この記事をまとめると
■シビックは2022年で誕生から50周年を迎えた
ミッドシップ! 360ccなのに4気筒! 日本初のDOHC採用! ホンダ初の市販4輪車「軽トラのT360」は技術が渋滞してた
■歴代の全9モデルをモビリティリゾートもてぎにて試乗
■ホンダ・コレクションホール所有のモデルは動態保存されている
生誕50周年を記念して歴代モデルに一気乗りする機会が到来!
今年はシビック登場50周年という記念すべき年。そんなアニバーサリーイヤーの今年、新登場したのが第11代目となる新型シビックだ。
ホンダは今年もっとも期待するモデルとして新型シビックの話題作りを進めており、今回はなんと普段はもてぎリゾート内にある「ホンダ・コレクションホール」にて動態保存している歴代シビック(1~9代)を引っぱり出し、我々に試乗する機会を提供してくれたのだ。歴代シビックを改めて走らせることで、シビックの走りの系譜、ホンダのDNAを知らしめ新型シビックの評価を高める狙いだ。
試乗会場はもてぎ北ショートコース。普段ならレーシングカートやジムカーナコースとしても利用されているショートサーキットだ。
まず初代シビックの走りから紹介しよう。初代シビックが登場したのは1972年。僕がまだ中学生のころで、運転できる年齢ではなかった。外観の印象から軽自動車のN360を彷彿とさせたが、インパネのデザインや2ボックススタイルなどが斬新でホンダらしさに溢れていた。
今回試乗に供されたのは1974年に追加設定された「1200RS」グレード。「ロードセーリング」の意を冠されたRSは、個性的な走りで世界中から高い注目を集めた。
後年、取材で初めて試乗したときは跳ね上がるようなアクセルレスポンスの良さに驚愕した。まるでそのままどこまでも吹き上がっていくような回転フィールから「錯覚工学」というワードが産まれたほどだった。試乗車に乗り込むと、当時のままのダッシュボードやシート、ペダルレイアウトやウッドのステアリングホイールが懐かしく思い出される。しかし、コースインすると、アクセルレスポンスも当時のままで、指定された速度制限を守るのが苦痛に感じるほど調子がいい。
素晴らしいコンディションに保存されていることに驚かされた。ヒール・アンド・トゥを使い、心地よさと楽しさに満ちたMTの走りを楽しめた。
次は1979年に登場した2代目シビック。試乗車はシビックバンをベースに1980年に追加されたステーションワゴン「シビック・カントリー」だ。2代目シビックは僕がモータージャーナリストとして活動し始めた時代で、最大のトピックは「FFスーパーシビックレース」としてワンメイクシリーズレースが大々的に開催されたことだ。
当時、大学生ながら月刊自家用車誌に寄稿などしてライターとしても活動していた僕は、初の鈴鹿サーキット走行をFFスーパーシビックレース開幕戦で迎えた。黒沢元治氏(ガンさん)や生沢 徹氏、津々見友彦氏など超有名レーサーも多くエントリーしているなか、初の鈴鹿サーキット走行を体験。そしてウエットの予選で序盤に7番手に付ける。予選落ちも多くでるなかで大健闘していたわけだが、話しかけてきた鈴鹿の名門チームメカニックから「130Rは全開で行くんや、そうすればさらに順位を上げられるで」とアドバイスされ、意を決して敢行。見事130Rでイン巻きしてコンクリート壁に激突。怪我こそしなかったもののエンジンが割れるほどのダメージでマシンは全損となり予選は通過していたのに決勝は走れず。以後の参戦も諦めなければならなかった苦い想い出が蘇る。
試乗車のシビック・カントリーはしかし、これも極上のコンディションに維持されていて、エンジンもMTミッションも具合がいい。ボディサイドの木目模様が特徴的で当時の流行を思い起こす。ステーションワゴンとしてのパッケージングも良く、前後重量バランスに優れた走りは現代でも通用する。
3代目シビックは「ワンダー・シビック」と呼ばれ、世界中で大ヒットを記録したモデルとなった。当時、その開発を担当した伊藤博之氏が会場に登場。すでに退職されて年月が経っているが、古くから顔なじみのモータージャーナリストたちと旧交を温める機会ともなった。僕自身も試乗会やレース場で大変お世話になった。
試乗車はワンダー・シビックのセダンだ。ワンダー・シビックは北米のデザイナーの描いたデッサンをもとに、ほぼ忠実に実車化され、未来的とも言える洗練されたデザインは注目の的となった。また、セダン、3ドアHB、2ドアクーペ(CR-X)、シャトルの4タイプを一挙にラインアップし、現在の派生モデルの先がけとなったともいえる。いま乗ってもマン・マキシマム/メカ・ミニマムの理念に基づいたパッケージングは実用性に優れ、また質感が高く静粛性に優れた室内の快適性は現在も通用するレベルだ。
伊藤氏はワンダー・シビック開発時に「オヤジさん(故・本田宗一郎氏)に何度も怒られた。いつも近くで見張るように仕上りを注視していた」と秘話を聞かせてくれた。宗一郎氏は「走る実験室」としてF1チャレンジを実現した創業者であり、その精神こそホンダのチャレンジスピリットの原点になっている。宗一郎氏が細部まで意見した最後のシビックが3代目ワンダー・シビックだったのではないだろうか。
