この記事をまとめると
■シビックにハイブリッドグレードのe:HEVが追加された
【試乗】ハイブリッドなのにエンジンが気持ちいい! シビックe:HEVの「爽快感」がヤバい
■加速はエンジンモデルを凌ぐ強烈なもの
■ハンドリングもスポーティで走りの完成度は高い
インテリアはすでにスポーツサルーンの雰囲気
初代シビックの誕生から50年という記念すべき年となった2022年。そのシビックに最新モデルとして近代的なハイブリッド(HV)システムを搭載するe:HEVモデルが登場した。
シビックは2021年にフルモデルチェンジを受け現行型へと進化しているが、その時は1.5リッターガソリンターボエンジンに6速MT(マニュアルトランスミッション)及びCVTを組み合わせたふたつのパワートレインの設定だった。当初からハイブリッドの登場はアナウンスされていたが、今回ようやく姿を現したことになる。
ホンダ独自のハイブリッドシステムはe:HEVと呼ばれる。シビックが搭載するのは新開発の2リッター直噴ガソリンターボエンジンに電動モーターと発電用ジェネレーターモーターを組み合わせた新しいものだ。ガソリンエンジンはアルミのシリンダーブロックやシリンダーヘッドをもちアトキンソンサイクルで稼働する非常に高効率なもので、その燃焼効率は41%に達するという。
これを主に発電機として稼働させ、電動モーターでフロント前輪二輪を駆動するFFハイブリッド方式となっているのだ。一般的なトランスミッションを持たず電動モーターの出力及び回転数を制御してCVTのような無段変速を行い、それをeCVTと呼んでいるのも特徴だ。
では早速試乗してみることにしよう。スポーティな外観は一見4ドアのセダンと見間違う。ハイブリッドシステム搭載車となっても変更点は多くない。ただe:HEVのオーナメントバッチが追加され、またタイヤがミシュランパイロットスポーツ4という高性能な仕様となっているのが特徴的だ。
室内に乗り込むと、ダッシュボードやインテリアの雰囲気はガソリンモデルと等しいが、センターコンソールに配置されるシフトセレクターがシフトレバーではなくボタン式のエレクトリックギアセレクターとなったことで、ハイブリッド車であることが認識できる。また、ダッシュボードセンターの大画面モニターにはさまざまなインフォメーションコンテンツが表示されるが、e:HEVシステムのエネルギーフローや出力/トルクメーターなど新しい表示機能も備わっている。
ステアリングは革巻きの3本スポーク、シートは電動アジャストの豪華な仕様となっている。全体的にブラックで統一された内装は、ピラーやルーフライナーなどもブラックに統一され、非常にタイトでスポーティな雰囲気に仕上がっている。
シビックはもともとファミリーカーとして登場し世界的な人気を博したクルマだが、一方で進化を遂げるなかでタイプRの登場などによりスポーティモデルへと特徴を変異させていった経緯がある。今回のe:HEVもそのスペック的にはハイブリッドというエコカーであり、5ドアハッチバックというファミリーユースな乗用車的パッケージングと言えるが、細部のデザインや雰囲気などはスポーツサルーンというにふさわしい演出となっているのがホンダらしい。
大トルクを発生するモーターの加速は強烈
ステアリング右横のエンジンスタートスイッチボタンを押してシステムを起動させる。その場合、直ちにエンジンは始動せずシフトセレクターでDレンジをセレクトすれば、まずはEVモーターでEVとして走り始める。バッテリーの充電がフルにされている状態でもリチウムイオンバッテリーの総容量は1.1kWhと小さく、EVとしての航続距離は最大でも1.5kmほど。また、路面の斜度、上り勾配やエアコン要求、アクセルの踏み加減、車速などによってエンジンは直ちに発電機として始動し、シリーズハイブリッドとして走行を続けることになる。
エンジンの始動はジェネレーターモーターを回転させることによって行い、従ってセルモーターは装備されていない。また、エアコンや燃料ポンプなどもすべて電動化されているので、エンジンにはファンベルトがついていないのも特徴だ。シビックとしては2リッターという大きな排気量を持つエンジンだが、始動時の振動はほぼ感じられない。振動は容量の大きな液体封入エンジンマウントにより完全に抑え込まれている。むしろ1.5リッターのガソリンエンジン搭載車よりも振動が少なく静かに感じられるほどのNVH性能を与えられていることがわかった。
