中央、東部のみ。それも広大な国土にわずかに10の路線のみ。彼の国で流通のメインを占めているのは、やはりトラックであり、ロードトレインであるようだ。そのため、ロードトレインの需要が高いダーウィンなど北部の都市にはその運転の仕方を教える専門のドライビングスクールも多く存在する。
トラクタで運ぶセミトレーラーは2~4台。ドライバーの間の通称は2台の運用が「ダブル」、3台が「ロードトレイン」もしくは「トリプル」、4台が「クワッド」と呼ばれている。ちなみにこのロードトレイン編成の最長記録はセミトレーラー113台。長さにしてなんと1474.3mにのぼる。ただし、これはギネス記録を狙ったイベントで、走行距離も150mのみだったという。
通常運用されているロードトレインの長さは4台編成の「クワッド」ともなると100m以上にもなるという。オーストラリア大陸中央部の道路は直線部分が非常に長いため、100mオーバーでも100km/hの速さで走れる。しかし、それだけの長さの車両が100km/h超えで走るとなると、走行中に発生する風とそれに伴う巻き込みも相当のものになるという。ロードトレインとすれ違う際は、(オーストラリアでなければ体験できないが)かなりの注意が必要だ。
このロードトレインを牽引するトラクタ(オーストラリアでは「プライム・ムーバー」という独自の呼び方をしている)はボルボやスカニアのほか、ケンワースなどアメリカのボンネットトラックも好んで使われている。また、それらの車両には、路上に飛び出すカンガルーから車体を守るためのルーバーや飛び石からフロントガラスを守るストーンガードというフェンスのようなパーツが装着されている。これもまた、オーストラリアならではの装備といえるだろう。
日本では狭い国土と道路事情、そしてそれに合わせた法規制もあり、オーストラリアのようなロードトレインは走っていない。それに準ずる車両を挙げるとすると、大型トラックの後ろにトレーラーを1台のみ連結する「フルトレーラー」がそれにあたる。こちらの被牽引車(トレーラー)も、長さが21mと決められている。また、山口県宇部市から同県美祢市に至るUBE三菱セメント(旧宇部興産)が保有する専用道路(日本一長い私道で31.94kmある)「宇部伊佐専用道路」では、ロードトレインに類する複数連結トレーラーがナンバーなしで運用されている。
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