2023年1月2日、世界中のクルマ好きを楽しませてきたケン・ブロックの急逝が伝えられ、多くのモータースポーツ・ファンが衝撃を受け、悲しみに暮れるなか、2014年から2017年にかけて参戦したWorldRX世界ラリークロス選手権のファミリーや競合ドライバーからも「彼はつねにシリーズの友人であり続けている」と、多くの追悼の声が寄せられた。
2005年から本格的なモータースポーツのキャリアを開始し、地元アメリカの国内ラリー選手権(ARC)でルーキー・オブ・ザ・イヤーも獲得したブロックは、その後もWRC世界ラリー選手権で通算25回の出走を数えるなど、ワールドレベルで活躍を演じるドライバーとなった。
【動画】追悼ケン・ブロック。“億越え再生”誇る『ケン・ブロック・ジムカーナ』シリーズ一覧
2014年にはフーニガン・レーシング・ディビジョンのフォード・フィエスタSTを提げ、ノルウェーのヘル戦でWorldRXデビューを果たすと、初戦で早速の表彰台を獲得。2戦目のフランス・ロエアックでもファイナルに進出し、2年後のドイツ・ホッケンハイムでは2度目のポディウムに登壇するなど、フォード・フォーカスRSにスイッチしていた2017年の最終シーズンでは、ドライバーズランキング9位を記録した。
そんなリザルトのみならず、ブロックの華麗な“ショーマン・スタイル”は、コクピットの内外を問わずWorldRXでもすぐにファンを魅了し、ストリーミングとの親和性も高いラリークロス競技の視聴者拡大に大きく貢献することとなった。
その意味でも、ブロックの逝去はこのスポーツの未来に大きな喪失感を与えることとなったが、シリーズは「世界中の何百万人もの人々に先見の明とインスピレーションを与えた彼の遺産は、これからも長く生き続ける」と、改めてブロックの功績を称えるとともに「WorldRXの全員が、彼の妻ルーシーと3人の子供たちに、心からのお悔やみを申し上げる」と哀悼の意を示した。
アンドレアス・バッケルド(フーニガン・レーシング・ディビジョンの元チームメイト)
「僕らは(急逝が伝えられる)ほんの数時間前まで、お互いにテキストメッセージを送っていたんだ。そのケンが僕らの前から奪われたなんて信じられない。こんなの本当に非現実的だよ! 僕の心は砕け散っているが、すべての思いはルーシーや子供たち、そしてフーニガン・ファミリーとともにある……」
ペター・ソルベルグ(2014-2015年WorldRXシリーズチャンピオン)
「彼はトップドライバーであり、親友であり、家族であり、世界中の何百万人もの人々にインスピレーションを与えてきた。今日はとても悲しい日で、僕たちの想いは、ケンの素晴らしい家族とともにある」
マティアス・エクストローム(2016年WorldRXシリーズチャンピオン)
「世界は偉大な人物のひとりを失った。ケン・ブロックのビジョンと才能は、まったく新しいモータースポーツ文化を生み出し、僕らドライバーも多くが賞賛し、楽しんでいた。僕の気持ちと哀悼の意を、ケンの家族と友人に伝えたい。 R.I.P(Rest in peace)安らかに、ケン」
■エクストリームEからも追悼のメッセージ
ティミー・ハンセン(2019年WorldRXシリーズチャンピオン)
「偉大なレーサーであり、親切な人柄であり、僕らのスポーツのパイオニアであり、何百万人もの人々にインスピレーションを与えた人物だ。あなたはいつだって人々の心に思い出される。伝説は決して死なない!」
ケビン・ハンセン(2015年WorldRXデビュー、2019年シリーズ3位)
「ケンが僕らの元を去ったと聞いて衝撃的だ。WorldRXで2年間、ケンとレースをすることができて幸運だった。彼は真のジェントルマンで、とても心温まる笑い声を上げ、最高のスポーツマンだった。安らかに眠ってほしい」
クララ・アンダーソン(2022年WorldRX、エクストリームEデビュー)
「子供の頃のロールモデルが亡くなったという悲痛なニュースに目が覚めました。幼い少女の頃からあなたのビデオを見て、あなたのようにドライブすることを夢見ていたし、2016年に初めてあなたに会えたときは本当に感激した。安らかにケン。あなたは永遠にこのスポーツのレジェンドです。私の思いと祈りは、あなたの家族とともにあります」
ティモ・シャイダー(2008-2009年DTMチャンピオン、2015年WorldRXデビュー)
「ダメだダメだダメだよ……そんなことは信じられない。2週間前、僕らはここで一緒に座って、リア・ブロック(長女。妻ルーシーとともにARCに参戦中)と彼女の才能、そしてあなたの将来の計画について話していたじゃないか……それが今、世界があなたのために回っていないなんて!! 本当に言葉もないよ……僕の思いと祈りは、あなたの家族とあなたの愛する人たちとともにある。R.I.P友よ」
またシリーズ初期の開発に関与し、2020年1月のダカールラリーでは電動ワンメイク・オフロード車両『オデッセイ21』をドライブし、初の実戦競技参加を果たしたエクストリームEからも追悼の言葉が寄せられ、シリーズのチーフ・チャンピオンシップ・オフィサーを務めるジェームス・テイラーは「信じられないほど悲しいニュースだ」と、その損失の大きさを述べた。
「ケンはレース界の伝説であり、モータースポーツとスポーツ・マーケティングへの独自のアプローチという点で、大いなる先見の明があった。その点でも、彼はレーシングカーの内外で多くのことを達成してきたんだ」と続けたテイラー。
「ケンはダカールラリー2020の最終ステージで、実戦のモータースポーツ競技でエクストリームE用のオデッセイ21を走らせた最初の人物になった。わずか数時間のテストの後、彼はステージで3番目に速いタイムを記録し、いくつかの象徴的な映像を作成した。我々も決して彼のことを忘れないだろう!」
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