「タフギア」が上質をキーワードに大変身。新型は全車e-POWER
日産きってのベストセラーSUV、エクストレイルが第4世代に進化した。エクストレイルは、「タフギア」が伝統キャラクター。スクエアフォルムの1st/2ndモデルはいまでも人気が高い。ガラリと印象を変えた3rdモデルも販売は好調で、定評のタフさと、「アドバンストテック」を掲げ、先進的な要素を備えた点が高く評価された。
伝統と革新を融合させた「タフギア×上質」の本格SUVを謳う新型日産エクストレイルがデビュー
最新の4thモデルは、タフさと先進性に加え、上質を示す「リファインド」をキーワードに開発された戦略モデルだ。
パワートレーンは全車e-POWERとなり、発電用エンジンには世界初のVC(可変圧縮比)1.5リッター直3ターボを採用。駆動用モーターの高出力化で、走りの実力を大幅アップした。駆動方式はFFと4WD。4WDは前後モーターと左右ブレーキを統合制御するe-4ORCEである。従来モデルと同様に3列シート仕様もラインアップする。
新型は上質で広い。走りの実力が大幅アップ
実車と対面して、ずいぶん立派になったと感じた。新型は都会的でありながら1st/2ndモデルのタフギアの香りもする。ボディサイズは全長×全幅×全高4660×1840×1720mm。だいぶサイズアップしたのかと思いきや、旧型(同4690×1820×1740mm)と比べ、全長が短く、全高も低いと知って驚いた。
室内はクラストップの広さ。後席のヘッドクリアランスは拡大しており居住性は優秀。室内長は2列シートで1980mm、3列シートは2530mm。3列シートは4WDに設定される。
インテリアの質感も大幅に引き上げられていた。新型のキーワード、「上質」を見た目にも体現している。滑らかな触感を持つ新開発の人工皮革、テーラーフィットや、最上級グレードにはキルティング柄でタンカラーのナッパレザーシートを用意する。
インパネは、さまざまな情報を見やすく表示できる12.3インチのTFTメーターに加えて、大きなヘッドアップディスプレイを設定。充実機能を備えた12.3インチのセンターディスプレイともども、先進的な運転環境が構築されている。プロパイロットにはナビリンクなどの新機能が加えられた。
メカニズムも意欲的だ。新型は、まさしく全面刷新。ルノーと三菱とのアライアンスにより共同開発したプラットフォームを用い、e-4ORCEと新しいe-POWERによるパワートレーンを搭載。圧倒的な走りと快適性を目指した。
乗り込んでドアを閉じるときの音は重厚。いかにもボディ剛性が高く、静粛性にも優れている印象だ。実際にもまさしくそのとおり。エンジンが3気筒ということで危惧していたのだが、静かで滑らかな走りに驚いた。よほどアクセルを踏み込まないかぎり騒々しく感じることはない。回転フィールは3気筒を意識させない仕上がりになっている。
これには新たに採用したVCターボがプラスに作用している。低回転域からトルクを出せるようになった効果だ。このクラスのSUVなので、車両重量は重め。従来のユニットではパワー不足と、音や振動がそれなりに出てしまうシーンでも、新型は力強く、そして静粛だ。結果的に、アクセルをあまり踏み込まなくても気持ちよく走れる。上質で速いパフォーマンスは、新型の大きな個性といっていい。WLTCモード燃費も18.4km/リッター(4WD/2列シート)と優れている。
足まわりの仕上がりも上々だ。ストローク感があり、しなやかによく動きながらも姿勢をフラットに保つ。ハンドリングもいい。ステアリング操作に対する反応が素直で応答遅れも小さい。無駄な挙動が巧みに抑え込まれている点は特筆できる。レーンチェンジでは、スッとおだやかに収束する。
走りのよさには、e-4ORCEによる4輪個別の駆動力およびブレーキ制御が効いている。旧型もインテリジェントトレースコントロールなど同様の制御を行っていたが、新型は統合制御している点が大きく異なる。しかも基本ポテンシャルが上がったことで従来ほど強く制御しなくても済むようになったという。それが燃費を含め、すべての完成度アップに寄与しているそうだ。
新型は、テストコースを軽く走っただけでも進化がうかがえた。今後、公道はもちろん、より本領を発揮できるオフロードや雪道を走る機会を楽しみにしている。
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