病みつきになるドッカンターボ的な振る舞い
アウディRS2 アバントの悪癖であり、面白さともいえるのが、短くないターボラグと回転数が3000rpmを超えてからの爆発的なパワーの放出。追い越し加速でもたつく場面はあるものの、慣れてしまえば、ドッカンターボ的な振る舞いが病みつきになるはず。
【画像】ミラーは911 ブレーキは968 アウディRS2 アバント 現行RS4とRS6 モデル終了のR8とTT RSも 全123枚
2226ccの直列5気筒ガソリンエンジンと、ターボチャージャーは基本的に高耐久。ウエストゲートの不調で本来の性能を引き出せなかったり、マスエアフロー・センサーの劣化で点火不良や排気ガスが黒く煙る場合がある。
高負荷時にパワーが思ったように発揮されない症例は、燃料ポンプの不具合かもしれない。オリジナルでもかなりの速さを披露するが、過去のオーナーによって更に大きなターボやインタークーラー、高効率な吸排気系などが組まれていることも珍しくない。
6速マニュアルのシフトフィールが滑らかさに欠く場合は、シンクロメッシュの摩耗が疑われる。特に2速へ入れる際に、不自然な異音や振動がないか確かめる。単純にゲートを選びにくい場合は、リンケージの劣化が原因かもしれない。
リア・ディファレンシャルはロックが可能。正常に機能するか確かめたい。ただし、グリップの良い舗装路では多用しない方が賢明だろう。
社外サスは珍しくない 取引価格は堅調に推移
新車当時は、グランドツアラー志向に振られた乗り心地や操縦性を批判する人もいた。しかしこれは、スーパーカーには速さが求められても、硬い乗り心地が必要だとは考えなかった、アウディによる判断の結果だった。
確かにノーマルのサスペンションは、コーナリング時のボディロールが小さくなかった。それでも、決して鈍重な身のこなしだったわけではない。
多くのRS2は、鋭い操縦性を求めてサスペンションが社外品へ交換されている。H&Rやビルシュタインなど、各社から選択肢がリリースされていた。ホイールとブレーキは、ポルシェのアイテムが標準。予め、オリジナルかどうか確認したい。
タイヤは、ダンロップ SPスポーツ8000が純正品だったが、現在は廃盤になっている。サイズは245/40ZR17が組まれていた。これから交換する場合は、ダンロップ・スポーツマックスRT2などが適したチョイスになるだろう。
スーパーカーとステーションワゴンを掛け合わせたRS2 アバントの稀有な成り立ちは、家族持ちのカーマニアへ新車時から強く響いてきた。クラシックカーとなった現在でも注目度は高く、残存数より需要の方が多い。取引価格も堅調に推移している。
購入時に気をつけたいポイント
ボディとシャシー
ボディシェルは亜鉛メッキされ錆びにくい。それでもホイールアーチとサイドシルなど、一般的に錆びやすい部分の確認は必須。事故歴がある場合は、修復状態も調べたい。バンパーの交換部品は探しにくく値段が高い。
エンジン
直列5気筒ターボエンジンは、高出力化されているものの堅牢。走行距離は長い例が多く、24万kmを超える例も珍しくない。とはいえ高ストレス状態にあることは間違いなく、過去の整備記録は良く確認したい。
エンジンオイルの漏れ、ノッキング、回転の乱れなどがないか確かめる。コイルパックの故障や、点火プラグの緩みにも注意。タイミングベルトの交換は、12万8000kmか8年毎が英国では指定されている。
ターボチャージャーも堅牢。ウエストゲートが不調になり、本来のパワーを発揮できない場合がある。排気ガスに黒煙が混ざるなら、マスエアフロー・センサーの不調を疑う。停止時にターボを冷却する、補助ポンプの調子も要確認。
トランスミッションとブレーキ
6速マニュアルのシンクロメッシュやクラッチの状態、変速がスムーズかを試乗で確認する。特に2速へ注意したい。ドラッグレースなどを過度に楽しまれてきた例では、1速が不調になりがち。アイドリング時に、ニュートラルで異音が出ないかも観察する。
ホイールとブレーキはポルシェ譲り。ブレーキはディスクのサビやキャリパーの固着、ハンドブレーキ・ケーブルの伸びなどを確認する。
インテリアと電気系統
車載機能がすべて動作するか、サイドウインドウの開閉が滑らかか、すべてを確かめる。ヒーターを最大にして、不自然なホコリ状のゴミが飛び出してこないか様子を見る。修理は高くつく。
内装にはRS2専用のトリムが多く使われている。レカロシートも専用品。欠損がないか観察したい。
アウディRS2 アバントのまとめ
最近、ますます魅力を増しているように感じるアウディRS2 アバント。だが、取引価格は安くなく、維持費もそれなりに必要だろう。酷く改造された例や、大きな事故にあった車両は避けたいところ。
アウディはスーパーカーを超える動力性能を、優れた実用性と組み合わせようと意図していた。だが実際は、そこまで高速化されているわけではない。
過度なチューニングは、クラシックカーとしての価値を下げる場合もある。しかし、多くの例には何らかのアフターマーケット・パーツが組まれているため、その内容が自身の要望に沿うものか、良く確かめたい。
良いトコロ
製造品質は高く、ボディシェルは錆びにくい。エンジンは高耐久。速いだけでなく、実用的なステーションワゴンだ。
良くないトコロ
RS2には専用アイテムが多く用いられ、交換部品が探しにくくなっている。走行距離は全般的に長く、必ずしも望ましい点検整備を受けてきたとは限らない。
アウディRS2 アバント(1994~1995年/英国仕様)のスペック
英国価格:4万5705ポンド(1994年時)
生産数:2891台
全長:4496mm
全幅:1702mm
全高:1397mm
最高速度:267km/h
0-97km/h加速:4.8秒
燃費:6.4-9.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:1595kg
パワートレイン:直列5気筒2226cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:319ps/6500rpm
最大トルク:41.6kg-m/3000rpm
ギアボックス:6速マニュアル(四輪駆動)
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今ではアウディとポルシェ、もっと言えばフォルクスワーゲンともプラットフォームを共有している。