コースを3分割して練習走行&予選アタック
アメリカで開催されている伝統のヒルクライムレース「第97回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(パイクスピーク)」の練習走行がスタートした。世界18カ国から集まった88台の参加があり、日本からは6人の選手が参戦する。全日本ラリードライバーの奴田原選手は、2年連続で電気自動車の日産リーフでチャレンジしているのだ。
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パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムは、アメリカ・コロラド州にある標高4302mを誇るパイクスピークという山へ登る観光道路の一部をコースとして開催されているレースである。1916年に初開催。アメリカでインディ500に次ぐ長い歴史を持つレースだ。スタート地点からすでに標高が2862mあり、頂上のゴールに向かうほどに徐々に酸素が薄くなっていく中で、全長20kmに及ぶ競技区間でミスなく山を登りきる必要がある。
現地時間6月30日(日)の決勝を前に、6月25日に全参戦車両が練習走行を開始した。このパイクスピークでは、練習走行はエントラントを3分割。それぞれが、コースのボトム、ミドル、アッパーの3つのセクションで練習走行を行う。ただし、1日で走れるのは1つのセクションのみ。3日間をかけてすべてのセクションを走行することになる。
奴田原文雄選手(#230 2019年式日産リーフ)、小林昭雄選手(#249 2000年式ポルシェ911GT3)、吉原大二郎選手(#86 2013年式トヨタ86)の日本人ドライバー3名が参戦するタイムアタック1クラスは、初日にアッパーセクション、2日目にボトムセクション、3日目にミドルセクションを走行。
ちなみにボトムセクションの走行は、そのまま予選セッションにもなっている。つまり、このボトムでのトップタイムを出したクラスから決勝レースの進行が決められる。また、3つのセクションを通しで走る機会は決勝のみ、1年のたった1日、そして1回きりの勝負となるのがパイクスピークなのだ。
練習走行セッションは、日の出前の午前5時半からスタート。舞台となる観光道路のパイクスピーク・ハイウェイの営業が始まる30分前の午前8時半までの3時間が、走行時間として設けられている。この時間に1台ずつが走行するワンカー・アタック。そのセクションを走行する全車がゴール地点に上がったらスタート地点まで一斉に山を下り、そこから再びワンカー・アタックを繰り返す。距離の短いミドルセクションは何度も繰り返して走行することができる場合が多いが、距離の長いボトムセクションは数回しか走れないことも多い。
コロラド周辺では、レースウィーク前週から初夏とは思えない寒さと降雨が続いており、このロッキー山脈の一部も降雪と路面凍結を繰り返している。山に登ると、ここ数年よりも明らかに周囲の積雪が多く、コース脇に設けられた側溝を流れる雪解け水も凍り付いたままだ。
練習部初日の天候は快晴。心配された寒さも前週と比べればだいぶ和らいだものの、それでも例年よりは厳しい寒さの中での走行となった。さらに毎年の厳しい寒さによって、舗装された路面は年々うねりがきつくなり、この日のトップセクションでの走行はコースアウトする車両があり、何度もセッションが中断された。結果トップセクションの各車は、3回の走行ができただけで時間切れとなってしまった。
走行を終えた奴田原選手は「路面が以前よりもバンピーになってたね。しかも車速が乗っているところだから、少し慎重にいかないと」とコースについてコメント。また、新型リーフについては「去年のリーフよりも速くなった。速くなったけど、その重さを顕著に感じる。その分ブレーキもきつくなっているし」とその難しさを語っていた。
タイムアタック1クラスは、翌6月26日(水)は、ボトムセクションを走行する予選日となる。ここでのクラストップタイムによって決勝出走順が変わるため、毎年天候が崩れるパイクスピークだけに、早めの出走順を取りたいところだ。
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