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愛車の履歴書──Vol26. 小柳ルミ子さん(前編)

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愛車の履歴書──Vol26. 小柳ルミ子さん(前編)

愛車を見せてもらえば、その人の人生が見えてくる。気になる人のクルマに隠されたエピソードをたずねるシリーズ第26回の前編。小柳ルミ子さんがプライベートで愛用していたクルマに迫る!

お久しぶりね、560SL小柳ルミ子さんが「クルマに乗りたい!」と、思うようになったきっかけは、とある映画だったという。

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「ごめんなさい、タイトルは忘れてしまったんですが、洋画で、女優さんが真っ白いメルセデス・ベンツの『SL』をオープンにして、髪をなびかせて運転しているシーンを見たんです。あの瞬間、絶対にこれに乗りたい! と、思いました。もう、雷に打たれたような出会いでした」

そう言ってから、小柳さんは撮影車両のメルセデス・ベンツの560SLをまじまじと眺めた。そして、「運転席に座ってもいいかしら?」と、尋ねてから、ドアを開けた。

撮影車両はヤナセクラシックカーセンターがレストアした1台で、とてもきれいに仕上がっている。小柳さんは真剣な表情でインテリアを見渡して、「本当に美しいなぁ……」と、つぶやいた。

SLに憧れた小柳さんであるけれど、運転免許を取得するのは30歳になってからだった。小柳さんのキャリアを振り返ると、それも道理だ。

というのも1971年、19歳で発表したデビュー曲『わたしの城下町』がいきなりミリオンセラー、翌1972年の『瀬戸の花嫁』も大ヒット、さらにはダンサーや女優としての活動も始まるなど、超多忙な日々が続いたからだ。

そんな小柳さんが、運転免許を取得することになったきっかけがおもしろい。

「とあるテレビ局のお正月特番で、マイケル・ジャクソンのパフォーマンスをやったんです。それが最優秀賞になって、副賞にフォルクスワーゲンの『ゴルフ』をいただくことになったんです。そのときに、これは“免許を取れ”というメッセージだなと思って、教習所に通うようになりました。忙しかったけれど、頭の中には若い頃に映画で見た白いSLが浮かんで、いつかはあれに絶対乗るんだ、と、思いながら一所懸命に教習所に通って、一発で免許を取りました」

こうして小柳さんは、副賞として贈られた赤いフォルクスワーゲン・ゴルフ(初代)でクルマ生活をスタートした。

「まだパワステじゃなかったからハンドルが重かったですね。でもクルマに乗るようになって、生活がパッと明るくなりました。それまでは食事に行くのも買い物に行くのも、マネージャーさんに迎えに来てもらっていて、それが心苦しかったんです。でも自分のクルマなら、好きな時に好きな場所へ自由に行けるので、行動範囲が広がりました」

ここで、ひとりの男性が撮影現場に現れた。彼の名は宮下清弘さんといい、当時、ヤナセの府中支店に勤務し、小柳さんの営業担当を務めていた。定年を迎えてヤナセを離れたが、わざわざ今日の撮影に足を運んでくださったのだ。

小柳さんとの感動の再会を果たした宮下さんが、当時を振り返る。

「いきなりメルセデスのSLというのもハードルが高いので、赤いゴルフの次に白いゴルフ・カブリオレに乗っていただき、オープンと左ハンドルに慣れてもらおうと考えました。ゴルフ・カブリオレの次が白いメルセデス・ベンツSLで、私が小柳さんのご自宅にお届けにあがりました」

宮下さんの回想に、小柳さんは大きくうなずいた。

「そう、宮下さんが白いSLを納車してくれた日のことははっきりと覚えています。憧れのSLの運転席に座って、泣きそうになるぐらいうれしかったですね。恋い焦がれた相棒にやっと会えた、という心境でした」

