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電気自動車に対するイメージを一変させるジャガー初のSUV「I-PACE」の革新性

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電気自動車に対するイメージを一変させるジャガー初のSUV「I-PACE」の革新性

ジャガー初のフルバッテリー電気自動車、エレクトリック・パフォーマンスSUV ジャガーI-PACEは、ボクのEVに対する考え方を大きく変えてくれたクルマだった。

今、自動車メーカーは世界的に電動化の道を着実に歩んでいる。イギリス伝統の自動車メーカー、ジャガーもそうで、2020年以降、電動化を促進し、その第一弾となるのがE-PACE、F-PACEに続くインテリジェントなI-PACEである。

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プラットフォームは専用であり、エンジンを積まない前提で設計されているという。全長4695mm、ホイールベース2990mmのサイズはF-PACEと変わらないが、エンジンを積む必要がないため、ボンネットを短くでき、そのぶん、キャビンスペースを十分に取ることができる。

SUVらしからぬ、ジャガーらしく美しいクーペライクなスタイリングもさることながら、そのスペックはなるほど、ジャガーのまったく新しいEVならではだ。



0-100km/h加速はスーパースポーツ並みの4.8秒

駆動方式は、前後トルク配分 0~100の4WD。90kWhのバッテリーを床下にぎっしりと敷きつめ、前後モーターの出力は200ps+200psの400ps/4250~5000rpm。トルクは696Nm/1000~4000rpmに達する。結果、0-100km/hの加速性能はスーパースポーツ並みの4.8秒というのだから、驚く。

ジャガーらしい美しくエレガントなデザイン

美しいスタイリングは空力性能にも寄与する。その大きなトピックのひとつが、エアロボンネット。前方からの空気を車体後方に逃がす仕組みで、その整流効果から、走っている限り、リヤウインドーに雨滴はつかないとのこと(らしい/晴れの日の試乗ゆえ未確認)。だからリヤウインドーにワイパーはない。

ドアアウターハンドルも、乗降時にのみ出てくるタイプで、走行中はドアと一体化されるスマートなデザインだ。ちなみに、広大な面積を持つガラスサンルーフにシェードはない。特殊なガラスで、熱や紫外線をシャットアウトしてくれるのが、その理由である。

前席に着座すれば、SUVならではの見晴らしの良さに感心しつつも、リヤウインドーの視界が上下に狭いことに気付く。が、インテリアのメーター周りなどの質感、先進感、仕立てはさすがジャガーである。もちろん、ジャガー最新の先進運転支援システムも満載だ。



後席は、ジャガーの説明によれば、かなり広大、とのことだったが、それはこのクラスのSUVとして、であり、ミニバンなどに乗り慣れている身としては、フロアセンターにトンネルがあることもあって、驚くほどではなかった。とはいえ、ゆったりと大人2人がくつろげる、極上の空間であることは間違いない。



ノイズが全く気にならない!驚きの静粛性

走りだせば、モーター駆動だから当然、加速はウルトラスムーズ。が、なによりも驚いたのは車内の静かさ。EVだから当たり前・・・と思うのは大間違いで、モーター駆動であれ、多くのEVはロードノイズや風切り音といったノイズが耳に届く。動力源が音をほとんど発しないため、そうしたノイズがことさら気になるわけだ。

しかしジャガーI-PACEは20インチの大径タイヤ(試乗車はHSEグレード)を履いているにもかかわらず、高速走行でもロードノイズの遮断は見事。さらに試乗当日は強風に見舞われていたのだが、車体から発生する風切り音も皆無に近く、高速走行中でも耳に届くのはそよそよとしたエアコンの風の音だけ、といった感覚なのである。I-PACE、恐るべし、である。ボクのEVに対する考え方を変えた、大きな理由のひとつがそこにある。