駆動モーターは最大トルクが315Nmと大きく、これは1.5リッターのガソリンターボの240Nmよりも遥かに強力で、発進から加速まで極めて力強くスムースに走らせることができる。ちなみにゼロ発進でアクセル全開加速を試みれば、この315Nmが瞬時に発揮され左側前輪が一瞬空転するほどの力強いトルクのピックアップを見せた。だが、トルクステアをうまく制御していてハンドルを取られるようなことはもちろんない。
そのまま加速を続けてくと、最高速度としてはVmax190km/hが可能で、その走行域まですべてを駆動モーターがカバーしているのだという。ちなみにeCVTは従来のCVTのようにギヤを変速変化させるのではなく、駆動トルクや回転数を制御することでトランスミッションとしての性能を持たせている。もちろんファイナルギヤがトランスファーのデファレンシャルで最終減速比として備わっていて、その加減により最高速度や加速性能は左右されるが、現状の仕様は極めて力強い加速と欧州市場を見込んだ190km/hという高速域をカバーできる最適なギヤ比が与えられていると言える。
巡航モードに入るとエンジンと駆動輪の間に仕込まれたクラッチが繋がり、その場合はエンジンでの走行ドライブモードとなる。ただ、エンジンドライブモードでは駆動用モーターもジェネレーターモーターもともに電気的に切断されて走行や充放電に影響を与えない形の制御となるが、実際のところ実走行場面においては、このエンジンドライブの走行パターンというのはほぼ起こりえないということも覚えておく必要がある。
巡航状態でもバッテリーの充電要求があればエンジンが稼働してジェネレーターを回す。エンジンとジェネレーターは機械的に直結状態にあり、いつでもすぐに発電できるようにスタンバイされているので、効率よく充電制御することができるわけだ。
また、アクセルを踏み込めば直ちに駆動モーターがメインの駆動装置として役割を引き出し、エンジンは発電に徹する。一方、アクセルを離してエンジンブレーキを使用するような場面では、ジェネレーターがエネルギー回生を行い減速Gを発生させる。この時にもエンジンは回転しているが、燃料カットが行われエンジンブレーキとして作動させられていることになる。シリーズ方式のハイブリッドと言えるが、トヨタのシリーズパラレルハイブリッドのように、エンジンとモーターが互いにアシストしあうというような走行パターンはもち得ていない。
つまり、エンジンだけでパワーを出して車両を加速するような場面はない。2リッター直噴ガソリンエンジンが発生する最大出力は141馬力で最大トルクは182Nmであり、パワーやトルクどちらをとっても駆動用電動モーターの方が優っているので、駆動力が必要な場面ではいつでも瞬時に電動モーターが主役となるのである。
ハンドリング特性は驚くほどスポーティ
減速の大部分はジェネレーターの回生により減速Gが制御される。ブレーキペダル踏力を加減することで減速回生強度が変化し、減速Gをドライバーがコントロールすることができる。ただ、最後停止する部分においては、ブレーキ踏力でディスクブレーキのブレーキパッドを機械的につかみ、摩擦ブレーキとして停止する仕組みをとっている。この減速回生からディスクブレーキに切り替わる部分において、ときおり制動Gが変化したり制動距離が伸びてしまうなどの事例も他社の例では報告されていたが、今回のe:HEVではその制御が極めてスムースかつナチュラルに仕上げられ、ブレーキはリニアで扱いやすい特性となっていた。
ワインディング路に入ってくるとハンドリングの良さにも感心させられる。今回装着されているミシュランパイロットスポーツ4のグリップはもちろんのこと、ケーシング剛性の縦横のバランスに優れ、タイヤが路面を掴む感覚がドライバーに非常にダイレクトに伝わってくる一方、垂直荷重によるハーシュはうまく抑えられていて乗り心地は快適だ。このタイヤの好特性も影響してか全体的な乗り味は非常にマイルドで快適性が高いが、それでいてグリップに優れライントレース性の高いハンドリングを示す。
