<後編(1)では完成したオーディオ・システムに迫る!>
はたして、“音”の印象はいかに。早速、公道に出て試した。
29歳、フェラーリを買う──Vol.19 完成! これがフェラーリのオーディオ・カスタムだ!<後編(1)>
そのとき、懇意にしている作詞家・吉元由美さんのデビュー35周年記念パーティが、もうじき開かれるのを思い出した。そこで、吉元さんが作詞した曲を聴くこととした。
まずは、平原綾香さんが唄った「Jupiter」を聴く。あたりまえだが、これまでのFMトランスミッターと異なり、雑音がまったくないのにまず感激した。荘厳なイントロが車内に響く。ボリュームを上げると、車内はまるでコンサート・ホールのような迫力だ! 平原さんの透き通る声がよく耳に入る。
フェラーリ・サウンドが聴こえないほどにボリュームを上げると、迫力満点だ。あのV8が聞こえなくても、コノリーレザーのバケット・シートに包まれ、パドルシフトを操作していれば、フェラーリに乗っていることはわかった。フェラーリの運転を楽しみつつ、音楽まで楽しめるようになったのだ!
心地よく音楽を聴いていると、ショート・メッセージが届いた。ヘッドユニットの専用スウィッチを押すと、なんとメッセージを音声で読み上げてくれた。機械音声ゆえ、決して流暢な読み上げではないものの、十分聞き取れる。
さらに、「どこに向かおうかなぁ」と、思い、とりあえず音声操作スイッチを押す。なにも考えず、適当に目的地を話すと、Googleマップが自動で認識し、目的地がセットされた。
あてのないドライブの2曲目は杏里さんが歌った「SUMMER CANDLES」。吉元さんが作詞した曲のなかで、ボクが1番好きな曲だ。
イントロが流れると、これまでのカー・オーディオでは聴いたことのない、美しいメロディーが流れた。一瞬、フェラーリを運転しているのを忘れてしまうほど、惚れ惚れするメロディーだった。
そのあとは終始、高音および低音のメリハリが効いた、爽やかなメロディーが聴けた。印象的だったのは最後の盛り上がり部分。「♪幾千の胸に眠ってる 星が輝きを放つとき 奇跡がいま ふたりを呼び合う~」のところで、(音量を上げると)多くのカー・オーディオが音割れしていたものの、ボクのJBLサウンド・システムはまったく音割れしなかった。むしろ、迫力がさらに増し、感動的なフィナーレを堪能出来た。
とはいえ、“聴き疲れ”はない。低音と高音のバランスがいいからだ。低音重視のオーディオ・システムは、はじめのうちこそ、迫力ある音に満足するというが、ある程度の時間聴いていると耳が疲れてくるそうだ。
聴き疲れ知らずのJBLオーディオ・システムは、まるで歌詞の世界が、目前で繰り広げられている感じだ。そのあと聴いたほかの曲もまさにそうだった。オーディオ・システムを変えた結果、驚くほど音楽が楽しめるようになったのである。
正直、車検前には少々痛い出費ではあったものの(MDFの加工などが発生したため、当初予定額の1.5倍要した!)、これほどの素晴らしいサウンドが聞けるのであれば費用対効果は高いと思う。しかも、簡単にノーマル状態へ戻せるのもありがたい。
「いい音が聴けてよかった!」と、思ったものの、オーディオ・カスタムの上級者を目指すのであれば、やるべきことはまだまだあるという。
ひとつはバッテリーの交換だ。オーディオ・システムはそれなりに電力を必要とする。現在、ボクの360モデナに搭載されているバッテリーでは性能不足の可能性があるという。バッテリー上がりのリスクも高まるそうだ。
そもそも、搭載されているバッテリーは純正品ではない。「グロバット」というブランドで、バングラデッシュ製である。關口さんも、「見たことないですね」と、話す。
では、どうすべきか? 關口さんのオススメはパナソニック製の「caos」とのこと。大容量のうえ、長持ちするという。公式ウェブサイトを早速調べると、「強くしっかりとした音質で、コンサートホールなど、会場の空気感や臨場感までも感じることができます」と、記されている。
關口さんも「音は変わりますよ」と、話すから間違いないはず。バッテリーで音が変わるとは知らなかった。現在搭載されているバッテリーは製造年月日もよくわからないから、早々にcaosへ交換しようと思う。
また、ドア内部を補強すると、音質はより良くなるという。ボクの360モデナのドア内部には、比較的多くの空洞部分があるが、これは音質を低下させる要因という。ただし空洞について、關口さんが予想するに「軽量化のためではないか?」とのことであった。
ちなみに、音質向上を目指すのであれば、ほかにも方法はあるという。とはいえ、予算は限られる。バッテリー交換はするものの、ほかは一旦保留としたい。が、時間と費用が許せばあらゆる施策を試してみたいのが本音である。
そういえば以前、「カスタムにハマると抜け出せない」と、雑誌『Option』の編集部に在籍する知人が話していたが、その理由がようやくわかった。オーディオ交換にしても、きりがないのだ。
はたして、オーディオ・システム交換企画は今回が最後になるのか、それともいずれ復活するのか……いっそのこと、読者の反響次第で、考えたいと思うのであった。
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