乗り心地も完ぺきだった。極めて高いボディー剛性、徹底した低重心化によって足回りを固める必要がないため、なんとなればスポーティーな走りを実現しつつも、実に快適無比なフラット感極まる乗り心地を達成している。いつもの高速道路の段差、うねり、穴を乗り越えても、ショックはもちろん、低級に振動、音はまず発生しない。つまり、高級感溢(あふ)れる乗り味に終始する。

圧巻の低重心(重心高はF-PACE比-120mm)による、路面にピタリと張りつくような、極上の安定感に満ちた走行性能に加え、前後重量配分50:50のバランスがもたらすスムーズで安定感極まる上質な操縦性も見事。最小回転半径5.6mの小回り性の良さもあって、低速域から高速域、市街地から高速道路まで、実に走りやすいと思えたのも本当だ。

走行制御の多彩で、クリープのON/OFFのほか、回生ブレーキの強弱のセレクト可能。強にするとアクセルオフで強い減速力を発揮するが、ガソリン車からの乗り換えでの違和感をなくすため、弱モードも用意されているというわけだ。

もちろん、加速は強力。ペダルを踏み込めば、血の気が引くような強烈な加速を、音もなくこなす実力だ。およそ2.2tもの車重などまったく感じさせない軽やかで滑らかな加速に終始する。

ここで、それなりの音の高まりが欲しい、というなら、アクティブサウンドデザインと呼ばれるサウンドコントロールを「ダイナミック」方向にセットすればいい。さすがにガソリンエンジン・ジャガーのスポーツモデルが発する、あたりの空気を引き裂くような快音こそ響かないものの、おとなし目のモーター音の高まりはちょっぴり実感できる。

ジャガーI-PACEは、その驚異的な車内の静かさ、ジャガーとしても最上級の乗り心地だけでも選ぶ価値があると思えるのだが、かんじんのEV走行距離も安心にたるものだった。

EV走行可能距離は、JC08モードより現実に近いWLTCモードで470キロ。エアコンなどを使い、リアルワールドで走行しても350キロはかたいはずだ。しかも、日本仕様向けに開発した専用充電機能を持つバッテリーの残量が少なくなると、自動的に充電スポット案内モードになるのだから安心だ(現在、充電スポットは全国13500ヶ所)。

水深50cmを安全に走破するレンジローバーさながらのパフォーマンス

ジャガーI-PACEはそれ以外にも、通信で行える自動アップデート機能など(自宅のパソコンからもOK)、最先端のインテリジェンスを備えているが、一方、ジャガーSUVらしい、レンジローバーの技術も加味した走破性もまた素晴らしい。何しろ水深50cmを安全に走破できる、レンジローバーさながらのパフォーマンスまで備えているのだ。もちろん、EVであっても車体下の水ぬれに対する安全性はしっかりと保証されているという。

1000万円前後の価格自体は決して安くはないが、ジャガーの無敵なエレクトリック・パフォーマンスSUV(4WD) として考えれば、そのパォーマンスは万能。決して高くはないと思える。車体前後のラゲッジスペースなど、使い勝手も抜群である。



実EV走行距離約350キロと見積もれば、東京~軽井沢のドライブも安心だろう(往復約340キロ)。無充電で往復できるかも知れないし、万一、バッテリーが減ってきても、自動で充電スポットを案内してくれるから、さらに安心。実は、軽井沢好き(いずれ移住?)の身としては、東京~軽井沢往復ができるかどうかが、EV選びの勝手なポイントになっている。

とはいえ、軽井沢にも、その途中の高速SAにも充電スポットはたくさんあるわけだが、せっかちすぎる性格と、ドライブは“犬連れ”が基本という点から、できれば充電なしで(充電の待ち時間なしで)走れ、ドライブを完結できるのが理想。ジャガーI-PACEなら、基本的な走行性能の素晴しさはもちろん、そのあたりもクリアしてくれそうだ。

ジャガーI-PACE
https://www.jaguar.co.jp/jaguar-range/i-pace/index.html

文/青山尚暉

モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。

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