いまでも色褪せない完成度を誇る「市民」のためのクルマ
次は4代目。グランド・シビックの呼び名で登場した4代目シビックは前後サスペンションにダブルウイッシュボーンを採用するなどコストを顧みないチャレンジングな車体設計で世間をアッといわせた。僕自身、あまり知られていないがこのグランド・シビックで全日本グループA選手権に参戦。その初戦で勝利している。一緒に組んだのは故・村松栄紀選手で、その直後に彼はF3000のテスト走行中に事故死。僕はPIAA nakajima レーシングに移籍して後半戦を闘った。
試乗車は3ドアHBで、このグループAレース車を思い出させてくれる。グループAは規定で車体外観の変更やインパネ、エンジンルーム外見を変えられず生産車のまま使用されていたので、レース車ながら市販車の面影を色濃く残していたからなおさらだ。グランド・シビックの走りはダブルウイッシュボーンサスペンションが路面ホールド性を高め、安定した走行フィールで高い限界性能を引き出している。それが当時のまま保存されていることは驚きでもあるのだ。
5代目シビックは「スポーツシビック」の通称で呼ばれる。試乗車は3ドアHBのSiRグレードで、VTECエンジンを搭載。リヤハッチゲートを上下開きとし実用性を高めながら、強力な走行性能を示した。グラマラスな車体デザインは北米で高い人気を獲得したが、国内ではスポーツ性に多くの注目が集まった。
改めて試乗してみても、質感が高くボディ剛性の高さを感じる。衝突安全性に適合させるために車体サイズが拡大し、重量は増しているが、パワースペックの向上で走りの質と速さは向上していたことが感じ取れる。
次は6代目。「ミラクル・シビック」と呼ばれたこのモデルには初めて「タイプR」が設定され、現代に通じるホンダ「タイプR」の原点となった。試乗車はタイプRではないが、同じスタイリングの3ドアHB車が用意されていた。その走りは軽快さを増し、MTを操る楽しさを極めている。
これ以降は2ペダルのATやCVTが主流となっていくが、MTの完成度が極められていて、サーキットを走らせるのが楽しいモデルだ。ショートコースではシフト操作が忙しいが、それを苦にしない操作性の良さが維持されていて、質の高いメンテナンスを受けて大切にされていることが伺える。
7代目シビックは「スマート・シビック」と呼ばれた。じつは7代目シビックからシビックはその立ち位置を明確に示せなくなっていたと感じる。同じ次期にホンダはフィットを登場させていて、その優れたパッケージングや実用性の高さがシビックの顧客を振り向かせ、奪う結果を産んでしまっていたのだ。
7代目シビックは当時ブームとなりつつあったトールデザインを採用し、高いルーフ高にゆとりある室内空間を獲得、後席シートにリクライニング機構を取り入れるなど工夫を施されていたが、走りのDNAが失われつつあったのは確かだ。いま走らせてみても、高い重心高によりコーナーではロールが大きく、接地性は保たれているものの敏捷性は陰を潜め、ファミリカーとしてのみ存在するかのような車格となってしまっていたのがわかる。
次は8代目だ。8代目には時代背景もあってホンダ初のハイブリッドモデルが設定された。IMAと呼ばれるHVシステムはいまでたとえるならマイルドハイブリッドに近く、トヨタ・プリウスのシリーズ/パラレルHVシステムには燃費面で及ばなかった。ただ4ドアセダンとしてのパッケージングやデザインは優れたもので、個人的には好きなモデルだった。またタイプRも設定があり、4ドアセダンのタイプRとして価値が認められる。
試乗モデルはガソリン仕様で、極めて良好なコンディションに保たれている。クラス初となった5速AT仕様はエンジンとの協調性に優れ、ドライバビリティがいい。車体剛性も高く、がっちりとした乗り味を楽しんだ。
最後は9代目だ。9代目は残念ながら日本国内では販売されず、欧米専用車となってしまった。しかし、日本で限定発売されたタイプRの性能向上は凄まじく、独ニュルブルクリンクでのFF量産モデル世界最速タイムを叩き出し、最高速270km/hを可能とするなど「スーパーカー」と言えるような高性能を示した。
今回、試乗車としてタイプRが用意されたのは嬉しい限りだ。僕自身、このタイプRを独アウトバーンの速度無制限区間で走らせ267km/hの速度をメーターで確認した。三菱のランサー・エボリューションでも最高速は253km/h止まりだったから、同じ2リッターターボで270km/hというパフォーマンスには驚愕させられた。制限速度指定のショートコースでは、その性能のかけらも感じられないが、欧州車並みの剛性感や精度の高さをしっかりと感じ取ることができる。この良好なコンディションを今後も末永く維持し「走る伝説」として後世にホンダ・スピリッツを語り継いでもらいたいと願う。
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みんなのコメント
違う。ホンダ初のハイブリッドモデルは初代インサイト。なお、シビック初のハイブリッドモデルは7代目に設定されており、「シビックハイブリッド」の名称で販売されていた。