また、大パワーのトルクを瞬時にアクセルで制御できるモーター特性とのマッチングにも優れていて、ガソリンエンジン搭載車で感じるようなもどかしさやドライブ感覚とずれるような不満を一切感じさせない。
ハイブリッドモデルでありながら、むしろハイパワーでスポーティなハンドリングとしてより高い次元で完成させられていることがよくわかるのである。エコカーと言うよりもむしろスポーツサルーンというにふさわしい走りと動力性能の実力を見せつけられた気がする。
後席に乗っても快適性が高いことが感じられた。これは小さいながらもバッテリーユニットをリヤアクスルの後席下に搭載することで重心が下がり、それによりクルマの安定性が増して後席の座り心地や居心地を良くしていると言える。また、遮音に対してもより進んだ仕様となっていて、ガソリンエンジン搭載車よりもはるかに静かで上質な快適空間となっているのがわかった。
e:HEVではECON(エコ)、ノーマル、スポーツ、そしてインディビデュアルという4つのドライブモードの切り替えが可能で、エコモードではスロットルレスポンスを抑え燃費を稼ぎ、またステアリングを軽くして操舵力の変化を抑えて誰でも乗りやすい走り味としている。スタンダードモードではよりモーターの出力を引き出すことが可能で、ベテランドライバーやハイパワー車から乗り換えるドライバーでも違和感なく扱えるような仕上がりと言える。スポーツモードを選択するとよりアクセルレスポンスがさらにシャープとなり、またエンジンの回転数が高まって発電量を高次元に維持するしくみが採用されている。
全開加速を続ければエンジンが高回転で回されるがマニュアルシフト車のようなステップ比が設定されていて車速の高まりにおいてエンジン回転数が4段階に変化するようなトリックも採用されている。
さらに、スピーカーからよりスポーティなエンジン音を乗員に聞かせ、まるでスポーツカーに乗っているかのようなサウンドを聴きながらスポーティドライブを楽しむことも可能となっている。これらはインディビディアル設定でエンジンのパワー、サウンド、ステアリングの重さなどを自分の好みに設定することができ、それはいったん停止してイグニッションオフにしても再始動時に維持されるので、利便性も高まっていると言えるだろう。
さて、今回ハイブリッドとなったこの新型シビック。その走りはハイブリッドと思えぬほどにスポーティでハンドリング特性にも優れている。
また、クルマの質感も高くシビックシリーズの最高級モデルとして位置するにふさわしい走りと乗り味を与えられている。この2年間、コロナ禍の厳しい制限のなかで、開発チームはこのシビックハイブリッドが日本だけでなく欧州や北米でも販売されることを見込み、「欧州でのテスト走行を多く行った」という。そうした努力がこの乗り味と走りに現れているのはユーザーにとって大きな喜びとなりえるだろう。従来、欧州車の乗り味を欲すれば、BMWやメルセデスなどの欧州ブランド車に乗りかえるしか手がなかったが、シビックというブランドのなかで欧州モデルとしての実力を味わえるのもこのシビックハイブリッドの新しい魅力になっている。
WLTCモード燃費は24.2km/Lと極めて優秀だが、走りを楽しみすぎればもちろん燃費は悪化してしまう。ただ、常に燃費コンシャスな生活を送るよりも、時にクルマを走らせる喜び、コーナーを駆け抜ける喜びを味わうこともクルマとともに人生を送るなかで重要な時間であるということを考えれば、クルマ好きにとってシビックe:HEVは、燃費走行もスポーツ走行もこなす万能なモデルとして非常に魅力的なクルマになっていると言えるのだ。
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みんなのコメント
探しているのは異常気象増で地球の温暖化対策が待った無しの中、運転して楽しい車、つまらない燃費が良いだけ、スタイルだけの車は5年後以降で良いです。
その点、ホンダ車はエンジンを回した時、何か気持ちの良いイイ音を奏でるから回して聞きたくなったりします。
その片鱗がある良い車なのでしょう、あとは値段次第ですね。