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「SLが納車されて、映画で見たようにオープンにして髪をなびかせて走ったら格好いいだろうなと思って、だから天気がいい日は屋根を開けて乗っていました。ただ、目立ちましたね(笑)。たとえば信号待ちをしていると、まずクルマが目立つんです。白いSLのオープンだから、まずパッとクルマを見て、それから二度見するんですよ。サングラスをして、あの頃は髪が長かったんですけど、『えーっ、小柳ルミ子だ!』みたいな感じでちょっと恥ずかしかった。でも、やっぱりオープンは気持ちがいいですからね」

SLに乗るようになった小柳さんには、どうしても行きたかった場所があったという。それはゴルフ場だ。

「当時はゴルフにハマっていまして、クラブハウスの車寄せにSLを停めてゴルフバッグを取り出すシーンを夢見ていました。だからSLでゴルフによく行きましたね。ゴルフ場ってだいたい自宅から1時間半ぐらいだからドライブにはちょうどいい距離で、あのボディに560のエンジンだから余裕があって快適でした。高速道路ではグッとボディが沈み込むように安定して、本当にいいクルマでした」

結局、小柳さんは白いメルセデス・ベンツSLを約13年にわたって愛用する。

「黒い革内装をわざわざ赤いレザーに換えました。あと、ハンドルもウッドに交換しました。当時のマネージャーがすごいクルマ好きで『ルミ子さん、絶対にウッドのほうが格好いいですよ』って言われて。私は1台のクルマを大事に大切に、長く乗るタイプなんです。クルマは自分の命を載せて走ってくれる相棒なので、愛情を注ぐとそれに応えてくれる。だからとにかく手をかけます」

愛してやまなかったSLとの別れのきっかけは、電気系統のトラブルだったという。

「真夜中の豪雨に遭遇したとき、ワイパーが壊れて使えなくなってしまい、走れなくなったんです。ちょっと前からエアコンも効かなくなるなど、電気系統のトラブルが起きました。そろそろ潮時かな……と、別れの予感を感じたら、すごく切なくなりました。でも事故を起こして誰かに迷惑をおかけしたら元も子もないので」

13年間愛用したメルセデス・ベンツSLの次は、Eクラスのセダン、そしてEクラスのクーペ。いずれも10年以上にわたって愛用したという。そして2年前からはダウンサイジングして、コンパクトなメルセデスのセダンに乗っている。

ご自身がおっしゃるように、1台を長く愛する方なのだ。そう伝えると小柳さんは、「芸歴52年なのに、愛車は6台だけ」と、周囲を笑わせた。

「やっぱりメルセデスが好きなんでしょうね。いまのクルマは、“ハイ、メルセデス”と話しかけていろいろな機能を操作出来るのがすごく気に入っています。すごく便利なんですよ! 目的地の設定もしてくれるし、『エアコンを1度下げて』と言えば下げてくれます。クルマの中で過ごす時間は、セリフを覚えたり発声をしたり、考え事をしたり、私にとってとても大事なので、良き相棒なんです」

小柳さんの言葉の端々から、クルマに対する愛情が伝わってくる。おそらく、いま最新のメルセデス・ベンツも、大事に、そして長くお乗りになるのだろう。

後編では小柳さんがプライベートとは別に仕事用として所有してきたクルマを振り返る!

小柳ルミ子(こやなぎるみこ)1970年、宝塚音楽学校を首席で卒業し、NHK連続テレビ小説「虹」でドラマデビュー。1971年4月25日「わたしの城下町」で歌手デビュー。同年、日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞。以降「お祭りの夜」、「瀬戸の花嫁」(日本歌謡大賞受賞)「星の砂」「お久しぶりね」など多数のヒット曲を輩出し、NHK紅白歌合戦に18年連続出場。また、俳優としても映画『白蛇抄』での迫真の演技により日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。歌手、俳優としてマルチに現在も活動を続ける。現在、テレビ朝日で放送中の『ルミ子の食卓』(毎週金曜深夜1:30~)に出演中。公式InstagramやブログといったSNSでも日々、さまざまな情報を発信し注目を集めている。

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文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ) 撮影協力・ヤナセクラシックカーセンター

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